2021/05/05 のログ
ご案内:「ル・リエーの水遊場」にナインさんが現れました。
ナイン > (繰り返し雨が降り、季節外れの蒸し暑さに襲われる一日だった。
…結果、誰の発案なのだろうか。何れにせよその号令を、鶴の一声とする事の出来る者によって。
その日王城にて行われる筈であった会合は、急遽水遊場へと会場が変更された。)

 …まぁ良いか。実際涼し気はあるのだろうし。

(カウンターにてグラスを重ねる事、軽く数杯。
その間に顔馴染みの貴族へと幾つか。近況報告を経て軽く互いの腹を探り合い。
否応無しに昨今の懸案である、帝国からの人や物の流れについて。先日の港湾都市について等を語り合って。

…それが終われば定例的な用件は、大凡が済んだと言っても良い。
仄かな酔いに身を任せつつ。少女は水際のデッキチェアに身を預けていた。

他の者達も大半は、必須事項を手短に終え。折角だからと水に入る者達の姿が見える。
――純粋に泳ごうという者よりも。王城ではお目に掛かる事の無いであろう、異性同士の水着姿へと。
意識や興味の向いているであろう者達が多いのは…まぁ、仕方がない事か。

そんな、案の定仕事の後に解放を求める者達か。
或いは今暫し、密談でも行おうという者か。
折角の機会だ、新たな繋ぎでも作れれば良いのだがと思案しつつ。
少女は周囲へと目を向けていた。)

ご案内:「ル・リエーの水遊場」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
ギュンター・ホーレルヴァッハ >  
周囲に目を向ける少女の視線の先に、グラスを傾け合いながら立ち話に興じる少年の姿が映るだろうか。
一応水着姿ではあるが、一滴も濡れた後の無い躰と、渇いた儘のプールガウンが水遊場である意味を見失わせているだろうか。

折角水着姿を振る舞う華やかな面々にも愛想笑いで適当に追い返し『真面目な』話が出来る者達と顔を突き合わせて密談に耽る姿は
少しばかり場違いに見えるかもしれない。

さて、むさ苦しささえ感じる様な語らいを終えて、程良く冷えた果実酒の入ったグラスを片手にデッキチェアへと足を進める少年。
其処で漸く、既に寛いでいる先客の姿に。
すっかり顔馴染みとなった少女に気付いて、少し意外そうな表情を浮かべながら近づいていく。

「……おや、まだ居たのか。こういう場所に長居しても、碌な事にはならないと思うがね」

顔繋ぎや親交を深める目的であったとしても。
異性の水着姿に鼻の下を長くする様な面々ばかりの此の会合で、実利に繋がるかどうかは…まあ、無いとは言わないが。
彼女の隣のデッキチェアに腰掛け、大きく背伸びをする様にその身を預けながら。
少し揶揄う様な声色と共に、視線を向けてみようか。

ナイン >  ふむ?――やぁ、こんな所でも遭うものだな。

(そんな折に横合いから掛けられた声には…馴染みが有った。同じ貴族の中、何かと付き合いの多い少年だ。
…歳近いという事も有る。怠惰に溺れきる事なく、それなり以上に政務に励む者同士でもある。
が、それ等以上に己と彼とは――途中迄の志、ある程度迄の野望という物を。共有する仲なのだ。

流石に、其処についてを事細かく。他者の目が残る此の場では、語り辛くはあるのだが。

距離がすっかり近付いた所で。デッキチェアから背中を離し、上体を起こしてみせれば。
彼の手に有るグラスへと、己の方から手前勝手に、自前のグラスを軽くぶつけてやろう。
別段、乾杯する程良い事が有った訳でもないのだが。挨拶代わりというものだ。)

 ぁは、碌でもない――解っているとも。
 けれど、それも含めて私達のするべき事じゃぁないか。
 割り切りというか、割り振りというか。弁えていれば良いのだろうさ。

(まぁ、だからといって。愉しめているとは限らない――そう言いた気に肩を竦めた。
残念ながら目の保養、という意味では。どうあっても女から男へ、の側が損をする。
男性陣の半数以上が、欲に肥えた中年男性貴族の水着姿なのだ…とあっては仕方がないだろう。
尖らせた唇へと運ぶ少女のグラスは。少年の物とは異なり純粋に――味目当て、甘い甘い果実水だった。)

