王国内に広がる平野や丘陵地帯全てを含めてメグメールと呼ぶ。
意味は喜びヶ原である。
「まれびとの道」という街道が通っており、この道を歩いて行けば別の地域や諸外国に行くことも可能。
街道には様々な旅の者がおり、冒険者などにも出会うことができるだろう。
街道にはあまり魔物はでないものの、絶対というわけではない。時折魔物が出て人が襲われることもある。
行商人や、人や奴隷を運ぶ荷馬車の往来も多い。
●この部屋には固定パスワードが設定されています。
参加者(0):ROM(1)
Time:00:25:47 更新
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からティアフェルさんが去りました。
■ティアフェル > ただでさえ犬との相性が悪いのに、地獄の番犬だなんて冗談じゃない。見ただけでショック死しそうな勢いだ。
多少の魔物ならばビビリもせずになんならカチ割ってやる!と特攻根性旺盛な凶暴ヒーラーだったが、ヘルハウンド・ケルベロスの二大魔犬だけは絶対に断固として無理。目が合っただけで凍り付いてしまわれる所存。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいー!!!」
何も過失はないはずだが、とにかくぼろ泣きで自分でも何に対して謝ているのかは分かっていないが、とにかく見逃して欲しい一心で泣き叫び。まるで悲鳴に釣られたように後を追って来る真っ黒な魔犬から無我夢中で逃げて、逃げて、逃げて、逃げる。
しかし――、
「あっ…!」
こんだけ焦って怯えて舗装もガタガタな古道を走っていると、足もひっ絡まるってもので。碌に見ていなかった足元の小石に毛躓いて、どさっと派手に転倒した――。
「ひ…きゃあぁぁあぁぁぁぁぁぁぁああ!!!」
大きく地を蹴って跳躍した魔犬に一気に追いつかれて一段と大音量の悲鳴が、静かな黒々と深い宵を劈くように響き渡った。
■ティアフェル > 「ひ―――!」
十字路の中心に立つ、その影かぞろりと動く。深紅のぎらついた目がこちらに焦点を合わせた――瞬間、総毛立ち。
「ヘールーハーウーンドオォォォォォォォ!!!
ヘルハウンドヘルハウンドへるはへふあ!!!」
大絶叫の尾を引きながら、全力で地を蹴り一目散に駆け出した。
がしゃん!と手から落とされたランタンが道に叩きつけられて割れ砕け、燃えていた炎が消え周囲は闇に閉ざされたが。そんなこと微塵もお構いなく「大混乱・錯乱中」と顔にでっかでかとペイントして「怖い死ぬ怖い死ぬ怖い死ぬ」とそんなテロップを頭の上に炸裂させながら猛ダッシュ。
「イ゛ヤ゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!゛」
なんなら〝!〟にまで濁点くっつけ、はやばやと双眸からぶわ、と滂沱しながら魔物から全身全霊逃亡。
■ティアフェル > 「あー……まー…くら……」
月に叢雲のかかる薄暗い夜の街道。使いの依頼を受注して完遂して帰還する頃にはとっぷりと日が暮れてこんな時間になってしまった。
手にしたランタンで辺りを照らしながら小さく嘆息し、街へ戻る道を辿り。時折吹き抜ける夜風にぶるり、と身震い一つ。
そこは街道の中でも古道に類しており、利用する者も少ない方なのか雑草が侵食してきていて幾分か荒れ気味であった。足元に注意が必要だ――、そう思いながら十字路にふと差し掛かりかけたところで、ぴた、と歩を止め。
「あ……? 古道……十字路……月のない夜………」
今自分が置かれている状況を遅まきに察して。サ――と一気に蒼褪め。
「いや、いやいやいやいやいやっ。まさか……まさか、だからって。ねえ……そんな……」
こんな状況下で出くわす確率の上がる魔物がいる。その可能性に思い当っていきなり震えあがりながら、十字路の向こうに何かの影が黒く微かに背景から浮き上がっているのに気づくと、ギクリと肩を震わせ。
「や……やだ、やだやだ、まさか、そんな……嘘でしょ……っ?!」
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にティアフェルさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からヨハンさんが去りました。
■ヨハン > 街道にて歩く、冒険者らしい装いをした青年。
フードを被り、直射日光を頭に受けないようにしながら歩む。
各部に鎧を身に着けてはいるが、動きやすいように最低限といった程度。
腰には鞘に収まった剣を携えて空を見上げる。
「湿気が強いな……風が生温すぎる……」
そうぼやきながら、雲の隙間から差す日差しを眺めて。
熱さにやられないようにフードをしているが、それでもこの気温はひどいと言わざるを得ない。
もっと言うと、雨雲らしきものまで見えて来た。
近場の野獣退治から帰るところだが、早めに戻ったほうがいいだろうと思い。
「走っても間に合わなそうだな……」
と、諦めて一度木陰に入り、水筒に口をつけて水分補給を行うのだった。
のんびりとした様子は、青年の性格を表しているのだろう。
フードを影で外して、黒髪と整った方の顔立ちを見せながら座り込む。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にヨハンさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からラーンさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からジェイクさんが去りました。
■ラーン > 少なくとも、商売上の手続きには後ろ暗いどころか影一つ落としていない。
半魔族として、被されがちな濡れ衣を跳ねのける唯一の手段は、公明正大。
税金だって誤魔化したことはない。
──とはいえ、今回の場合は運が悪かった、それに尽きるのだろう。
愛想笑いに、ねっとりとした視線が目の前の兵士からだけでなく一段熱を帯びたようで。
ぞわり、と小さく躰に寒気のような震えが生じた。
「………黒髪の魔族、なんて…あやふやな情報で動かれるのですか?
