2018/03/11 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にガラッゾさんが現れました。
ガラッゾ > 本日は街への出入り口を守る守衛に顔見知りが居らず、鼻薬や袖の下も通じぬ相手だったため仕方なく別の町まで脚を伸ばしたが、売れ行きは宜しくもなく、仕方なく夜が明けて守衛が入れ替わるのを待つことにした。

場所は街道よりも王都の出入り口に近い、寧ろ外界と王都を隔てる巨大な壁・巨大な防壁、その出入り口より脇にそれた一角、守衛達からは丁度死角になった場所。
其処に平民地区で商売する時と同じく何時もの様に黒色の魔獣の革を敷いて露店を開き、売れ残りの商品を売り始める。

目元を隠すサイズのフードを被った後頭部に両手を添えて、簡易枕代わりにしてガッツリと防壁に寄りかかる。
で、辛うじてフードから零れ露出する口元を隠す事無く大欠伸。

「ったク……温かい飯と美味い酒と女で嫌な気分ヲふっとばそうと思っタノニよぅ……。」

その欠伸に絡めて零す愚痴。
作品が売れなくてもある程度金は持ち歩いているわけで、憂さ晴らしをしようとした矢先に入れないと言われたわけで……当たり前だが機嫌はすこぶる斜めである。

――現在並べてある作品(品物)は以下のとおりである。
無骨なデザインの鞘もない両手剣が一振り、何かの皮を使って創られた簡素な腕に嵌めて使う小盾、妖精が刃物を抱くなデザインで握りの創られている短剣、どれも魔力がほどほどに込められた一級品である。
金額に関しては「要相談、オーダーメイドも受け付けています。」とミミズか触手がゾンビが這いずり回ったような汚い文字で書かれた木星の看板を魔獣革の敷物の端っこに置いてある。

そんな露店を唯一照らすのは光源眩しく中を覗く事が難しいカンテラである。
それは汚い看板とは真逆の位置に置いてあり、小さいながらも十分周囲から見えるような強い光を放っている……時々左右に揺れたり、ガタガタ震えることはあるがだ。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にヴァルファルニフルさんが現れました。
ヴァルファルニフル >  
  
 「もう、あのかたはいつもどこにいってしまうんだ」

 貴族の護衛というのがこれほどやっかいだとは思わなかった。自分自身貴族であって、子供のころ、身分を隠して街に出かけるのは好きだった。だが、あのかたはそういう年ではないのだが。もう青年になろうという年齢、軍属の経験がないから警備、護衛と一緒でなければ屋敷からでることもかなわないというか、子爵様がいろいろと黒い噂のあるからだということもあるだろう。私としては、そういう貴族の護衛などは断りたいのだが。

 しかもあのかたは女好きだから女騎士しか護衛におかないと言っているそうで、あたしは馬鹿にされているとしか思えない。

 すこしいらだった気持ちがでるようにガツガツと音を立てて歩いている。半分はまじめに探しているのだが、大の男がさらわれたりはしないだろうという気持ちもあるから、すこし時間がたてば現れるか、宿に帰っているだろう、そう思いながらも、じっと宿で待っているような性分でもないからあたしはこのあたりを歩き回っている。

 まさか街から出ているということはないだろうか。衛兵に許可をとって、街のそとへでた。城壁からすこし離れたところにこんな時間だというのに、それとも、こんな時間だからか、露店が賑わっているのが見える。それぞれの店では工夫を凝らして、客の気を引くような看板を出している。

 一画の小さな道具やに声をかけてみた。

 「すまぬが、このあたりに身なりのいい弱そうな若い男が来なかったか。」

 

ガラッゾ > (どうせ売れやしない……。)

後ろ手で自分の後頭部を支え、だらだらとした空気を余す所なく醸し出したまま、多少寒いが夢の中に逃避行しようかと瞼を閉じようとしたところ、妖精族の名残ある先端尖った耳に聞える声に客か?!とばかりに身体を起こして両手も後ろ手から胡坐をかいた両膝に戻したが、其処で改めて相手の言葉思い出すと――客が店主にかける声とは全く違うもので。

フードで見えない、見せない眉間に深く皺を刻み、口元は露骨に面倒な相手が来たと口元をへの字に歪めて、チッと舌打をわざと相手に聞えるように打つ。

「……客じゃネェのかヨ……。身形の良い奴ナンザ見かけてねぇゾ。あれダロ、一目見て判るヨウナ金持ちなら今頃王都の中じゃネェのかナ……。」

一息で客じゃない誰ゾの顔を見る前に捲くし立てるように唾液を撒き散らしながら答えると、それから視線を問いかけ的なた主の方に持ち上げて、濁り汚れた眼でじろりと値踏みするような眼差しを向け、其処から相手の胸元から太股の辺りまで視線を上下させる。

