2019/08/26 のログ
ご案内:「夢幻窟」にバージルさんが現れました。
■バージル > ≪妻≫の死を言い訳にしても、逃れられなかった付き合いのひとつ。
曰く、夢なのだから問題無かろう。
また曰く、若いのだから色々と、溜まる鬱憤もあろう。
反論に疲れ、一度だけ、という約束で、其の部屋の寝台へ身を横たえた。
四肢を拘束されることに勿論抵抗はあったが、其処でまた、
夢を見るだけなのだから、と笑われて。
甘い香の煙に撒かれるよう、す、と意識を手放してしまった。
そうして、仄暗い靄の立ち込める曖昧模糊たる空間の中。
≪目覚め≫た己は其の瞬間、おおいに困惑することになる。
何処だか解らない場所に、一人、佇んでいたことは構わない。
問題なのは己が、寝間着のような白いローブ一枚を纏う、
甚だ頼り無い姿であったことだ。
普段隠している曲線が、はっきりと浮かび上がる格好。
一体どうしたことか、と戸惑いながら、募る心細さに、
剥き出しの両腕でそっと、己が身を抱き締める。
知らず噛み締めていた唇を解き、そ、と洩らした吐息は、
何故だか酷く熱を籠らせていた。
■バージル > 「――――…ドリュー」
怖い―――そう感じた刹那、思わず零れたのはひとつの名。
幼い頃から常に、其の男の姿は己の傍らに在った。
周囲の者、皆が己を≪嫡男≫と扱い、其の様で在れ、と求めてきたが、
彼だけはいつも、己をただ、己として見てくれていた。
勿論、立場を逸脱しない範囲で、だったが。
会いたい。
あの優しいハシバミ色の眼差しで、包み込むように見つめて欲しい。
―――そう、あわよくばあの腕の中へ囚われて、あの唇で、
「……馬鹿な、こと」
気付いて、慌てて頭を振った。
其れは、考えてはいけないこと。
夢だとしても、決して―――想うことさえ、許されるべきでは無い。
そう、強く心に誓うのに―――目を閉じれば、其の面影が浮かぶ。
夢ならば、どうせ幻ならば、少し位、と。