大変ですね」
ちらりと視線を愛馬たる魔獣へと向けるも、その道筋を遮る屈強な男たち。
本来なら、荷を捨てる覚悟で愛馬で遁走がいつもの手段ではあるのだが──今回はそれは叶うまい。
まるで圧のように感じる兵士たちから、たじろぐように距離をとろうとすれば、自然と天幕へと追い詰められることになる。
そのやり口の自然さ、手慣れた動きに半ば唖然とした。
するしかなかった。
検めの順番を待つ他の者たちからも、気の毒気な視線を感じた気がするのは被害妄想か。
追い詰められるままに、黒髪の娘は天幕へと──踏み込むことになる。
■ジェイク > 差し出された通行証へと目を通して、その内容に不備がない事を確認した後、
積み荷の方へと視線をやりながた、行き先を告げる声に耳を傾ける。
彼女の用意した身分証、ならびに商売ルートに不審な点は一切認められず、
何かの罪を犯している証拠は微塵にも見付からない事だろう。
だが、不運な事に、そのフードが落とされて美貌が露わにされたならば、話は別で。
「成る程、成る程。ラーン、一介の行商人、ね。通行証は本物のようだが、……。
――――だが、駄目だな。最近、黒髪の魔族のスパイが暗躍しているという話があってなぁ。
少しばかり、奥の方で身体検査をさせてもらおうか?」
仕入れ値を二割もマケさせるのに足る美貌は、兵士達の欲情をそそるのに一躍買う。
屈強な兵士数人が、顔を見合わせると口端をニヤつかせながら、逃げ道を塞ぐように近寄り。
ヒポグリフと彼女を引き剥がさんと試みて、奥の天幕へと連れ込もうとする。
分厚い天幕の内側に連れ込まれたならば、其処で行なわれるのは正規の取り調べではなく、
その容貌に欲情した下種な兵士達による乱暴狼藉である事は間違いなく――――。
■ラーン > 大人しく手綱の命じるままに止まる魔獣に、軽く羽毛と毛皮の境となる首元ああたりを宥めるようにポンポン叩き。
言われるままに、一度御者台から降り立った。
「行商人です。こちらが、通称許可証──ラーン・ルシェと申します。
稼いでいるというよりは、これは仕入れ荷です。」
務めて穏やかな口調でそう口にしながら、自身のこれからの商売ルート、ゾス村を含めたいくつかの町村の名を口にする。
そこで、地産では賄いきれない生活雑貨を商いに行くのだ、と。
深い色のフードを首から下ろせば、はらりと黒い長い髪が溢れ落ち、作り物めいた白い造作が露となるか。
「ご覧の通り……一介の、行商にございます」
紅い瞳に少し困った色合いを浮かべ、淡く口唇に浮かべる愛想笑い。
普通ならば、仕入れ値を8割にする程度には通じるが、さて。
■ジェイク > 商人からの賄賂を懐に収めて通した後、次いで列に並んだのはフードを被った女。
通常の馬ではなくヒポグリフの曳く馬車に乗った女の姿を見遣れば、口端を緩め。
「よし、止まれ。馬車から降りろ。
行商人か? 随分と稼いでいるようだが、名前と行き先は?」
魔獣に曳かせる馬車がたんまりと荷を積んでいる事を横目に見ながら皮算用をする。
儲けているらしい商人から賄賂として通行税を徴収するのも悪くはないが、
幸いな事に彼女の前に通した商人のお陰で皆で分け合っても、数時間遊ぶ金は確保している。
金銭欲が満たされているならば、当然、他の欲望を満たそうと考えるのがヒトと云うもので。
「フードを取って顔を見せろ。最近は不審な輩も多いからな」
そんな尤もらしい大義名分を口にしながら、女の貌を検分しようと命令を下す。
■ラーン > ごと。 ごと。 ごと。
規則正しい荷馬車の車輪の軋む音が響く。
うねるように伸びる街道の馬車を牽くのは、鷲の上半身に馬の身体を持つ、いわゆるヒポグリフ。
時折、きゅるる、と何かを伺うように鳴く声が響くが、人慣れしているようだ。
荷馬車の御者台で、フードを深めに被った娘が「だいじょぶ」と親し気に声をかけている。
「──……王都で仕入れを終えたはいいけど… まいったなあ…」
ヒポグリフに囁きかけながら、軽く手綱を揺らした。
どうやら検問らしきことを行っているようだ。
王都での荷の仕入れが思いのほかうまくいき、荷馬車はずっしりと重い。
今のところ、後ろ暗いところはないが……この国ではそれもなかなかに通用しないところがある。
余分な袖の下を包む余裕はあるだろうか…などと、思考の隅でぼんやりと考えていた。
緩やかに馬車の速度を止め、順列に並ぶ。
荷や身分の検めを行っている兵士たちの動きをなんとなしに見ながら、穏便に済めばいい──と小さく吐息をついた。