2016/01/03 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にヴィヴィさんが現れました。
ヴィヴィ > まれびとの道を歩く一人の女がいた。
ティルヒア動乱からしばらく。その間を南部の村々を転々としていた女は、王都へ足を向けていた。
賊の襲撃や小型の魔物程度を独力で倒して、一人進んできた。
千年の女王の都やその近くにいれば、思い出して辛くなることがあったから。
心機一転、そのつもりだった。
だが、兵士であることを辞めてからの身の振り方は未だ、定められていなかった。

「……王都へ行くのはいいものの、どうしたものかな」

どこか自嘲するように、女は小さな旅荷物を肩にかけ直した。

ヴィヴィ > もうじき太陽が傾きはじめる日暮れ前の冷たい風に、マントを広げて肩を覆う。
歩む足取りは若干疲れが見えるものの速度に衰えはなく、一定の歩調で。
片手には槍を掴んで勇ましく進む様はやはり兵士にしか見えないものだろう。

「冒険者ギルド、などにでも行けばいいのか。それとも傭兵ギルドか。さて……」

脳裏には過去に出会って誘いをかけてくれた人物の顔もちらつくが、まだ当分頼るつもりはない。
自分の道を、自分で探す気でいるのだ。こうして既に作られた道を歩くのではなく。
ちらりと己の足元を見下ろし、まだ見えない目的地を見透かすように視線を先へ向ける。

ヴィヴィ > やがて王都の外壁が見えてくる。遠目にもその規模の大きさがわかる。
故郷の町並みとは違う景色に、胸がざわついた。
ひどく遠くへ来たのだと感じて、寂しげな笑みが浮かぶ。
目的の場所が見えたことで、歩みが少しばかり早くなった。
急げば日暮れの少し後ぐらいには王都へ入ることができるだろう。

「何はともあれ、宿を決めなくてはな。街に入って野宿する羽目になるのは御免だ」

宿のない小さな村では、厩を借りるようなこともあったが、宿があるならそちらの方がよかった。
埃っぽく、少々くたびれたマントに鼻先を寄せて、すん、と嗅いでから眉間に皺を寄せる。
贅沢を言えば湯を浴びて、着衣の洗濯もしたいところだ。
幸い懐具合は、襲ってきた賊から逆に奪ったもので温かい。
腰に括りつけた財布替わりの巾着を揺らして、ちゃりと硬貨の音を鳴らした。

ヴィヴィ > そうして目測通りに、日暮れ過ぎには王都へ入り、ひとまずの休息を得ることができただろう――。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からヴィヴィさんが去りました。