2018/03/31 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にシスター・マルレーンさんが現れました。
シスター・マルレーン > 「……これ、ですね。」

よいしょ、と背嚢や荷物を下ろして街道沿いに打ち立てられた木製の杭を眺める修道服。
冒険者としても登録されているシスターが一人、ふう、と長い紺色の袖で汗を拭う。
日差しが少しだけ強いから、流石にフードは脱いでしまえば、きらきらと太陽の光を反射して、髪が煌めく。

「えーっと、老朽化し、内容も古くなった立て札を立て替えろ、でしたか。
 ………………。」

思うところがあるのか、腕を組んで苦い顔でんー、っと唸る。

シスター・マルレーン > 彼女は教会から派遣された冒険者である。
その教会の指示で「人助けであれば全ての依頼をこなしなさい」と言われてしまえば、ひとまず敬虔な方の彼女は、それを素直に受け止めるわけで。
結果として、シスター兼冒険者と言うより、シスター兼何でも屋になってしまうのだった。

「大工仕事は、あまり得意では無いのだけれどねぇ……。
 まあ、やるだけやってみますか。」

よし、と鉄製のスコップを手に、立て札の傍にしゃがみこんで、ざっくざっくと掘り始める。
そう、彼女は街の何でも屋。
やったことのない依頼でも、気合と度胸でとりあえずやってみるのである。

「……いきなり、引っこ抜いた方が、よかった、の、かしら、ねっ……!」

ざっくざっく。とりあえず引き抜きやすいように杭の根元を掘る。
掘る。掘る。ただただ掘る。

通りすがる商人やら旅人やらに、奇異の目線を向けられてしまうが、まあ、それはいつものこと。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にマニィ・ケリドルウェンさんが現れました。
マニィ・ケリドルウェン > 良く晴れたとある日の事。朝も早くから魔法薬を作成する為の材料集めに精を出し、さてはて帰って調合──の前に酒場で一杯キメようか。
等と健全な思考をふうわりふうわり浮かべながらの道すがら。私はちょいとばかし妙なものを見るのでした。

「なぁ~にやってるんだい?」

それは思わず足を止めて気を留めてしまうようなもの。
だって、何処からどう見ても教会の修道女で御座います。なぁんて風体の人が看板相手に土工の真似事しているんだもの。

「新手の御神託でも下ったのかなぁ。それともあれかい、今夜の薪にも苦労して看板泥棒?」

猫をも殺す感情過多に口端歪めてにょろりと近づき眺めもするさ。あ、これ食べる?的に取ってきたばかりの薬草を差出もしてみるよ。
足が生えてもそもそ動いてるけど。

シスター・マルレーン > ざっくざく、すっかり上半身を穴に入れるように掘っていれば、背中側から声がして。

「この看板を立て替えなければ神罰が下るだろう、ですか?
 すっごい細かい神様ですねそれ。」

相手の言葉に苦笑を浮かべながらむくりと起き上がろうとして。

「薪の量の割に苦労に見合わないと思うんですが!!
 立て替えに来ただけです。
 ここはちょっと危ないですから、冒険者として登録している私がこう、建て替えに来て………。

 ちょっと引っ張ってもらえませんか?
 食べるのはその後で。」

穴から出られなくなったシスター。思ったより深く掘り過ぎた。
っていうかこの杭深く刺さり過ぎなんですけど。

お尻だけびょこん、と飛び出して穴に上半身を突っ込んだままのシスター。

マニィ・ケリドルウェン > 「そうそう、後はボケに的確に反応してくれないと神罰が下るだろう。とかさ~。」

ちょっとからかってみようかな。なんて思って声をかけたら真っ向から打ち返されて帽子がずるりとナナメにずれる。
これだからお堅い修道女って奴は……等々頬を膨らませて文句をブーブー言いながら一先ず動く薬草君は布袋の中へ収納す。

「……にしても、仕事は選んだ方が良くないーい?こういうお仕事ってさ、もっと屈強な10人くらい殺してそうな大男とかが片手間にやるような
……って私も手伝うのォ!?」

場末の劇役者がするような「魔女の笑い」をしていたら巻き込まれて声が跳ねた。
そのままくるくると宙を飛んで行く声を見送るように一度天を見上げ、次に地面を見つめて溜息を吐き──

「ま、いっか。へ~いよ~」

気の抜けた声で杭──じゃなくって、修道女のお尻を引っ張ろう。うんとこしょーの、どっせい!

