2018/01/30 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にガラッゾさんが現れました。
ガラッゾ > 鍛冶を生業にする増えているが縛られていない個体と違い、ガラッゾと呼ばれる妖精の一族は通常は今宵メグメールの街道を馬車より先行して歩いている個体のように誰かしらに特定の手順で召喚され、使役されている個体の方が多い。

その醜い容姿、品の欠片もない言動、それに相応しい歪んだ行動をとる事が多いそれは馬車が無事王都まで帰り着く為の斥候・露払いの役目をもって、二人一組で歩かされている。

1匹は肩に背丈に似合わぬ巨大な戦斧を携え、もう1匹はナイフを片手にカンテラで道を照らしながら歩いている。
妖精達の能力から考えれば人工的な明かりなど必要ないのだが、明かりを点ける事で馬車から妖精達の存在を確認しようとしているようだ。

「……ツマンネェなァ、オレモ好き勝手やりたいゼ……。」

自分で鍛えた大きな戦斧の柄で自分の肩をとんとんと叩きながら、その戦斧を携えたガラッゾの1匹は発音の良いとはお世辞にも言えない濁った声色でぼやくと、だいぶ後ろをついてくる本体の馬車を肩越しにちらりと視線を送り、言葉の閉めに大きな欠伸と溜息を吐き出す。

「ソウイウな兄弟。もし何かアリャ、馬車を襲っテ、中身を頂ケバいいんだからヨ……誓イに穴が無いか無い頭使ッテ考えヨウゼ?」

片やナイフとカンテラを持った方のガラッゾ族はそんな兄弟の発言を咎めるどころか、抜け穴がないか考えろと煽ってまで見せ、チラリとまるで獲物を見定めるかのように同様に後方を進む馬車へと視線を向ける。

まあ召喚されたと言うあまり強い立場ではないが故に愚痴しか零せないのだが、それでも妄想くらいは自由だろうと互い愚痴りあった後に大きな溜息を同時に吐き出した。

今宵の仕事は「無事に馬車を主人と荷物を守って王都まで送り届ける」事。
何そんなシンプルな契約・誓いであれば幾らでも抜け道はあるだろうが、呼び出した主も強かな者で馬車と主人から離れようとせず、隙を見せようとしないのだった。

――結果、斥候として2匹は愚痴を零しながら歩く事を強いられている。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にスフィアさんが現れました。
スフィア > 田舎貴族の財産の半分を乗せた馬車の進行は遅い。
荷物の積載量が多い事も原因の一つだろう、馬には少し疲れが見え始めている。
もう一つの原因は、斥候としての契約を結んだ妖精達に隙を見せまいと物理的な距離を取っていた所為だったが――それが急に止まった。

「いや、馬を休ませたい?はあ、……そーですね。わかりました。」

馬車に乗っているのは財産の鑑定を依頼してきた田舎貴族の中年男性。
それから、鑑定の他に護衛の手配を頼まれた女との、二人だけだった。
財産を金に換えてしまわない事には鑑定料を支払う事は出来ないとのたまうので同道する羽目になり、手頃な護衛が見つからなかったのでガラッゾを呼び出してみた、という経緯。
魔術書の注意書きに従い、警戒を怠らないよう距離を取り続けていたが、『彼らも少し休ませたまえ』という鷹揚な依頼主の言葉に、仕方なしに馬車を降りる。
厚手の外套のフードをかぶり直し、大分先を行く彼らの元へと大股に足を進めて、カンテラの明かりに吸い寄せられるように近づいて、あと二歩近づけば手が届く距離、という所で足を止めた。

「…ガラッゾー。ねえ、ちょっと。
 えーっと、……あのね。馬を休ませたいんだって。だから、少しやすんでこ。」

ガラッゾ > 召喚者である主が近づく気配にわざわざ足を止めず無視をしようとした2匹では有るが、歩幅を考えれば人間に勝てる筈も無く、あっと言う間に残り二歩程度の距離まで詰められてしまうと、其処で観念したように2匹は同時にぴたっと足を止め、声の主である女の方を表情には出さないが嫌々ながら振り向いて、2匹は再び同時に溜息を吐き出す。

「ナァ、ゴ主人。こんナ寒い中休憩ッテ大丈夫カ?焚火の仕度ハ?」

巨大な戦斧を肩に担いだ方のガラッゾは抗議の声……には少し遠いが不満がほんの少し残る程度の低く抑えた人の言葉で返答を返してから、矢張りそれでも渋々と主人に従う為に戦斧の石突で地面を叩き、止まる意思を見せる。

「ソレトモ、ゴ主人ガ柔肌デ温めテクレルのカ?それナラ大歓迎だけドモヨォ……。」

言葉と共にぐるっと声の主のほうに振り向くとギヒッと汚らしい笑い声と共に品の欠片も無い言葉を仮にも主人である女に対して吐き出せば、ローブの懐の鞘にナイフをすらっと仕舞い込むと、その手を指先をくねくねと動かして、女主人の胸元を弄ろうとする仕草を見せるが、此方も戦斧と同様に仕方なしに足を止めた。