ギュンター・ホーレルヴァッハ >  
「こんなところで。或いは、こんなところだからこそ…かも知れないがね。
会合を水遊場で、とは聞かぬ話では無いが、よもや自分が巻き込まれるとは思ってもみなかったよ」

この界隈、もとい同族の面々において、権勢欲だけではない理想と野望。それらを兼ね備え、半ば迄の道程を共有する同志。或いは――

兎も角、政務と公務において深い信を置くに値する少女に対しては、普段よりも幾分柔らかな――それでもまあ、偉そうではあるのだが――態度で、言葉を返すのだろうか。
彼女のグラスが此方へ向けられれば、ぶつけられる寸前に此方も軽く掲げて何とか乾杯の形を取ろうか。
特段祝う事も、感嘆すべき事も無い。強いて言えば、久し振りの再会に対しての挨拶代わり。

「割り切り、か。まあ、それを否定はしまい。
一応は気品と礼節を持って行う会合の筈だし、大人しくしていれば目立って下劣な手段に出る輩も流石にいないだろう。
とはいえ……」

肩を竦める彼女に、小さく苦笑い。
言いたい事は良く分かる。何より単純に、同性の肥え膨らんだ半裸姿を己だって眺めていたい訳では無い。
かといって、彼等と同じ様に異性の水着姿に目を奪われる程、公務を忘れられる訳でも無い。
年相応の少年少女らしく振る舞っていればいいのだろう、という言葉を返す筈…だったのだが。

「……まあ、しかし。お前のそういう姿を見る事が出来たのは、下らん思いつきに付き合った甲斐があったと言っておくべきかな」

なんて言葉を零した後。
ふい、と視線を逸らせてグラスを傾ける。
甘く、仄かな酒精を纏った液体で、一気に喉を潤した。

ナイン >  それはそうだ。ったく準備も有るんだ、思い付きで言ってくれるなよとは思ったが…悪い事ばかりではない、うん。
 で、どうだ?貴男としては――目の保養にもなるのかな。

(総じて色々と有るのだが。矢張り大凡の貴族同士と比べれば――かなりの割合で。真っ当な、真面目な関係を維持している。そんな相手。
だからこそ、ぶつけ合ったグラス越し。小首を傾げてみせつつの問い掛けは…完全に、相手をからかう為の物だ。
取り敢えず我が道を征き、見る側である事をしか意識していないのだろう…なかなかに見苦しい半裸の肥満貴族に比べれば。
姿形も亦武器であると割り切った女貴族や。サイドに控える、矢張り水着姿の侍女達等。其方には、目の保養も期待出来そうなのだから。
というか正直、その辺りに関しては時に。同性の己すら、惹かれる者が――と、其処はさて置き。
グラスを引き戻せば彼とは真逆、ちびちびと舐めるように唇へと運びつつ。)

 少なくとも、城の中に比べればな。まぁ、今の処、ではあるかもしれないが。
 その気になれるかどうか。雰囲気という物もあるのだし――と、…?

(色に欲に溺れるとしても。そう、雰囲気という物は重要だ。
人工的に明るく、昼間の如く照らし出されたプールサイド。其処で事に及ぼうという者は、少なくとも…
淫靡な灯りに照らされ、甘い香の焚きしめられた内々の宴会場等と比べて少ないだろう。
お陰で滞り無く定例的な会話も弾んだのだし。後は、お楽しみとしけ込みたいのなら。当人同士場を移せば良い、と。
其処迄続けるつもりだった言葉を、敢えて続きを濁したかのような彼の物言いによって。堰き止められた。
見上げてみれば。彼の眼差しは己へと向き、そして直ぐに反らされて。)

 ――――、  っ、ふふ。 …ぁは、どうした?暫く遭わない内に、口が回るようになったじゃぁないか。
 お世辞らしいお世辞だなんて、貴男はそう好まないような気もしていたんだが…

(そう、お世辞だ。そうなのだと思う。だから、呵々と一笑に付して遣るのだが――
つい、少女の側も亦。彼へと向けていた眼差しが、はしゃぐ娘達によって飛沫を散らす水面へと逃げてしまう。
場のせいだ。雰囲気のせいだ。屹度。)

