2018/03/18 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にカインさんが現れました。
カイン > 「はい、お勤めご苦労さん。
 報酬は確かに受け取ったし、不足もないな。毎度あり」

心地よい風の吹き抜ける街道のど真ん中に上機嫌な男の声が響き渡る。
対話の相手は甲冑を身にまとった数名の人間、
報酬の対価として引き渡しているのも人間となれば、
まるで奴隷売買か何かの現場の様だが甲冑を身にまとった者達の
装備に刻まれた王国の紋章がそれを否定していた。
つまりは賞金首の引き渡しの現場である。

「街道の野党の盗伐でこれだけもらえるなら文句はいが、
 人手はあんまり足りてなさそうだな」

あまり男に対して好意的ではない騎士たちに対して軽口をたたいて見せれば、
敵意交じりのまなざしを向けられお手上げとばかりに両手を挙げて見せる。
それを確認した騎士達が去っていくのを見送りなら軽く肩をすくめ。

カイン > 「とりあえず、帰ったら酒でも飲みに…いや、今日は飯にしとこうか。
 まだ完全に抜けきってない感じがする」

つい先日二日酔いになった挙句に前後不覚寸前になるという醜態を晒したばかりである。
自重を自分に戒めながら、それならばと手にした報酬を見下ろして思案顔。
正直な話金に困ってるわけでもなし、
仕事で手にした金は大体遊びに使っているのだがそうなると使い道が思いつかない。

「久しぶりに道具に金でもかけてみる、か?とはいえ大体手入れで事足りるしな」

何か足りないものでもあったかと思い返しながら指折り考えながら、
一休みと日当たりのいい張り出した岩に座り込み。

カイン > 「ないものといえば鎧か盾くらいだが、正直使わないしなあ」

どちらも試してみた結果、性に合わないのは確認している。
根本的に重装備が好みではないので、
あまり重たい武器や防具の類を買うのは憚られる。

「となると護符とかそっちの魔具の類か、金が足りるかねえ」

今の手持ちで足りるかどうかは怪しい気がする。
もらった報酬の中身を指折り数えて困った顔になる。足りない気がする。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にオデットさんが現れました。
オデット > 間深くかぶったフードの端に、黒の裾から覗く自分のつま先が見えた。
提げた麻袋はずしりと重く肩肉に食い込む紐が微かに痛む。
だが、女は街道をゆき続けた。荷を諦めることなく、普段より落ちた速度で土を踏む。

――ぽた、ぽた。
それは麻の袋から滴る赤い滴。
気づいてはいるものの処理をする手間と手段を持たぬ女にとって、それはさほど大した問題ではない。

カイン > 「さて、そろそろ帰り支度というか飯の算段でもつけるとするか。
 酒場選びはそう苦労しないにしろ、食うものは考えなきゃな」

しばらく考え込んでいたものの結論が出ないので、
考えを楽しいことにシフトさせて立ち上がる。
少し金が入ったのだから細やかな豪遊をしても構うまいと、
行きつけの店の事を考えていた所でふと視界に入る通行人の姿。
他に人気がないのを差し引いてもひどく目立つ人影に、
興味を惹かれれば緩やかに近づいていき、きやすい様子で声をかけた。

「やあ、お嬢さん。今から王都の方へ戻るのかい?」

オデット > フードで覆われていない下半分の視界には自分の足と土しか見えない。
周囲への興味や警戒の薄さはいつもながら、微かに後ろ冷たい気味の悪さから声をかけてくる人間も少ないが、どうやら今日は違ったようだ。
斜め前より拾うた低い声色に引きがちの顎を上げて足をとめた。

「 …”お嬢さん” ?」

声で体温など測れぬが、柔らかく、それでいてしんと冷えたふうである。フードのせいで相手の切れ端しか見えない視界だからもう少しだけ顔を上げ、傭兵染みた風貌の男に焦点を合わす。
肩に提げた麻袋をかけなおすと、ぽたりと赤い数滴が落ちた。

「 ええ、用事が済んだから。」

カイン > 「ん?人を呼び止めるには失礼だったかな、すまないね」

無視されても致し方ないだろう声のかけ方ではあったが、
とりあえず帰ってきた反応には一応の謝辞を述べつつも、
続いて言われた言葉に顎に手を当てる。
陰気といわば陰気な様子ではあったが、
男の方はさほど気にもしてはいない様子で、軽く荷物に視線を向け。

