2018/01/13 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にエディスさんが現れました。
エディス > 歩く、という行為はヒトとして地上に出てから、初めて経験した試練だった。
当初に比べれば、これでも大分歩みは早くなったと思う。
それでも、海の中を泳ぐのとは違い、一歩分の距離がとても短いと言う事、歩き続けると疲れるのだと言う事を知った女の、
一歩一歩、慎重に土を踏み締めるようにして歩む速さが次第に遅くなり、後から来る旅人らに次々追い抜かれ。
少し休もう、と思い立つと街道から少しばかり脇道に逸れ、きっと幾人もの旅人が椅子代わりに身体を休めたのであろう、
表面が摩耗でつるつるになっている、手頃な大きさの石の上に腰を下ろすと、張っていた気持ちが弛んだのか、
疲れたような溜息が出てしまった。

「…………これでは、とても―――――、………母を捜しにあちこちには、行けないわ…」

さわり、と頭上で枝を拡げ、風凪ぐ大樹の下で。
身を折るように屈めて、足首にそぅと触れた。
今日は遠出するつもりはなく、隣町に用があっただけなのだが。この調子では着くのは夕方になりそうだ。
普段は馬車を使っているが、ふと、歩いて行ったらどれくらい掛かるのだろう、と思いついたのがいけなかった。
己の前を通り過ぎる、道往く旅人たちをぼんやりと目で追いながら――――女は密かに、途方に暮れていた。

エディス > 慰撫するように足をひと撫でして、女は立ち上がる。
また休み休み歩けば良い。そうして少しずつ、慣れて往けば良い。
女は立ち上がると、再び歩みを進め――――――。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からエディスさんが去りました。