2016/12/13 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にホロウさんが現れました。
ホロウ > ――偶の休暇で遠出したのは良いとして、まさか休暇先の宿で顔を見られるトラブルに見舞われてるとは思わず。
それを解決するのにあまりお安くないお金と労力を浪費して、今やっと王都への道に向けて喜びヶ原の街道を進んでいた。

失態の原因であるフードを覗き込まないと顔を認識するのが難しいレベルの強力な阻害の魔力の掛かった色あせたローブとそれに付属したフードを深く被り直し、深く一度だけ溜息を吐き出した。

フードが覆わぬ口元、薄く寒さにほんの僅かだが紫色にそまった唇から白い吐息を吐き出すと、にゅ、と唇をへの字にまげて、本日の失態を思い出してはギリと歯を食いしばるのだった。

月も無く、薄雲が夜空を支配し、辺りは吸い込まれそうな程の黒い闇と薄く広がる霧に覆われている。
状況は最悪で、鬼が出るか蛇が出るかと言うレベルの「宜しくない」事になっている。

「もっと早く帰りたかった。迎え、を呼ぶには魔力が足りないし、周囲のを吸い上げられるほど枯渇もしてないんだよな……どうしよ?。」
寒さよりも何者かに襲われてもおかしくない現状への愚痴が飛び出す。
無論抵抗する手段がないわけでもない、いざとなれば忌み嫌う血の力を頼るが出切れば遠慮願いたい。
武装もしていないわけではない、投擲用のスローイングダガーがローブの裏に数本、腰には蛇腹の剣もある。
が如何せん複数に対処できるほどに実力はないし、それなりの敵を撃退する実力しかない。
切り札のランタンも一度使ってしまうと光源として、役に立たなくなってしまうし……。

足は止めない、少しでも早く可及的速やかに王都へ帰る為に小走りにすらなっていた。

ホロウ > (何事も有りませんように、有りませんように……。)
山賊や盗賊の類、夜盗に野犬に狼に……と最悪の遭遇ばかりが脳裏を過ぎる。
運がよければ馬車が通るとか同じく帰路に着くのが遅くなった冒険者や同業者が……とまでは及ばなかった。

仕事モードの時はもう少し頭の回転が速くなるのだが、プライベートの時はどうにもノロノロとなってしまう己の思考に何度目かカウントしていないが今宵は多大に吐き出している溜息をハァ……と深く吐き出して、我慢の限界か小走りから遂には走り出してしまう。
王都へはまだ距離がある筈、冷静になればそれくらい判る筈なのに胸騒ぎが止まらない。
胸騒ぎが止まらなければ足の動きも止まらない。

溜息を吐き出した際に浮かぶ白い湯気も走り出せばまるで汽車かほわっほわっと何度も浮かんでは薄暗い闇に消え、それがまるで己の行く末にも思えて仕舞う……。

「あ、ああもうダメだ落ち着け、クールにいこうクールに……。」
認識阻害の魔力を付与されたフードからはみ出したへの字口の唇を震わせ、自らに言い聞かせるような言葉を紡ぎ、走りながら出来るはずの無い深呼吸をしようとするのだから錯乱此処に極めりだ。

純粋な人間ではないだけあって、身体能力は人間よりも多少高いし、本能的に失われいく体力を補うように無意識に周囲の木々や草花から精気を吸い上げている分だけ走り続ける勢いは維持できている。

これが意識して吸えるようになれば、また違うのだがその術を教わらず教えられず、今に至る己には活かすすべが無くて、これもまた溜息を吐き出す理由になって……。

――少し?ばかり臆病風に吹かれた商人は無事帰路に着くことが出来たかは本人しかわからない。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からホロウさんが去りました。