2017/02/28 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にマイヤさんが現れました。
マイヤ > 左手の人差し指と中指、二本の指を鼻先に添えて夜に染まったメグメール街道に漂う風の匂いを嗅ぐ。土の匂い、草木の匂い、後探れば少しだけ湿度を感じる雨が近い香り……だろうか。何故に二本指を鼻先に添えてまで風の匂いを嗅いだかと言えば、此処最近物騒な噂を聞くあまり治安が良いとは言えない街道を真夜中に半歩踏み込んだ時間に一人で歩いているからである。普通なら馬車に乗るか商隊に混ぜてもらうかするのが一般的であるが、残念、そんなお金も実力もなくて、仕方なし王都に向けて一人辛うじて道の出来ている街道を歩いていた。

「家からお金持ち出す訳には行かないから、仕方ねぇよなぁ………。」

孤児院を抜けて幾日か地方の村を渡り歩いては力仕事を手伝い此処まで来たが、路銀は尽きて今この状況で、かと言って世話になった孤児院から金目の物を持ち出せるほど悪でもなく、結果できる事と言えば寒さに白い吐息を吐きながら愚痴を零しながら歩き続ける事であった。腰には元冒険者であるシスターが見繕ってくれた剣、上半身に身に着けるのは少しサイズが大きめの孤児院に拾われた時に傍にあったと言われる唯一肉親であるブレストプレート、少しまだ武器に持たれ鎧に着られてる感がある少年一人、山賊や魔物が喜びそうなわかり易いほどの獲物である、が故にそれを自覚しているからこそ時折風の匂いを嗅いで他者の気配を警戒していた。冒険者の足元にも及ばないがそれくらいは出来る、と、唯一無二の特技であって……。危険と紙一重のそんな夜の街道、少年はそれでもこれから始まる冒険者生活に夢を見て、口元にはだらしない笑みを浮かべているのであった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」に花琳さんが現れました。
花琳 > 真夜中の街道、空から降りる影がある。
ただ空から降りた訳にあらず。白い鳥に乗って、降りてきたのだ。

「さて…この国に入れたわけですが、案内人が欲しいところですねぇ」

降りた影は、異国の衣を纏った、異国の女。
シェンヤンの女であった

シェンヤンの女は、白い鳥から降りると、端をつかんで引っ張る。すると、たちまちのうちに切り絵に変じてしまった。女はそれを破って捨てる。
そんな風にしていると、向こう側から歩いてくる青年が見えた

マイヤ > 何事も無いのにニヤニヤしたり、遠い眼をしたり、傍目から見ればさぞ面白い光景に見えてしまう程に是から自分が築く予定の英雄譚に胸を躍らせている。地位と名誉と名声とお金、特に最後のお金が今非常に必要で、稼いでお金で孤児院を大きくしてシスターに感謝される、其処まで妄想を繰り広げていた……が、ふと視線の先に人の気配を感じて、歩く速度を緩めて距離を詰めていく。

――警戒

先程風の香りを嗅いだ時には確かに誰か人の気配を嗅ぎ取る事は出来なかった、ましてや此処まで視認できる距離にまで近づいているのに嗅ぎ取れない筈がない、と自負している。故に多少の警戒を身に宿し、右手で何時でも剣を抜けるように柄に触れるか触れないかの距離でワキワキと指を動かしながら、先手必勝とばかりに声をかけることにして、一度誰に向けでもなく頷いた。自分に気合を入れたとも言う。

「こんばんは……です?いやはや夜道は暗いし寒いですねー……。」

棒読みまでは届かないが明らかに普通を装った動揺と不安と警戒を込めた声で軽い挨拶の言葉を向けて、軽い上目使いの目線で相手の相貌の辺りを見遣りながら軽い会釈を向ける。其処までしておいて、自分で向けた言葉いかに滑稽か気がつくが、今更気がついたところで今の挨拶はなし!とも言えず、寒さもあってか笑顔が頬が多少引き攣りあがるのだった。

花琳 > 声を聞いてそちらを向けば、剣の柄に手を当てかけた状態でなにやら手を動かしつつ、警戒する青年。
無理もないことと言える。何しろ空からいきなりだれかがやって来たら誰だって警戒する。シェンヤンでも道士は別に白昼堂々空から降ってきたりはしない。
つまりは見られた自分の過失で。

「こんばんは」

けれども女は、にこりと頬笑む。微かな花の香りを漂わせながら。

「確かに寒いですけれど、いい夜です。ついふらりと外に出たくなる、そうはお思いになられませんか?剣士様」

くすくすと、扇で顔を軽く隠しながら、楽しそうに笑う。
警戒も気にした風ではないように。
もっとも、女は剣で軽く斬られたとしても簡単には死なないが故だからと言えよう。

マイヤ > スン、と鼻を鳴らしてしまう程に矢張り先程感じる事がなかった新たな香りを嗅覚で捉えると首を傾げたくなるのだが、それでは格好つかないと今はそれを我慢する事にして、異性の前と言う事で余計に平静を装い、一先ず剣の柄に伸ばした指を引っ込めて、手持ち無沙汰になったその手でガシガシと自分の頭をなんとなしに掻き乱してから、何気ない相手の挨拶にのる事にする為に一度足を止めるた。