「マア、知ってテモ、客じゃナイ奴に何も話す事なンテネェけどナ!」

とグッグッグッグッグッと喉を震わせて笑い、不慣れなヒトの言葉で先程の撒き散らした言葉の最後にそんな止めの言葉を吐き出した。

ヴァルファルニフル >  

 
 「そうか、困ったな、知らないのか。」

 額に手を当てて、髪をかき分ける。ふわりと手櫛で気持ちよくしっかりした太さの艶のある髪のなかを指が抜けるのが好きだからよくあたしはしている。

 貧民層の男たちのようになんだか口汚く罵るような口調に、すこしあきれながらも、あたしは背を向けた。後ろから髪を引っ張るような言葉がかけられる。 一度立ち止まって、ゆっくりと振り向いた。真顔のあたしが小柄な店の主に目線を合わせるようにしゃがみ込みながら、腰の袋からいくらかの貨幣を出す。

 「これでなにか売ってくれ。そうだな、この短剣を買おう。これで足りるか」

 この小おとこが言っているのは情報が欲しければなにかこの店で買えということだろう。王都での警備があたしの主たる仕事であるから、このあたりのことはわかるつもりだ。

ガラッゾ > (………ふむ。)

客として対峙するならあまり好ましい相手ではない。
理由はひとつ極々単純、どうみても作品を買いに来たのでも作品を気に入って買うわけでもなく、情報の対価として買おうとしている……それが客として酷く歪で不愉快である。

――だが、それは客と店主としての立場で言えばである。
濁った眼には客としてよりも商品として扱いたくなるほどの美貌の持ち主と映る。

手櫛でウェーブの掛かったブロンドの髪をかきあげる仕草、舐めしゃぶりたくなるきめ細かな肌に背を向けた際に見えた
嬲り概の有りそうな尻肉、それをむざむざと手放し逃がす理由などひとつも無い。

ならば、と知らぬ情報を売るのも面白く、しゃがみこんだ女の股座に熱くどろりと絡むような眼差しを注ぎながら、女の買おうとする妖精の意匠を施した短剣を摘み上げると、女が差し出す貨幣を引ったくり、代わりにその短剣を女の掌に乗せてから、重い腰をあげてその場から立ち上がる。

「……毎度有リ。仕方ネェ……その男とやらが隠れた所に案内してヤル。何特別サービスダ……。」

グフ、とそれはそれは愉快そうにフードから見せる口元を笑みの形に歪める感じで笑うと我先にと歩き出す、と言っても露店の通りを数m程抜けて、角を曲がった辺りまでの数分も掛からぬ露店どおりからの死角でもある場所までだ。

それに罠も仕掛けてある。
妖精の意匠が施された護身用の短剣、それは身を守ることに特化した効果がこめてあるが、短剣に主従の登録をしない限り、短剣自体が盗難とみなし、手に取った主の身体に痺れさせ、短時間であるが麻痺させる魔力を発するのだ。

それが発動するまでの数分を歩く事で稼ぎ、発動したら其処で女騎士様を美味しく頂くつもりだった。

ヴァルファルニフル >  

 
 「そうなのか。知っているのか」

 まさか、知っているとは予想していなかった。金が欲しい、それだけで言い寄ってきているような小汚い露店商いをしているものだろうと、とはいえ、いくばくかの可能性があるならば、あたしはやっておかないと気が済まないたちだから。だけど、予想よりもいい結果がでて、あたしの顔色が明るくなって、小柄な店主に渡された短剣を握りしめる。

 店主がその小柄な体をおもったよりも素早い身のこなしで動き出した。案内しているというような気を使った歩き方じゃない。まぁ、よく知った場所にいくということならこういう感じに歩くのかもしれない。あのひとときたら、たぶん、どこかで悪い店の主と女遊びに戯れていそうな予感がして、気が重いのだが、あたしがそこに踏み込んだ時のあの男のいやそうな顔が思い浮かぶ。

 店主の小走りに近い動きにも、日ごろの鍛錬を行っていないあたしは十分についていくことができる。手にした短剣はそのままぎゅっと力を入れて握っている。すっと角を曲がって、薄暗闇になって人通りがなくなった。そのまま前を進む店主はその先の角を曲がった。おいかけるように一歩、二歩、進んだところでガクリと膝が落ちて、しまう。体が痺れてきて、短剣を握った手は硬直してしまって、短剣を離そうとしない。別の手はそのまま指先以外は動けない。両膝をついて、動かないからだでふとももを震わせている。

 「待て、待ってくれ。体が、体が動かない。どうして」