2019/05/31 のログ
ご案内:「夢幻窟」に幻燈海月さんが現れました。
■幻燈海月 > 透明なぶよぶよんの肉厚な笠に幾重にも垂れて重なる触手、どうみても海月のモンスターであるが、否、これは夢幻窟の設備である夢と幻を見せて利用者に未知なる体験を提供鵜sル魔導機械の一つである。
今宵も幻燈海月の担当者達が無い知恵絞って作り上げた物語が、そんな肉厚な笠に映像として流れている。
贅沢を極めた貴族達には一般市民の有り触れた1日を。
それが届かぬ者達には貴族たちの1日を追体験できる。
そして力持たぬ者達に冒険者達の気分を味わえる1日を。
或いは大空を舞う夢を深海に落ちる幻を……。
柔らかそうな肉笠をつつけば動画は望むがままに移り変わり、見るものを飽きさせない。
もし利用しようとするならばテーブルに鎮座する見た目よりも軽い幻燈海月を持ち上げて被り、直ぐ傍にある背もたれ肘掛つきの椅子に身を預けて、その唇で希望を告げるのだ。
そうすれば幻燈海月は眼を覚まし、着用者に夢を見せるだろう幻を見せるだろう。
白で一面に覆われた狭くも広くも無い部屋。
いつものように柑橘系の果実が沈んだ水差しとグラス。
夢幻窟の廊下と白い部屋を繋ぐ扉は少しだけ開き、室内から眩く白い輝きを零して、利用者を部屋へと誘う。
さて今宵は利用者はあるだろうか。
幻燈海月は延々と動画を繰り返し笠に映して、利用者を待ちわびていた。
■幻燈海月 > 誰も来ない部屋は何処と無く寂しげで。
魔導機械もまた誰も利用者が無ければ何時までも何時でも同じ動画を流し続けることしか出来ずで……。
ご案内:「夢幻窟」から幻燈海月さんが去りました。