ギュンター・ホーレルヴァッハ >  
「まあ確かに、開放的な雰囲気に釣られたのか、何時もより饒舌な者も居た。
何時もこういう催しでは辟易するが、偶の思いつきであれば悪くはないのかも知れんな。
………ふむ?ああ、そうだな。ダイラスの収益改善やハイブラゼールから上がる税収の増加は、何度見返していても楽しいものだ。そういった点では、目の保養にはなったよ」

なんて。小首を傾げる少女に返すのは、至って生真面目。寧ろ堅物に近い返事。
実際、常日頃己に財政支援をと群がる貴族が何時もより少ない。
帝国との交易が多少なりとも活発化した事が、港湾都市の利益に繋がったのであれば――その資料は、どんな美女よりも目に優しい。
王国に愛想を尽かしているとはいえ、それはそれ。これはこれ。
寧ろ、一仕事終えて漸く周囲の美女達を眺める余裕が出来た、と言わんばかりに小さく溜息。

「まあ、そういう需要を満たすのもこのル・リエーという場所だからな。
目に付く所で盛っていなければ、別にどうこう言うつもりも無い」

実際、貴族同士で睦み合うのであればまあ、止める道理もない。
使用人や侍女相手に盛ったとしても、場所を弁えるのであれば極論どうでもいい。
――そんなニュアンスの返事も、言葉は短め。
視線も、彼女から逸らせた儘。

「……そうだな。世辞は好かんよ。言うのも、言われるのも、私は好まない」

それだけ。らしからぬ発言ではあったが、それを否定するのも…それはそれで、何だか違う気がしたから。
公務を忘れたかの様にはしゃぐ娘達を抜けて、水面に映る人工の灯に視線を固定した儘、呟いた。
解放的な雰囲気に飲まれたか、とそれを振り払う様に口を付けたグラスは…既に空っぽだった。
所在なさげに彷徨ったグラスは、其の侭サイドテーブルへグラスを置く事に落ち着いたのだろう。

ナイン >  お陰で、舌の回りが悪い輩も。うっかり口を滑らせたりしてくれたしな…くく、こんな格好をしてやった甲斐も有るという奴さ。
 まぁそれでも、矢張り。どうせならきちんと準備に余裕を持たせてくれた方が有難いな。
 未だ、今年の水着は用意出来ていなかったし…得られる物を得るにしろ、持ち帰るのも厄介だ。

 んー――ぁー、まぁ。そうか。そうだな。
 なら何れ亦、ダイラスで会う機会を用意しようか。先日彼方に、シェンヤンからの出資が有ってだな――

(何ともまぁからかい甲斐の無いものだ、と。
露骨にずらされた回答に、頬を膨らませてみせるのだが。
良く良く思い返してみれば、彼という人間は折に連れて、こういう所をみせる存在だった。
ならばと、付き合いの悪さに機嫌を損ねるような事も無く。己の方も流れに乗っていく。
つい数日前の事だ、王国と帝国、双方からの出資による施設の旨は――まぁ言わずとも、彼にも伝わっているか。
存外ホーレルヴァッハの家自体が、金を出しているのかもしれないが。)

 全くだ。こちとらもう少し真面目な話があるという中で。隣で喘がれでもしていたら堪ったモンじゃない。
 見られる方が興奮する、だとか。そういう性癖の者が今日は居ないらしくて助かったよ。

(人間実に度し難いものだ。なかなかに人を選ぶであろう、嗜好だの性癖だの。
だからこそ密やかに秘めやかに――という発想は。権力の肥大化と共に揮発していってしまう物であるらしい。
実際これが王城の広間等であったなら。手籠めにされる侍女の痴態を、意図的に晒す者等も。居たのではあるまいか。
此処では、そんな様子も見受けられず。笑いさんざめいて波打ち際に遊ぶご令嬢等の姿は、実に健康的な代物だ。

…尤も、そのせいで。さり気ない彼の一言を、聞き流す事が出来無かったのだが。)

 それはまぁ、知っているさ。利の無い事など、早々貴男は口にするまいよ。
 ふ――む…そうさな、それなら折角だ。一つ付き合ってくれないか?
 先程言った通り――お褒めに与っておいて難だが、此奴は去年の代物なのさ。

(未だ互いに、目線は逸れた侭となっていたものの。
空になったグラスが置かれる、その硬質な音色が。どうにも微妙な空気に、間隙をもたらしてくれた。
同じく、少しずつ干していたグラスの中身を、一気に空にしてしまえば。ちょぃ、と水着の肩紐を摘んでみせ。)

 此処なら真新しい物も売っているだろう?私にはどんな物が似合うのか…意見を貰えないかな。
 っく、く。文字通りお世辞抜きで、道理に適った辛口の評価という奴に。期待出来そうだから――な?