――現状、主従の契約がある為に逆らえる状況ではないからこそ2匹は目一杯の皮肉を詰め込んで女の主人に態度と行動を示すのだが、2匹はそれでも隙あらば主人の美味そうな身体を狙っているのか、視線はどうしても尻に胸元に向けている。
無論今も同様に視線はそれを狙っていた。

スフィア > 此方からも妖精の気配を察せられるように、相手も同じ筈ではないのかと歩調を緩める事のなかった二匹の妖精を『こんにゃろ』って咎めるように細めた目で見合わせるのだが、言葉にまではしなかった。寧ろ、逆に眉を下げて口ごもる。放たれた問いは、厳寒の夜、馬車の警護を務めていた者として当然の疑問だったろうから。丁度その時、少し離れた所から、王都まで届くのではないかと思うような巨大なくしゃみが轟いた。酔っ払いの冗談のような言葉は咎めずに、ちょっと笑って二歩近づく。少し前かがみになって、肩も頭も低い位置にある小人のような妖精の肩に触れようと手を伸ばした。白い、骨細な柔らかい女の手。望めば難なく避けられるだろう、ゆっくりとした動作だった。

「――馬なんかどうでもいいから、とっとと王都に行こう。とか、私だって言いたいんだよね。でもね、あの人の機嫌損ねたら、契約の対価――ていうかお金か。お金払えなくなっちゃうわけなの。だから、ね――お仕事。焚火をよろしく、斧のガラッゾ」

ボリュームをしぼったメゾソプラノの柔らかい声で、雑な事を言う。冬の澄んだ空気が、頭の中を綺麗にさらってしまって忘れていた。余計な事を言わないよう、妖精に近づかないようにしないといけない――と考えていた事を。
厚手の冬服に隠した肉の稔りは、それでも服の上に柔らかいカーブを描いて現れる。四つの目が体をなぞる動きに気おされそうになって、斧を持ったガラッゾに命じる。自分でも面倒だと思う仕事を押し付けるべく、軽く肩を押し出そうと試みた。
妙に威圧感のある笑みを唇に刷いて。

ガラッゾ > 斧のガラッゾ
身の丈よりも巨大な戦斧を肩に担いだガラッゾ族の1匹は逆側の肩に契約者である女の柔らかな手が触れても拒んで手を払うような真似はせず、少しだけ前屈みになり、より距離を詰めてくる相手の丁度……そう胸元に食い入るよな露骨な視線を注ぎつつ、女の言葉に正論に頷くほか無かったので、がく、と力なく一度立て縦に首を振り承知を態度で示すと丁度女の柔らかな手に押されて、ブツブツと何か文句を言いながら、一晩用の薪を集めに木こりの真似をする為に街道から離れた森の浅い領域へと姿を消す。

「……金カァ。マアオレ達は金が無きゃ身体で払って貰えばイインダケどヨ。いや逆に都合ガいいナぁ……。」
斧のガラッゾに視線を送る事も無く、兄弟が森に消えた後メゾソプラノの柔らかい声に対してごぼごぼと喉を鳴らすような汚らしい声色で、ふとそんな事を呟きだす。
契約は馬車と荷物と主人を王都へ無事連れ帰す事である。
金と引き換えに契約したのは今威圧感のある笑みを浮べる女であって、馬車の主人と直接契約を結んだわけではないのだから、主人と荷物と馬車を無事届けるのであれば、其処に金が発生しようがしまいが、自分達と女の間の契約には関係がない、どころか金を払えない女に罰を与える事さえできる。

――其処に気がついたカンテラの持ち主である居残ったガラッゾの1匹。視線は厚手の冬服からでも判る柔らかな曲線描いた其処に先程の手を指をくねらせるだけの戯れではなく、明確にその胸元をふくらみの乳房の片側に厚手の衣服の上から触り揉もうとした。

口元には今まで見せた事が無いほどの歪んだ嗤い。
言葉以上に濁った両目は契約の矛盾を見つけたと言わんばかりの欲深く薄暗い輝きを宿し、女の左右僅かながら色の違う瞳を覗きこみ、眼球すらも舐めしゃぶるような眼差しを向けて、一言呟く。

「……さて、兄弟ガ戻るマデ、時間あるヨナァ……。」

その言葉は低い声で重々しく意味有りげな声そのものである。
斧のガラッゾと違い、契約を破らせる方法を見つけてしまった。
なら兄弟揃ってそれを主人と先程のくしゃみの主の契約を邪魔し、自分達と女の契約を破らせ罰を与える道もあるのだと。
だがしかし今は兄弟は居ない、つまりは契約を破る破らない以前に兄弟に沈黙する事で妥協することはできると。
自分からは破らせる方向には持っていかないが、それには相応の対価が必要だと、そんな意味合いを含めた言葉である。

ただそれにはガラッゾ族との契約を無事終えるための対価である金を女が持っていない事が条件となるが、それにはさっぱりと気がついていない……。