シスター・マルレーン > 「どんな神様ですかそれ。
 ツッコミ的に神罰落とすのやめてくださいよ。」

ふぇぅ、とため息をつきながらツッコミを入れる。割と冗談の通用するシスターらしい。
きっとお堅いはお堅いのだけれど、それはそれ。

「ええ、いや確かに選びたいところなので………ごほん。
 『人助けになるのであれば、それを取捨選択せず、手元にあるものから順番に手を差し伸べるべき』が教会の教えですから。
 ですから、私は頼まれれば人助けになるのであれば、如何様な仕事であれ、お受けいたします。」

穏やかな声で、きっぱりと。
ちょっと最初に漏れたが、そこはそれ、建前というものもある。
まあ、どれだけきっぱりと言い放ったところで、穴から下半身だけ出した状態だが。

「ええ、ちょっと助けてもらっても。
 そう、引っ張ってもら、って……っ!」

そんなにピッタリ埋まっているわけでもない。すぽんと抜ければ、金色の髪を後ろに軽くまとめたシスターが顔を覗かせる。土で汚れたまま、すみません、と舌をぺろりと出して。

マニィ・ケリドルウェン > これ、傍から見たらどんな光景なんだろう。
"魔女にお尻を(というか腰)を引っ張られて誘拐されそうになった修道女が、穴に逃げ込んで抵抗している"
みたいに映るんじゃあなかろうか。
そうなるとちょっと面倒なんだけど、それはそうとこの子のお尻は触り心地が良いなあって事のが大事だったから今は考えないでおこう。

「さぁ~、私は神様には詳しく無いのだからねぇ~」

閑話休題。
修道女を引っこ抜いて収穫(?)してから彼女の教義を一応と聞き、どんな神様なのかとの問いと纏めて猫みたいに笑って受け流そう。

「お顔が汚れておりますよ。というか、作業する時は御召を換えた方が良くないか~い?」

目線を合わせるように腰を曲げ、ローブの袖でちょいちょいと薄汚れた頬なんぞを拭って差し上げながら小言を1つ添えもして

「……あと、その看板。どうやって持って帰るのかーな?」

やたらめったら埋まってる部分が長い杭を指差し尋ねてみよう。あれ、きっと随分な重さだろう。

シスター・マルレーン > 「ありがとうございます。………………。」

相手が顔を拭いてくれるのであれば、ん、と目を閉じて素直に拭かれて。
……相手の言葉には少しだけ押し黙る。

「教会がやっている、と分からせるように着替えるなって指示が……ごほん。

 ……それら全てが神の導きであると、皆さんに伝わるよう、ご迷惑だとは理解しつつも、このままの恰好で働かせていただいております。」

キラキラと輝くような作り笑顔で微笑みかけて、………はぁ、と肩を落とす。
分かってるんです、分かってるんですよ……、と力ないお言葉。

「……ふふ、そこは大丈夫です。
 だって、引き抜くだけだと立て替えになりませんからね。」

相手の言葉にふふんと笑い、背嚢の傍の茂みから、じゃーん、と新しい杭を看板を持ち上げる。

「……担いできました!」

えへん、と少し大きめの胸を張るシスター。どうですか!って顔を見せる。

マニィ・ケリドルウェン > 「あー……なぁるほど。大変だねぇ……ヒッヒッヒ、いや何も私は迷惑とは思わないよぉ。
ただ何だって修道女さんがこんな事してるんだろうねえって気にはなったけど。
もし貴方が普通の格好していたら…そうだねえ、声、かけなかっただろうから~
そういう意味では教義のお陰で知り合えた。となるのかもねえ。」

