2016/12/18 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にラフェルさんが現れました。
ラフェル > 声が聞こえる。
小さく、か細く、そして…強い思い。

街道よりも少し外れた位置、小さな天使が姿を現わしたのは、そんな目立たぬ茂みに囲まれた場所。
ふわりと舞い降りた足元には、一匹の狼が倒れ伏せていた。
その側には、その家族であろう大小二匹の狼。
分かっている、この付近に何らかの目的でやって来た人間に傷付けられたのだ。
そう、彼は自分の場所を守る為に戦った。ただ、それだけ。
二匹の視線を受けながら、倒れた狼の側に屈み込む。

「聞こえました…貴方達の声が、強い思いが。
貴方はここで死すべき運命ではないと、そう願います。
私に出来る事は…小さな…そう、ほんの小さな奇跡。
それをどれほどの奇跡にするのかは、貴方達次第」

唇から紡がれる言葉、その手が狼の体に触れ、目を閉じる。
そっとその手を離せば、両手を祈るように組む。

ラフェル > 静かに流れる時間、次第に、狼の姿が薄っすらと輝き始める。
…しばしの時間が流れ、ぴくりと狼の体が震えれば、ゆっくりと起き上がった。
まるで何事もなかったかのように、受けた傷跡も消え去っていて。

ふわりと衣裳を舞わせて立ち上がれば、閉じていた目を開き、その姿を確かめ小さく微笑む。
彼を待つ者達の元へ、そして連れ立ち去っていく後姿を静かに眺めていた。

ラフェル > 「何とか…上手くいきました…」

胸元に手を添えて、一つ小さな吐息。
間に合って良かった、と安堵に胸を撫で下ろす。
幾ら奇跡の力をもってしても、命の灯火が消えた後では間に合わないのだ。
その小さな、か細い声を聞き取り、出来る事をする。
自分が出来る事は、その程度。

胸元から手を下ろせば、その瞳を日の沈み掛けている橙色の空へと向ける。
身に受ける日差しに目を細めて。

ラフェル > その視線が、一つ、二つと向ける方角を変える。
耳に届くのは大小様々な声なき声、中でも小さいものを探ろうと再び目を閉じる。
大きな声を出せぬ程に、その身を危機に陥らせたりしている可能性があるからだ。
もちろん、単にそこまで大きな声を上げる程のものでもない、という可能性もある訳だが。
その判断は、その場に辿り着いてから考えれば良い。

今のところ、近くには今の狼の声が一番目立つものだったらしい。
声を聞き取る範囲には限界がある。
では、次の場所に移るとしようかと、大きな白き翼をばさりと広げた。

ラフェル > 「次は…」

呟きながら、空から見下ろす景色に多くの声が聞こえそうな場所を思い出す。
小さな村、大きな街、砦、そして山脈に自然地帯と色々とある。
多くの者が居る場所ならば、様々な声が上がっているだろう。
だが、それだけ判断の間違いを起こしてしまう可能性も高くなる。
それに…目立つのは、少し苦手というのもあった。

一つ小さく頷くと、ふわりとその身を空に舞わせる。
そのまま、どこかへと飛び去っていって。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からラフェルさんが去りました。