「それなら丁度いい。一緒にいかなかね。
 ま、荷物持ちくらいにはなるだろう」

必要ならばと笑って述べながらに荷物を示す。
旅は道連れ、と言わんばかりの体は他意はあまり見受けられない。

オデット > 彼の方が上背であるから、顔を持ち上げたくらいでは顎の先しか目に見えない。
冷めた風な声はもとよりのものだから、――だから、返ってきた謝りには女の方がまつ毛を翻した。
そうして、肩に食い込む紐を緩く握り直し、空いたもう片方の手で間深くかぶったフードを払い退けた。
やや眩しげに瞳を細め、唇を笑みの形にくずす。

「 私こそ、お話するのに顔を隠したままで、ごめんなさいね…。」

ちら、と濡れた袋に着く視線を拾う。ああ、と短くかぶりを振って、

「 あなたの方が力持ちみたいだけれど――… 汚れてしまうでしょう。リスの血って、乾くと匂うのよ。」

と、中身が人のそれ以外であることを伝えながら苦笑いした。

カイン > 「何、どちらが不躾化といえばこちらの方だ。気にすることはないさ」

気さくな様子は崩さぬままに言葉を紡ぎ返したところで、
聞こえてきた言葉にはて、と小首を傾けて少し驚いた表情を浮かべる。
動物の何かを運ぶというのはさして珍しい話でもないし、
それを入用とする職も幾らも思い付きはするのだが。

「血抜きはしてないのか?その状況だとさぞ重いだろうに」

オデット > 傾いだのは、無礼を良しとする男への返事のつもり。笑っているから、応のいらえだ。
その後にまばたきを繰り出し、麻袋に重たく横たわる”それら”の事を思い浮かべながら相槌を打つ。

「 ほど良く血の抜けた、お腹から上の部分がたくさんいるのよ。 」

――恐らくは、怪訝と不可思議の誹りを免れぬだろう返事だが、嘘ではない。折り重なって横たわるリスという生き物だったそれらは、皆半分ずつしかない。
さりとてそれを一風変わった風もなくしれりと告げて、行く方向へつま先を向けて見る。
踏み出す一歩はそれでいて、彼を置いていくふうではない。

「 でも、お話はだいすきよ。 あたしと来て下さるの。 」

カイン > 「なるほど、確かにそれは素人が扱っていい物じゃなさそうだ。
 俺が持ち歩いて台無しにするのは忍びない」

魔術、呪術の類かあるいは薬でも作るのか。
いずれにしても素人が取り扱っては台無しになりかねまいと、
お手上げとばかりに軽く両手をもちあげて見せながら肩をすくめる。
野伏としての知識くらいはあるものの、さすがにその手の事は門外漢だ。
相手に合わせるようにしてゆっくりとした足取りで歩き始め。

「それじゃあ、お供させてもらおうか。
 その前に名前を名乗っておこう、俺はカインという。傭兵だ、
 そちらは?何の用事でまた出かけてたんだ」

オデット > 「 ええ、そうね。 それにね、知らないだろうけど私だって力持ちよ。」

女のまろい肩膚に食い込む紐が嘘か本当かを瞭然とさせていたが、冗談染みた生意気なくちぶりで続けた。
フードをかぶらぬ髪が歩くたびに風に揺れ、くすりの薫りを散らした。
歩調を馴染ませてくれる彼の歩みに肖る形での歩幅に甘え、名を問う声に横あいを向く。

「 ――――カイン。…私はオデット。 

 とても徳のあるお方が、好いた女の心が欲しいというから。
 それなら、リスの上肢と、燻した白樺と、チョコレートがいるでしょう。 」

歌うように、今夜の献立の品を並べ立てていく女の声は朗らかだ。
彼が薬の知識を持たぬと知りながらも、いや敢えてそうであるから態々声で記して見せた。
丁度リスを切らしていたのよ、と付け足すように笑い、逆側に首をかしげて見せる。
まるで、相手へと同じ質を返すように。
 

カイン > 「なるほど、ではいらぬ心配をしたかな。
 確かに心配はなさそうだ」

少々不躾に相手の様子を伺い見れば、なるほど確かに問題がなさそうだ、
と判断して軽く笑いながらうなずいて見せる。
名を名乗り返されれば、なるほどと納得した様子でうなずき返した。
その実際の方法こそわからないものの、
依頼された事と依頼した物の事は大体見当がつく。

「そりゃ大変だ。どうやってそうするのかは知らないが、
 そんな大荷物が必要ってことは簡単じゃないだろう。
 俺はここらで暴れてる不埒物を捕まえて、引き渡すのが仕事でね。
 オデットが来る少し前にそれを終わらせたのさ」