取り繕った修道女の笑顔VSわざとらしい魔女の笑み顔。
明るいうちから街道沿いで繰り広げられるバトルは激しい火花を特に散らす事も無く、
彼女が肩を落とすのを留めるように肩を叩いて諌めて終了の形。

「……うわ。」

その後、看板をとっても得意げに掲げられたらやだこの子ったらパワー系?みたいに私の垂れたお目目が瞠りもし
何処と無く褒めて欲しがる犬のようにも見えたこともあって──

「え~っとぉ……はい、ごほうび?」

布袋から薬草を取り出して差し出してみようかなあ。
足が生えてもそもそ動いてるけど。

シスター・マルレーン > 大変なんですよ……大変なんですよ……暑いし。
ぶつぶつと小さく呟きながら瞳のハイライトが消える。
そこにぽん、と肩を叩かれて。

「……ふふ、じゃあ、少しはいいこともありましたね。
 私は街の教会のお手伝いもしております、シスター・マルレーン。
 マリーでいいですよ。 冒険者としてもまあ、それなりにそこそこ長い間?」

格好のおかげと言われれば、今度は作り笑顔ではない微笑みを向けて。

「誰が犬ですか。」

即座に考えていることが分かったのか、ツッコミを入れる。
もう一度新品の杭を転がして。

「……ご褒美って、いったい何なんです、これ……
 食べられそうにない、ですけど。」

確かにもう土は十分落とされているから、噛みつけばいけそうではある。
もぞもぞ動くそれをうわぁ、と言った表情で見つめながら受け取って眺め。

マニィ・ケリドルウェン > 「私はマニィ。マニィ・ケリドルウェン。この国の人間じゃ~あなくってねえ。所謂旅の魔法使いって奴。
一応冒険者として登録はしてあるけど~普段はお薬作って、売ってたりするよぉ。」

マリーとマニィで似ているね。なんて首をかたりと傾いでみせたら鋭い槍のような突っ込みが来たもので
大仰に攻撃を避けるようにぐるんと動いて避わしてみせる。

「んふふ、じゃあネコかなぁ……ってそれは惚れ薬の材料でねえ。惚れ薬と言っても、飲んだら胸がやたらめったらドキドキするだけの
心臓に負荷をかける代物なんだけどねえ。相手に飲ませて、胸騒ぎをさせて勘違い、みたいな。」

食べても美味しくないよ。とにょろりとした長身を折り曲げて、するりと覗き込むようにして。怪訝そうな顔を眺めてニヤニヤと。

「もし何か作って欲しいお薬とかあれば~……そうだねえ、作れそうなら承るから相談してくれると嬉しいなあ。あ、今は○○○○って宿に居るからさあ。」

シスター・マルレーン > 「魔法と薬学を。……それはまた、きっと博識なのでしょうね。
 そういう意味では、どちらも旅人、ということなのでしょう。
 名前も立場も、少しだけ似ています。」

なんて、少しだけ笑って。
にゃーん、なんて声真似を一つ入れるのだけれど。

「いや何をくれてるんですか!
 しかも心臓に負荷かけるだけって! いや、ほんと、お返ししますから………。」

丁重にどうぞ、とお返しをすることにする。
ニヤニヤと笑うその顔を、唇を尖らせながら見つめて。

「……からかってます?」

不満げだ。ちょっとだけ頬も膨らむのもやむなし。

「………薬ですか。確かにそれは相談させてもらうこともあるかもしれません。宿の名前は……ええ、分かりました。
 今、腰痛を何とかして欲しい、って依頼が来ているんですよね……。」

ほとほと困った、といった顔で腕を組んで悩む。
何でも全部こなせ、という指示はうんざりするほど大変である。

マニィ・ケリドルウェン > 「いんや?魔法も薬も独学でねえ。猟書趣味がある訳でもないし……立場、似ているかねえ。」

猫の真似をするマリーの事をじろじろと見てちょっぴり眉根を寄せもして
丁重に返された薬草君はまたもや布袋の中へと帰っていく。
何処と無く、その後姿は寂しそうだったかもしれない。

