2018/04/25 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にガマグルマさんが現れました。
ガマグルマ > 「流れ流れてーって舌噛む舌噛む!」

街道は比較的安全。となれば大手ギルド商会の定期的な搬送馬車も時間帯を定め、護衛の勇士達と共に街道を驀進していた。
ある程度は均されている平坦な道とは言え、やはり小石や凹凸は自然に生まれる物だ。馬車の旅と言うのはそれなりに安全を提供されていても快適とは程遠い。上下に揺れる度に木造りの長椅子が上下にゆれ、強かに尻を打ちつけては苦悶の声があちこちで響く。

御者に文句の一つも言いたいが、速度を落として山賊や盗賊に囲まれたり、魔物の群れに襲撃をされるよりはずっとマシだろう。
勇士の護衛とはいえ、冒険で大金を得られるような力量をもてず――そして自分の力に諦観を覚え。
それなりに安定した生活を望んでギルドと契約している護衛兵が大半なのだから。騎士にも傭兵にも力量は劣る群れと見て良いだろう。

「こんなんじゃぁ目的地につく頃にはケツでっかくなっちまうなぁ。」

ナイスバディになるのは女だけで良いのに、という言葉は飲み込んだ。
一応だが馬車の中は暗いとはいえ、自分以外に僅かな乗客も居るようだ。下手な事をいって気分を害し――目の前にナイフを突きつけられてはたまったものではない。

ガマグルマ > 今回の旅の目的は簡単だ。
自分の意識を失う時に、王都の外。どこの領地に、どこの都市に移動していたのかを調べる目的があった。
手帳にこまめに記していたポイントを地図に記し、王都の自分の生活環境の中心部から線を描き、道中にある都市一つ一つを訪ね足跡を調べている。

――王都を出る折には几帳面に、出国の記録を残しているのだ。他の都市に入る際に、その手続きを怠るような真似はしないだろう。
そもそも、自分の体の能力を考えれば、盗賊や魔族、暗殺者のように裏口からこっそりと侵入、等という芸当は到底不可能なのは、悲しい話だが自分が一番良く判っている。

「ツェンド家、ダグスライト鉱山、ディリンド領、王族直轄領、旧魔族のお屋敷、ねぇ。見事なまでにバラッバラすぎて手掛かりにもなりゃしねぇ。」

北西方面に伸ばした線に沿って手当たり次第に都市を訪問した結果、自分が記録を残していたのは5つの場所。その先に向ったりもしていたようだが、流石に魔族の土地にさらに近付く気にはなれずこうして引き返してきたのだった。
異色の臭いを放つのは、ダグスライト鉱山に魔族の屋敷。さらにいえば貴族領に王族直轄領も妙な話といえる。

……怪しい箇所が多すぎて手詰まりになるのは良くある事だが、情報をもう少し纏めるか、とペンを指先でくるくるくるくる――

ガッタン!と言う馬車のゆれと共に、そのペンは馬車の外に飛び出て行ったわけだが。

ガマグルマ > もしかすれば自分の体と意識を乗っ取られているならば、偽装の為に複数の場所に足を運んでいる可能性も否定は出来ない。
……が、それなら中途半端だろう。何故わざわざ方角にある程度の規則性を持たせているのか。
本当に意識まで乗っ取り、偽装させるなら方角も都市もばらばらに。さらにいえば、靴や服に群生地が限られた植物でもさりげなく附着させれば良い。

それをしないなら、そこまで余裕があるわけではないか。
ばれたとして問題無いと思っているか。
――意識を乗っ取られたりしているわけではなく、単純に夢遊病の類なのか。

ガマグルマ > 「えっろいお医者様とかー。魔法使いに相談するかー?そんな知り合い居ないけどな。」

はぁ、とため息は重々しく。けれど一つだけ、判ったことはある。
この手の調査をしていたとしても、どうやら自分の命に即座に危険はないという事。流石に出国履歴を調べたりしていれば、目にもつくだろう。そして足跡を追いかけていれば、幾ら雑な性格をしている存在でも何をしているか、くらいは伝わるだろう。
だが、警告等は一切ないし-―何かしらのメッセージを受領した訳でもなかった。

「んー、とすると、俺のコレが原因なのかー?」

コレ、とは特性の話。何をもって魔法すら使えない、一番簡単なそよ風をおこしたりする魔法さえ使えない自分に宿っているのか不明な特性。
これが自分に影響を与えているのか、それともこの特性を自分に預けた存在が呼んでいるのか。

ガマグルマ > 「―――騎士団なぁ。」

信用をしていいかどうか。騎士団に相談する前に考えるのは、だ。
彼らは果たして魔族やそれに連なる存在と陰で手を結んだりはしていないか?という点。
ギルドもそうだが、騎士団に対して特に疑惑の目が向くのは魔族と人間、ミレー族。それらのパワーバランスを考えた際に、どう考えても非魔族が不利なのに押し切られることなく拮抗をしているという点。

――努力の賜物、訓練の賜物――というのもあるが。
人とは果たして、そこまで魔族に対抗しうる存在なのだろうか。
難しい事を考えた性なのか、馬車が揺れる前兆に気がつかず――

「オゴッ、アゴッ」

揺れた際に天上の幌を固める為の骨に頭を撃ちつけ。
そして重力に従い落ちていく腰が、長椅子の角を滑り床板に強かに腰を打ち付けたための声だった。さながら動物のような声の後、悶絶するようにごろごろと床板を転がる男の姿。
――ついでに馬車内に目ぼしい女性の姿がいないか、はたまた女性がいたらミニスカートとかはいてないかとか観察しようとしてたのは、ご愛嬌

ガマグルマ > そして揺れる馬車は一路王都へと向う。――相談する相手に悩むが、それはそうとしても腹は減るのだ。
香辛料がたっぷりと振り掛けられ、弱火で皮からパリっとするまで焼かれ、余熱で肉の内部まで熱を通し。
肉汁を外に零さないように繊細に火加減が調整された鳥の串焼き。

それを頬張りながら夜の相談役でも探すのだろう。
馬車が王都に入るまで後僅か――

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からガマグルマさんが去りました。