2021/09/29 のログ
ご案内:「ル・リエーの水遊場」にキールさんが現れました。
■キール > 夜の水遊場に響く規則的な水音。
ザバッ、ザバッ、と鋭く水を叩く音が何の面白みも遊びも無い四角いプールに響く。
男が今いる場所はそんな場所である為、この時間でも人は居らず、男が占有している状態である。
その男の泳ぎ姿は太い腕が自ら出たかと思えば、勢いよく水に刺しこまれ、大きな動きで水を掻き、脚は水中で動き静かに力強く水を蹴り大きな波を生んでいる。
今はただひたすらに筋肉の動きを確かめる様に死角いプールを往復している。
■キール > 50m程のプール何度往復したかは数えていないが、
夕方人が少なくなる時間から泳ぎ始めて今に至る。
全身の筋肉を使い、ただひたすらに水を掻き、蹴り続ける男の体力はまるで尽きる事無く、差し込む時に響く音も生まれる波の高さも泳ぎ始めと変わらない。
変わるのは飛沫を照らす光が夕陽から月明かりになっただけである。
今はただ月の冷たい光に照らし出される数多の水滴がきらきらと光を帯びている。
熱を持つ筋肉も泳ぎ続ければ常に冷たい水によって冷やされている。
何故この男がここにいるかと言えば理由は単純。
飲んだくれていた時に泳ごうと思い立った、其れだけである。
泳ぐのをやめる時がいつになるか、泳ぐ事よりも魅力的な女やふたなりが来るまでか、突如として飽きた時まで無心にただひたすらに泳ぎ続けるだろう。
■キール > 壁際まで距離が縮まった時頭を下に脚を抱え込むように小さくなればぐるんっと水中で回る巨躯、
顔が水面を向いた時に体を伸ばし、脚で壁を蹴り浅い角度で水面へと向かっていく。
ちゃぷ─と小さな音を立て男は水面から顔を出し、
先程までの力強い泳ぎから一転、緩やかな泳ぎでゆったりと進み始める。
水に浮く巨躯の男はまるで島の様でもある。
空を見上げれば輝く月が周囲の星明りを隠し男の体を照らし出している。