「そうですねー、今夜はそんな夜ですね。自分の方は絶賛乗合馬車に乗り損ねて徒歩で王都まで行く途中ですけども……。」

くすくすと楽しそうに笑う相手に対して引き攣ったまま自分の失態を並べて言葉にしてしまう失態の上塗りを繰り広げ、言葉終えた時にはうわーと奇声をあげて頭を抱えてしゃがみ込みたくなる、がそれも今は堪える事にして、出来うる限りのニコニコとした笑みを浮かべ返す事にする。しかし、何度考えてもこの距離になるまで、相手の存在に気がつかなかった事が不思議で仕方なく、思わず女性の方に向ける視線に僅かな好奇心と奇異の視線を入り混じった眼差しをじぃーっと向けてしまう。一体彼女は何のだろうか?と……。後剣士様と言われて満更でもなかったりもする。

花琳 > 青年は自身の頭をかいたりして落ち着かない様子だとわかる。
女は青年の第一印象に急な事態への対応力がやや欠けている、というやや身勝手な印象を持ったが、それを表に出さぬようにしつつ、王都、という言葉に眉をピクリと動かした。

「王都…この国の都ですか。良いですねぇ、実のところ私、シェンヤンからやって来た旅行者でして。」

嘘は言っていないし、初対面の人に事実を語る気もない。あと事情知らないと絶対ややこしくなるだろうし。
女は続ける

「私、この土地のことまだ詳しく知らないのですよ。見たところ剣士様はこの土地の方のようですし…図図しいお話ですが、出来ることでしたら、王都まで、案内していただけないでしょうか?
お礼は致しますので…」

ちらり、と上目遣いのような形で相手を見やる。
因みに断られたらついていけばいいだけとか考えていた。様は拒否権のないお願いである。

マイヤ > 旅行者……シェンヤン?露骨に頭上に?と何か浮びそうな程に呆けた表情を浮かべようか、孤児院の周辺と王都と神聖都市と地方の小さな名も無い村しか移動した事がない知識に無い自分にはサッパリだったが、それはそれで判ったようなフリをそうか、と言わんばかりに縦に頷いてみせる。実際はわかっていないのは傍目から見て一目瞭然……なくらい不自然な動作、しかも手持ち無沙汰な手で今度は腕を組んで、何処と無くえらそうに構えてなるべく女性に言われた剣士様という心算で行動しようか。しかして相手の表情が眉の機微な動きは見逃してしまう。

「そうそう、この国の王都。まあ其処にいけば何かしら面白いものはある筈さ。自分は仕事を探しにって感じだけどね……。」
言葉は此処で一度中断となる。のも女性の言葉の後半が何とも冒険者らしい仕事の依頼にも聞こえ、異性の上目使いに余裕で鼻の下が伸びそうになりながら、此処は一つと……断る素振りを見せる。静かに首を横に振り、ダメだと言わんばかりに口元には苦味噛み締めた笑みを浮かべた。――此処は最初に拒否しておいて、相手のお礼を吊り上げようと言う考えである。其処までしておいてから言葉は溜息混じりに続ける事にした。

「案内か、女連れは色々と面倒だからなぁ……でもお礼か、あれかい?お礼ってくらいだから、金とかそれともエロい事してくれるのかい?」
言葉の終りに表情をキリと引き締めて、上目使いの女性の視線に視線を重ね合わせるようにしてジィーっと瞳を深く覗きこむと、あまり品のいいと言えない色が瞳に浮んで浮んでしまう。それに交渉と呼ぶにはあまりに拙い言葉選びと返答であり、それが何をどう招くのかなんて理解出来るレベルでもなかった。だからこそ純粋に何かをナニかを期待する視線を向けてしまう、その品のない光の宿る瞳でだ。

花琳 > 青年のそぶりに女は内心ほくそ笑む。
あぁ、程好く利用出来そうな俗人だ、と。
青年の思惑に気がつけないほど女は愚かではないし、初でもない。なにしろ女は妖仙だ。
ならば、『相手を立てる』形で交渉をした方がいいだろう。

「…女性連れは確かに大変ですよね…ええと、その、こちらの通貨とそちらの通貨が釣り合うかどうかもわかりませんし…」

目を伏せる。自分からここで言い出しはしない。自分から体を、等と言い出せば価値は下がるからだ。あと相手に不意打ちとか逆襲とか出来にくくなるからだ。

「でも…私…どうしたらいいのでしょう…」

女は困ったように目を伏せ、もじもじと頬を赤らめる。
あくまでも、か弱い女、というスタンスの方が、経験則だが劣情をあおりやすいと分かっているからだ。

マイヤ > 相手に此方の思惑が筒抜けだとは気がつけない、相手の思慮を読み次なる手を打ち、此方の希望を通せる程経験も無い、ましてや女性の言葉が罠に近しいモノだと気がつけるほど異性との経験なんてある筈も無い、孤児院育ちの弊害である。運よく、この場合は運悪く、清く正しい孤児院で育ってしまった心はどこかで相手を伺うことをしならない。

「……通貨は……王都にいけば換金してもらえるんじゃないかな、無難なところで宝石とか?」
視線を伏せる相手に対して、変なところで真っ直ぐに答えはするのだが、女がもじもじとしながら頬を紅色に染めると、聞こえるくらいハッキリと生唾を飲んでしまい、なんだか此方まで気恥ずかしくなる……で、ついてでた言葉に今宵何度目か数える事が出来ない程に間の抜けた答を返すことになる。

「……そりゃキスとか?後舐めたりとか?」
ナニがどれがどうとかこうとか具体的に言えず、先程の真っ直ぐな答とは別にごにょごにょと歯切れの悪い返答を反してしまう。視線もスィッと女性の視線から外して、見たくも無い夜空の星に向けてしまうのだった。――すべては冒険者としてありとあらゆる事の経験が足りないが故の行動である。