2021/07/15 のログ
ご案内:「ル・リエーの水遊場」にアマーリエさんが現れました。
■アマーリエ > ――仕事は散々やってきたのだ。部下に勧められずとも、僅かな休養位は気儘にさせてもらっても良いだろう。
本拠に僅かな部隊と竜騎士を残し、長期間の出征の後の評定、後始末というのは戦う時以上に煩わしい。
しかし、それを他者任せにしてはいられない。してはいけない。
主だった負傷者たちへの見舞と名を挙げながら、死した者達の遺族への手紙の執筆。
出征に伴い、吐き出した予算に対する損耗の計上、次回の出撃に備えるための資産繰り、等々。
面倒臭がって、誰かに投げ出した方が一番楽なのは何よりも明白。
だが、だからといって納得できない始末という結果程、一層に気持ち悪い者はない。
結果としてやってしまうのは、一部の信頼できる直属の部下達も交えた、長きにわたる拘束時間の発生である。
「……――嗚呼、ずーーーーっ、と。こんな風にだらけてたいわね……」
見目こそ麗しくとも、そんな言葉がため息交じりに出るというのは、働き詰めすぎということなのだろう。
水遊場の昼下がり。陽光を設置されたパラソルの天蓋越しに仰ぎ見つつ、長椅子に身を横たえた姿が嘯いて目を細める。
片手を伸ばせば、直ぐに届くのは果汁と酒のカクテル。
よく冷えた其れで喉を潤せば、白い喉がこくこくと鳴って、身に染み入る感覚が臓腑を流れ落ちる。
長く戦場に居れば、味わいようもない感覚というのは、寧ろ違和感があって逆に怖くなる。
そんな感慨に柳眉を顰め、小さく息を吐く。
この辺りの場所が、庶民向けと云えるものではなく、王侯貴族向けで良かった。喧騒は過ぎると気が休まらなくなる。
■アマーリエ > 夜も昼もなく、地上や空中で戦っていれば、返り血に汚れるばかりではない。
敵の吐き出した血反吐や糞尿に塗れることだって、ざらだ。
本陣にふんぞり返るというのは、将のあるまじき姿ではない。そうと思えば、麾下の騎士達と常時前線に出ずっぱりだ。
「……あーあ。泳ぐのだって嫌いじゃないけド、どうせなら思いっきり可愛い娘とか侍らせたいわねぇ。何人でも」
戦場では身を守るための鎧甲冑の関係上、どうしても否応なしに日に焼ける、焼けない箇所が肌身にくっきりと残ってしまう。
其れが少しばかり恥ずかしいと思えば、こうやって日干しの真似だってせざるをえない。
何もせずにだらだらとしておくのも、武芸の心得がある身としてはどうかと思うが、散々務めは果たしたのだ。
文句は言わせない。文句を言うなら、自分好みの美女でも百人は持ってこいとでも思う訳である。
「あ、もう干しちゃったか。……参ったわね」
そう思いつつ手にしたグラスを傾ければ、もう無いとばかりに、からり、と虚ろに砕けた氷の欠片が鳴る。
嘆息と共にグラスをパラソルの下に置かれたテーブルに置き、長椅子の上で身を伸ばし、撓らせる。
それだけで水着で押さえられた大きな膨らみがゆれ、小さく声が漏れる。
遠く遠く、聞こえるのは別の使用者たちと思しい声。
同格かそれ以上かどうかは、どうでもいい。然程知ったことではない。