2018/04/24 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にネコアシさんが現れました。
ネコアシ > 偶然と偶然が重なって、其処に好奇心を掛け合わせて、更に無駄な行動力を足して答えを導き出すと、結果こうなる………。

こうなる………。

此処は何処だろうか?
確か貧民地区から平民地区に入り込み、止まった馬車を見つけて積荷の一つを懐に収めたところで意識が飛んで、今現在に至る訳である。

気絶していたのか?それとも気絶させられていたのか、手には瑞々しい真っ赤な林檎が一つ、灯りは夜空に輝く星星があるくたいで、松明もランタンもカンテラも無い……。

更に言えば土地勘も無い。
王都の外だと言う事は理解している。
生まれて始めての外、何処に行けば何処にたどり着いて、何処に行けば帰れるか、何てわからない……。

カシュッ……。

瑞々しい果汁が散り、あまり林檎の香りが鼻腔を擽る。
果肉のサクリとした触感と甘い味わい……。

何はともあれ唯一無二の所持品である林檎を齧る。
齧りながら立ち尽くしても仕方ないので歩き出す。

目的地は王都だ。
王都なのだがどっちに向えば王都なのか、さっぱりだが立ち止まっていても王都にたどり着くわけなんてないのだ、だから歩くしかない。

一歩一歩地面を踏みしめて、諦めよりも何とかなるさのケセラセラの気持ちでまだ少しだけ冷たい夜風をアビながら、不安定な天候も気にせず道を歩き続ける。

「……しかし此処はどこ???」

本当に何処だろう?
踏み歩く地面の感触からして、人の通りがある場所だと思う。
なら街道?中継地点?何処とどこかを結ぶ道??

まあ頭の上に?マークが無数に飛び散って消えていく……。

ネコアシ > まあいいか、何とかなるか、何とかなるさ。
貧民地区で生活していると嫌でもある種ポジティブに同時にネガティブにもなる。

今は良くも悪くもポジティブに、名前の由来である自慢の「ネコアシ」を使い足音もなく、気配も薄くして、なるべく魔物などに遭遇しないように周囲に気をつけながら街道を進む。

万が一の時の為に足元の砂を投げつけて、相手に目潰しを与えて逃げる覚悟はできている。

自然と汗ばんでいく指先に掌に何度も何度もニギニギと拳を握っては広げを繰り返し、呼吸も乱してネコアシが無駄にならぬように静かに夜気が満ちる空気を吸い込み、静かに吐き出しと呼吸から気配が乱れて暴かれぬように気をつけて……。

進む、一歩一歩確実に。
何処に向かっているかは判らない、が少なくとも人里に下りれるといいなーっと楽観的に考えて。

「まー悪い事はできない?ってヤツだね……。」

と、思い返せばきっとまだ片手で握り締めている食べかけの林檎に視線を落とせばふと思う。

きっと盗難防止用の魔法に引っかかり、王都を出たところで捨てられたきっとそんな話なのだろう、もう笑えない話だが笑うしかない、手首を落とされなかっただけマシって思いながら、静かな呼吸に溜息を混ぜる。

ネコアシ > 街道を歩く少年一人。

無事王都にたどり着いたかは後日わかるだろう。
ただ危険な場所を無事通り抜けたことだけは確かで、自慢のネコアシは冒険に便利だと自覚して、少しだけまた冒険者を目指そうかな?何て思ったりもする。

未来も行く先も不確定。
それが楽しいと思える年齢で、それが楽しい年頃で……
無事人のいるところにたどり着けたのは夜が明けてから、其処が王都なのか何処かの村なのか里なのか、それはまた別のお話である。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からネコアシさんが去りました。