2017/07/07 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にペインテイルさんが現れました。
■ペインテイル > 自然地帯から人間達が良く行き来する街道の一角はペインテイルと呼ばれる魔獣のテリトリーであった。
此処最近そのテリトリーを徘徊し獲物を探しながらも、人間達が何処か忙しそうに往来している事に気がついてか、あまり街道の方に近づかなかったものの身体の疼きと興奮が抑えきれず、今宵はそんな街道の方に姿を見せるのだった。
「――グルルル……。」
月明かりが静かに冷たく輝いて照らす王都への道。
馬車の轍が目立つ地面を柔らかな足裏で踏みしめ、喉を震わせ唸り声を上げながら、辺りを感情の見えない瞳孔も何もない球体の様な眼で睨みつけ、明らかに危険な状態だと傍目から見ても判るほどに全身より威圧感を滲ませ、殺気立っている。
その所為だろう……今宵の街道は一段と静かであった。
虫の声も夜行性の動物の鳴き声もその気配すらも無く、あるのは街道の真ん中を真っ直ぐに王都の方面に向けて歩く、影を切り抜いて作り上げたような、月明かりすら吸い込む漆黒の体毛に包まれたその魔獣。
何処へ行くのか、何をするのか、それは魔獣の気分次第である。
流石に王都に入り込むようなしない、だが王都に向かうものを襲うことくらいは平気でするだろう。
若しかしたらそれに気がついて討伐依頼が出ているかもしれない。
ぽたり……ぽたり…………
魔獣の口端から鋭く生え並ぶ牙の隙間より零れ糸を引き滴る唾液は街道の路面に染みを作り、濃厚なる獣臭を匂わせて……。