2019/01/21 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「…嫌に騒がしいと思ったが…よもやこういう事態になっていようとはな」
王都へと戻る馬車の中。
豪奢な造りの車内で黙々と書類に目を通していれば、外から何やら怒声と複数の足音。
何事かと窓から顔を出そうとした瞬間扉が開け放たれ、視界に映るのは粗末な皮鎧を着こんだ男。
「…こんな所迄出稼ぎか。野盗の類というのも中々大変そうだな」
御者と護衛の兵士の姿は無い。殺されたか、連れ去られたかでもしたのだろう。
外に出ろ、と喚く男を煩そうに見遣った後、抵抗せずに馬車から降りた。
襲った馬車の豪華さと、馬車から降り立った自分の身形に当たりを引いたと思っているのか、此方を取り囲む野党の集団には興奮と欲望の色合いが濃く見える。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 一人の男が、此方の容姿を下卑た言葉で讃えながら手を伸ばしてくる。何と言っているのかは良く分からない。聞く価値も無い。
「汚い手で触るな。此の衣服一着で、貴様達が何年食えるだけの金になるのか分かっているのか?」
体内で魔力が練り上げられ、術式が構成される。
そして、男の手が此方に触れる寸前、文字通り地面から"生えた"巨大な腕が男の身体を掴み、そのまま持ち上げていく。
「野盗ならば、魔物退治くらいは経験があるだろう。精々足掻け。逃げ回っても良いぞ」
地面から湧き出たのは、己の魔術によって召喚された一つ目の巨人【サイクロプス】……の、紛い物。
意思も自我も持たぬ巨人は男を握りしめたまま大地から全身を現わし、大気を震わせる様な咆哮を上げる。
「…適当に掃除しておけ。別に皆殺しにする必要は無いぞ。追い掛けるのも面倒だしな」
主の命に従い、巨人は手に持った男を茫然と立ち尽くす別の男に叩きつけた。
同時に二人の男が命を落としたと同時に甲高い悲鳴が街道に響き渡る。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 巨人を召喚して数分。
その辺りに転がっている野党の死体は4つ。残りは散り散りに街道から外れて逃げ去っていった。
後に残ったのは、御者を失った馬車と、主の命令を待って立ち尽くす巨人と、自分だけ。
「……全く。街道警備くらいは予算をかけるべきだろう。だから魔物だの山賊だのが此処まで炙れてくるんだろうに」
たらたらと愚痴を零しながら、服についた埃を払ってどうしたものかと思案する。
幸い街道沿いには冒険者や旅人用の宿が点在している。そこまで移動して御者を手配すれば良いだろうか。しかし、そこまでかける時間も勿体無いだろうかと。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「まあ、馬車等幾らでも買い戻せるか。それよりも、時間が惜しい」
暫しの思案の末に結論を出すと、新たに魔術を発動しグリフォンを召喚。同時に、サイクロプスを消滅させる。
無論、是も自我の無い紛い物ではあるが、乗り物として使う分には十分だろう。
「鞍と手綱が欲しいところだが…まあ、贅沢は言ってられぬか」
グリフォンの背中に乗り、思念で指示を出せば天空高く有翼の獣は飛翔する。
こうして、ぽつんと豪奢な馬車だけを街道に残して、少年は王都へと飛び去っていった。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。