「ひっひっひ、ばれたか。なぁにお薬は使いようだよう。結構人気、あるんだぜぃ。」

不満そうなその様子に此方は満足そうに笑ってまるで山賊のような物言いをし
マリーの頬を両手で挟むようにして窄めておくとする。はぁい、ぶしゅー。

「……で、腰痛……腰痛ねぇ。それだと飲み薬じゃあなくって膏薬の方かなあ。
お年寄りかい?それとも、お腰を使い過ぎた男前かなあ?後者なら君が優しく擦って上げたら良くなるかもねえ。
君ったらほら、随分可愛らしいのだから。……逆に痛めちゃうかな?」

腕を組んで悩むマリーの顔を見ながらどうにもちょっと口端が緩んでしまうのは悪い癖。

シスター・マルレーン > じろじろ見られても気にすることなく、首を軽く傾げて。

「まあ、人気はあるでしょうねぇ。
 そういう薬が欲しい、などといきなり教会の懺悔室で言われたりとかも……。」

また遠い目をしてため息一つ。
頬を抑えられれば、薬草の匂いがした。
ぷに、と少し柔らかい頬は運動をしていたからか、少し暖かく。

「……そういうのもあるんです?
 ああ、まあ、お年寄りですかね。司祭様のご友人が痛めてしまったらしく………。

 ……何言ってるんですか。

 ……いや、ほんと何言ってるんですか。」

最初のツッコミは頭に?マークを浮かべながら、訝し気に。
次のツッコミはかっ、と頬に朱を刺しながら、少し慌てて。

「そういう痛みは自分でなんとかしてもらいますー。というか病院行ってくださいー。
 ……………全く、もう。

 ほ、褒めたって何にも出ませんよ?」

まだ顔は赤い。照れながら指を立ててお説教。

マニィ・ケリドルウェン > 「……懺悔室で言われるのも相当じゃなーいかい?この国はやっぱり乱れてるねえ。
お陰で私みたいなのでも稼げるんだけどさ~……あ、ナニの方じゃないからねえ?
身体は売りものじゃないから~……って、君みたいに抱き心地良さそうじゃないから売れないって?
わ~かってるよう。」

何を言うのかと問われたらナニの方だとけらけら笑って怒られて
諌めがてらに自虐の一つも付けてから背筋を伸ばして街道の向こうを視る。
丁度、交易馬車がやってくる所。

「まあまあ可愛い顔が出ただけ得かもねえ、なんてさ。
お詫びじゃあないけど馬車代くらいは出して上げるよう、アレに乗って帰ろうよ。」

看板を持って歩いて帰るのも大変だろうと遠くの馬車を指差して。あれならきっと
荷物を積んで二人が乗る余裕だってありそうだ。

シスター・マルレーン > 「いやほんと正直勘弁してほしいというか、あえて聞かせに来る人もい…… ごほん。
 いえ、本当に悩んでいるのですから、どんな悩みでも、どんな懺悔でもお聞きしますよ。」

両手を組んで祈る仕草を見せながら、一つ二つ咳払い。所々本音が出る。

「私も売り物じゃありませんよ。
 いや、抱き心地とかそういうのはその、いきなり外で何言ってるんですか!」

もー! と顔を赤くして怒り。
相手の返しにもっと頭から湯気を出して、看板の杭を持ち上げて怒ってやろう。
これでツッコミを入れればダメージは抜群に出るだろう。相手は死ぬ。

「………本当ですか?
 いやまあ、それならちょっと待ってください馬車が来るまでに引き抜きますから。 

 あ、ちょっと待って待って。ほんと、そんないきなり来るとちょっと困るんですけど。

 えいっ! と、りゃっ! ふん……っ!」

慌てて杭と格闘を始めるシスターが一人。
によによと眺められれば、もー! と不満げな声を挙げながらも、看板を見事立て替えて。
不思議な長身の魔女と、ぜぃぜぃ言いながら古い杭を抱えたシスターが馬車に乗って………街へと帰るのでありました。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からマニィ・ケリドルウェンさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からシスター・マルレーンさんが去りました。