ギュンター・ホーレルヴァッハ >  
「正直に言えば、場所が変わったくらいで舌先が軽くなる様な連中には、此れから回してやる話の内容も幾分考えなければならんがね。
……へぇ?そう言う事を気にするのか。いやまあ、私が無頓着なだけかも知れんが。

そうだな。この好景気も、何時まで続くかは先の見えぬ話だ。
出資の話については、帝国からの条件面で少々交渉を行わなければならない。
ホーレルヴァッハの海外交易が絡む話だが、場合によってはグリューブルム家を間に挟んでも――」

頬を膨らませた少女に、ちょっとだけバツの悪そうな表情を浮かべたものの。それは直ぐに掻き消えて、再び公務の顔へと。
王国外の植民地運営を行うが故に、外に敵を作りたくないホーレルヴァッハと、その利益を掠め取りたい帝国と。
それらの策謀が入り混じった今回の出資話は、少々面倒な事になる可能性があること。
その交渉事を上手く進められるのなら――と。
詳細や、それ以上の事は、流石に此処では口にはしないが。
大勢の貴族が居る場所で『グリューブルム』の名を敢えて出した事は――彼女の家と、彼女自身に、少しでも箔がつくだろうか、なんて。

「…っく、ははは。お前も、そういう愚痴を言うのだな。気持ちは分からぬでもないがね。
おかげで、広間と褥の区別のつかない者達を集めるだけでも最近は一苦労だ。
享楽を知らず、仕事熱心な者程、一度欲に溺れてしまえば脆いものだ。適度に遊ばせてやらねばならないのだろうが…」

男女問わず、優秀な官僚というものは得難いものであるが。
そういった者程、ひとたび快楽の坩堝に浸れば簡単に溺れてしまう。
男は目先の欲に溺れ、女は沈んでいく快楽に溺れる。そうならない様に発散させてやるのも一苦労。

…なんて愚痴を零し終える頃には、漸く彼女に視線を向ける余裕も、戻ってきていた。

「……覚えているよ。昨年、お前の別荘で見た物と同じだったからな。だからといって、それがどうこう、とは思わないが…」

と、肩紐を摘まむ少女に視線を向けながら、嘗ての夏を思い返す。
……あれはあれで、中々らしからぬ言動が多かったな、と。
再び視線を逸らしてしまいそうになるのを、辛うじて堪えた。

「……私の意見は余り参考にならないとは思うが…。
正直、女性の装いに詳しい訳でも無いし…」

困った様な声色と表情。つい先程、港湾都市の施設について語っていたモノとは全く異なる色。
それでも、期待に応えようと暫しの間彼女をじっと見つめた後。
悩まし気に天井を見上げ、少しの間考え込んだ後。
視線を戻した少年の表情は、普段の尊大さや傲慢さの色合いは、消え失せていただろうか。

「………お前は、その、同年代の者に比べれば幾分華奢だ。
その黒色も勿論良いとは思うが…もう少し、鮮やかな…いや、明るい色合いのものを選んで、年相応の溌剌さを出しても良い……と、思わなくも、ない。白色とか、薄い紅色、とか。
装飾も、余り過剰に過ぎるより、布飾りを塗すくらいで良いんじゃないか…と思う」

ぽつり、ぽつり。
自信無さげな言葉が続く。

「……此処にそういう水着が売っているかは知らぬし、あくまで私の主観だ。
お前の侍女なり、同性の友人なりに聞いた方が建設的な意見が出ると思うがね」

と締め括ると。
再び彼女から視線を逸らせて、デッキチェアに仰向けに寝転がる。
気が済んだか、と言わんばかりに。