2018/03/21 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にウイユオールさんが現れました。
ウイユオール > 都との距離は街灯りが見える程度の場所──
街道沿いに流れる川の、その川辺に大の字になって寝そべっている少年が居た。
その近くには、小型の馬車程もある大きさの、凶悪な挟みを持つ沢蟹が絶命している。

「はあー……はあー……」

街の近くの水場に魔物が出るので退治して欲しいという依頼を冒険者のギルドで引き受け、
手頃な以来だと思って意気揚々と繰り出したはいいが、いざ現れたのは凶悪な怪物そのもの。
単身で訪れるべきではなかったと後悔しながら戦いに臨み、一時間は危うい戦いを繰り広げただろうか……
ようやく止めの一撃を叩き込み、疲労困憊で倒れ込んだ少年の体中には傷が刻まれ、
今は再生の煙をシュウシュウと立ち昇らせている。
少し離れた街道には都へ入ろうと歩く人影や馬車が呑気に行きかっていた。

「こいつ、ちゃんと分解されるかなあ。夏じゃなくて良かった」

岩の塊のような蟹の化け物は、この辺りの生物の食料になるだろうか。
真夏だったら翌日には腐敗臭が漂い大変な事になっていただろう。
同じ冒険者の中には魔物の体の一部を素材として持ち帰ったり、薬品の材料にしたりする者もいるが、
少年にそういった知識は無いので、自然に還るのを待つしかない。
何にせよ、他人──他蟹の事を考えている場合ではない。体がまともに動かないというのに。
半分眼を閉じて、肉体の再生に意識を傾ける。
そうすると、気持ち程度だが再生の速度が上がるのだ。やがて、再生の煙は細くなり、薄れていく。

ウイユオール > 眼を閉じている間に、段々と眠気が押し寄せて来る。
こんな状況で寝ていたら、何かの拍子で様子を見に来た人間を驚かせてしまうだろう。
しかし、体の負傷の再生は、便利に見えて非常に疲れるので、あれこれ考えるが
段々と億劫になってきてしまう。
まあ、いいか……というように。
明るくなる前に起きればいいんだ、と自分に言い聞かせる。起きられる保証も、
起こしてくれる者もいないのではあるが。
体の傷が言えれば言えるほど、体はエネルギー消費を訴えて重くなり、眠気は増していく。
このエネルギー消費で死ぬことは、枯れてしまえば再生も止まるから無いとはいえ、
とことんまでいけば歩く死人程度の元気しかなくなってしまう。あれらに元気という言葉が似合うかは別として。
一番効率が言うのは、再生を行いながら休息を取り体力の回復につとめることなのだ……
と、色々理屈をつけている内に完全に上下のまぶたがくっつき、やがて寝息が……

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からウイユオールさんが去りました。