その後しばらく休憩していたのだと笑いながらに告げて返し。

オデット > 控え目に肢体を撫ぜる視線もそよ風のようで気持ちよい。
交わす相槌に笑み返して砂利を踏んだ。

「 お鍋で煮るだけよ。若い女の唾液を垂らしてね。
 人の心を動かすのも大変だわ。」

年若の女が何のてらいもなく告げるには、ややはしたない。
だが、これも嘘誤りではないのだから濁さずしれりと言った。
れ、とほんのかすかに舌を覗かせてみる悪戯は、唾液のくだりだ。
ややあって、歩きながらふと後方を振り返り。

「 そうなの―――…私が無事にリスを切り取れたのは、あなたのおかげね。 怪我はなあい?」

カイン > 「はあ、世の中何がよくなるのかよく解らんもんだなあ」

そんなことで作れるのか、と胡乱な様子を見せながらも顎に手を当てる。
クスリやまじないの世界はとんと縁遠いだけに、どこか感心した様子すら見せて言い返し。

「どういたしまして、と言いたいところだけどこれも俺の方だって仕事だからね。
 感謝されるようなことでもないさ」

怪我はないと笑ってうなずいて見せながら、手を挙げて見せる。
実際に外傷があるようには見えないだろう。
その会話の合間にも歩を進め、春先の冷たい風に目を細める。

オデット > 「 役立たずなものなんて、実はそうそうないのかも。 」

振ったかぶりは控え目にだ。さやかに射てた冬の名残が、涼やかに膚肌を撫ぜてぬけてゆく。
歩くうちに血のいくらもを失ったリスのおかげて、肩に食い込む紐の強さも和らいできた。

「 杞憂だったのね、よかったわ。
 あなた、――――…とても丈夫そうだもの。 」

語尾を少し弾ませた。衣類越しには中肉に見える肌は、己のそれと比べれば二倍も三倍も堅牢たかろう。
前へ振り返ると、町の境の門が見えた。

「 またどこかで会えたら嬉しいわ。 ありがとう。 」

別れ際に交わす挨拶は礼で締めくくり、やがて、向かう道を分け人の敷いた舗道を行くだろう。

カイン > 「何事も使い道が解らないだけ、なのかもな。
 最もやっぱり使い道を知らない人間にしてみると、
 使いづらいのは仕方がないだろうが」

そうなるとやっぱり打ち捨てられるのも致し方がない。
笑って言い放ちながらも相手の言葉に思わず吹き出してしまい。

「はっはっは、確かに頑丈でなければ傭兵なんかやってられないからな。
 …ああ、またどこかで。機会があれば護衛で雇ってでもくれると助かるね」

そういいおいて、一礼してから踵を貸せば門の中へと消えてゆくことになるのだった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からカインさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からオデットさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にガラッゾさんが現れました。
ガラッゾ > 草原に出ては草を摘み花を毟り取り木を切り倒す。
山に登っては岩を砕き鉱石を採掘し山を削る。
どれもこれも必要に迫られるか若しくは各々が抱える作品を生み出すのに必要であれば、だ。

今夜はガラッゾ族の一人が山の帰りか薄汚れ彼方此方に裂け目を見せるボロボロのローブを着込み、正体隠しに確りとフードを被り、背中に魔獣革で作った鞄を背負い王都を目指して街道を歩いている。

街道を照らす光源を持たず自前の夜目の効く眼を頼りに素足で幾多の冒険者や旅人たちに踏み鳴らされた道を歩くのだが、用心深い性格なのか常に両手は腰に紐で括りつけた左右二振りの短剣に手を添えたままである。

「……此処カラ、なら半日カ。鉱石モ十分、宝石の原石幾つか集マッタ。カラ、山賊に会いたクハナイナ……。」

一人である。
同族同士で固まっての帰路であれば山賊や盗賊などを追いかえすのは容易いが、今宵は兄弟は早々に仕事をやめてお楽しみ中であり、自分だけがこんな時間まで作業を続けていた結果、王都まで一人で帰ることとなったのだ。

それも背中の皮袋には言葉で発した通り珍しい鉱石や宝石の原石が入っている。
これで万が一失う事になればこれから創ろうとしている作品の完成は遅れること間違いないし、命まで奪われかねない、だから早く帰りたくて、他者に見つかりたくなくて、灯りもつけずに足を音を立てずに慎重に街道を進む。

ガラッゾ > 元々体力に自信のある種族である。
半日ほど休憩を挟みながら歩き続ければ王都にたどり着くだろう。

王都に到着したらまずは宝石を鑑定にだし、磨く道具を新調し、持ち帰って作品に組み込もう。

それを考えるだけでもニヤニヤと絡みつく様な笑みを絶やす事できず、ガラッゾの1匹は灯りもつけずに不気味な笑みを浮べたまま夜の闇の中へと消えていくのだった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からガラッゾさんが去りました。