2020/05/22 のログ
■タマモ > ここはル・リエーの水遊場、そこにあるプールの一つだ。
リング状に形作られ、そこを回るように水が流れている。
もちろん、そこまでの流れでなく、流れに逆らって歩ける程度の流れ。
少女の姿は、そのプールにあった。
ちなみに、今は耳も尻尾も見えず、一見すれば普通の人間の少女の姿だ。
「………ふむ、水に浸けても、普通に壊れたりはせん。
この辺りが、便利と言えるところじゃのぅ」
ぷかぷかと、浮き輪で浮きながら、そんな呟きを。
そんな少女の視線は、水の中に。
そこに見えるのは、最近少女が持ち歩いている、撮影用の球体をした魔導具。
ゆらゆらと水中を、少女から付かず離れずに漂っていた。
何をしているのか?と問われれば、まぁ…うん、水中からの映像を撮影中である。
どうしてか、なんて、そんな問いは向けないように。
言わなくても、想像に容易いものなのだから。
■タマモ > 撮影を目的として、とは言え、特にこれと決まったものを撮る訳でもない。
確かに、何か面白いものがあれば、それを撮るのが当然と言えよう。
しかし、もし面白いものが、見付からなかったら?
…簡単だ、自分で、それを作り出してしまえば良い。
「趣味を仕事とする、とは良く言ったものじゃ。
こうしたものならば、いくらでも………おっと」
ふっ、と笑いながら、更に言葉を紡ぐも…
ゆれる魔導具が、タイミング的にぷかりと水面に浮き上がれば、ぴたりと言葉を止める。
水中ならば、呟き程度の声は集音し切れないのだ。
うん、余計な呟きまで録音してしまい、何かあった時に困ってしまうからで。
念には念を、である。
一定間隔で、水中からと、水面から、交互の光景を映しているのだ。
■タマモ > しばらくは、そうして流れ流れて行くのを楽しむ。
時折、視線を彷徨わせ、何か面白そうなものを探す。
………まぁ、場所が場所だ、よろしくやっている連中も見掛けるのだが…
少女からすれば、その程度、普通過ぎてつまらない。
それはそれで、気分によっては良いのだろうが…今は、そうでもなく。
「さて、と…面白そうなものもないし、試す事は試したし、これくらいかのぅ」
すいっ、と指を振れば、水中を漂う魔導具が、手元に戻る。
本来やるべき事は、十分やったと判断したからだ。
この魔導具が、どこまでの環境で撮影が可能か。
正直、少女はそれこそ、どこにでも神出鬼没に現れられる。
問題は、それに道具が耐え切れるか、と言うのがあったのだ。
先日は高速移動の加重、そして今回は水中での。
「そろそろ、本格的に動くのも良かろう。
面倒じゃが、嵌まれば面白くもありそうじゃからな」
くすくすと笑いながら、ぽんっ、と手元から魔導具を消して。
とりあえず、あれだ…
後は、もう少しのんびりと、遊んでゆこうと。
そのまま、もうしばらくは、自由に漂っている少女であった。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」からタマモさんが去りました。