2020/02/23 のログ
フリュネ > 響く足音に引かれ、死線を螺旋階段へ向けるとそこには白衣を身にまとった少女。
上層階からやってくるとは、この子も貴族とかそういう系…?と興味を覚えつつ、彼女が近くにやってくるのを何となく見守る。
ぶつぶつと呟く言葉に耳傾けると「出張鑑定」という単語が飛び込んできた。

研究者か何かだろうか…と思いながら、しかし今しがた始めた読書の邪魔をするわけにもいかない。
というより、虚空から本を引っこ抜いたようなその技術も気にはなるが。
少し考えた末、横臥の体勢からゆっくりと女は身を起こし、座る体勢に移行した。
そして怪しまれない程度にのんびり問いかける。

「……ねぇ。貴女、上から下りてきたってことは…お金持ちの子か何かなの?」

識海・L・七空 > 声を掛けられて数拍
ぱたんと読んでいた本を閉じゆったりとした動作で声の主へと向き直った少女は少し驚いた様子で口を開いた。

「おや?私を正しく認識できているのですか、存在希薄化の魔術は張っていたと思うのですが。まぁいいです。質問にお答えしましょう。」

そう少女が言うと彼女が手にしていた本がキラキラと小さな粒子になって消えていった。

「お金持ちかどうかと言われればそうかもしれませんね。
此処の上層階、あるいは最上階のスイートくらいであれば難なく宿泊できるくらいの金銭はあります。

子供か?と言う問いに関しては否ですね。
こんなナリですが多分私の方が年上ですね。」

そう答えた少女は蒼色の髪を揺らし続く言葉を待った。

フリュネ > 煌めく粒子になって消えていく本を瞬き、見送りながら、自分の問いに対する答えを聞く。
存在希薄化の魔術を通り越して彼女を認識したということは、自分はもしかして凄いのだろうか、と一瞬思ったりもした。

「成る程ね。そんなお金持ちも、こういう庶民向けの階に下りてきたりするのね」

感心している。だが少女の方が年上だと言われれば、驚いたように目を丸くして。

「うそ? ……どう見ても私より年下に見えるけど。もしかして、魔法やら何やらで姿を変えてたりとかするの?」

もうちょっと近くで見よう、と思ったのか否か。
避けられなければ少女の隣に腰掛けてまじまじとその顔を見つめる。

識海・L・七空 > 「さぁ?私は貴族等では無いので…商売上お金はそれなりにありますが至って平民ですよ。無駄に肥えた豚みたいな悪趣味貴族が闊歩する上層階なんて居心地が悪いだけです。」

もし興味があるなら行ってみますか?
と尋ねるも彼女自身は入りたくない、もし行くなら最上階の貸し切りスイートだろうか?等とぼんやり考えている。

「姿を変えている、ではなく身体の成長を止めている。が正しいですね。」

隣に腰掛けようとする相手のために少しスペースを開ける。特段嫌がる素振りもなく隣に腰掛けられるだろう。
そうして会話していれば彼女の纏う雰囲気や言動は大人びた女性のものであることも分かるだろう。

フリュネ > 「あぁ…その気持ちはわかるわ。太った不細工な貴族は、遠目で見てるだけでも嫌気が差すもの」

この国の経済を回しているということは事実なのだろうが…
何となく憧れのようなものはあるが、今聞いた話のこともあるし、特別行きたいというわけではないので、
ううん、と首を左右に振って否定した。

「成る程…。……そんなこと出来るのねぇ」

ありがたく空けてくれたスペースに腰掛けて、傍でじっと顔を見つめる。
何となく手を伸ばして、嫌がられなければその頬とかを触れてみたい。
大人びた雰囲気を間近で感じ、敬語で話すべき?なんて冗談めかして問いかけてみる。

識海・L・七空 > 「そうですね、行かないのが吉です。雰囲気もそうですが女二人でそんな場所うろついたらどんな馬鹿に声を掛けられるか…。
まぁ、それとは別に金持ち気分を味わってみたいと言うなら、そこらの貴族の頭を飛び越えて貸し切り部屋…。てのも出来なくはないですが。」

少し脅すようになったことを詫びそう漏らす。


「少なくとも世間一般の魔術師では無理ですね。私はだいぶ人を辞めてる部類なので。」

さらりと衝撃的な事実を何でもないことの様に話す少女。
伸ばした手は特に抵抗を受けること無く少女の肌に、その幼い顔立ちの頬に触れることが出来るだろう。
それと同時に、少女の手がフリュネの伸ばした腕の上を撫でるようにつぅっと流れていくだろう。

フリュネ > 「金持ち気分……一庶民には夢のまた夢って感じ…」

しみじみと。貸し切り部屋という単語も、またそそられる響きだ。
詫びられれば大丈夫、と軽い声を返す。

「ほほー。中々のことを言うのね、貴女。見た目こそ、ちょっと不思議な、でも普通の女の子って感じだけど…」

人は見かけにはよらぬもの。
幼い顔立ちと、それに見合う肌触り。
同時に腕に触れた少女の手に瞬きつつも、取り立てて嫌がることはしない。
そのまま親指をつっ、と横に流し、彼女の頬を優しく撫でる。

識海・L・七空 > 「まぁ、纏まったお金を得ようと思えばある程度は貴族の相手もしなければいけませんからね。どちらにも良し悪しはあるでしょう。」

無駄に達観した事を言いつつちらりと辺りを流し見るわずかに居た人影も去りこの場に二人しか居ないことを確認してこう切り出した。

「えぇ、中々でしょう?私は人であり魔導書でもある。多分それが私を言い表す上でさいてきな言葉でしょう。」

頬に触れられて、腕に触れて。
何かに納得したように頷いた少女。
彼女に触れた手を横に流せば彼女の蒼色の髪が手に触れさらさらと揺れるだろう。

「貴女が私を認識できた理由。それもなんとなく分かりました。ある意味では私達は似た者同士ですね。」

少女はそう言って微笑みを浮かべた。

フリュネ > 「……成る程。私より年上ってのも嘘じゃないみたいね」

達観した一言に納得したように頷く。
少女の視線につられるように、周囲を流し見た。他のお客は他のフロアに行ったか、帰ったのか。
気づけばこの広い屋内に二人きりだ。

「魔導書…。……確かに、いかにも研究者って感じの雰囲気よね。貴女」

何を察したのか。蒼い髪を指先で淡く擽るように触れながら、続く言葉を待つ。

「…似た者同士。そういう表現は嬉しいけど、具体的にどんなところが似てるの?」

興味を惹かれたのか、女も笑みを浮かべながら問いかけた。

識海・L・七空 > 「まぁ、年齢なんて飾りですから。そう畏まる事もないですよ。気楽に接してもらって大丈夫です。」

私の敬語は抜けない癖みたいなものですから、と言い添える。

「研究者、まぁそうですね。研究もしますね。私は蒼玉古書店という店で店主をしています。識海・L・七空と申します。好きに呼んでくださいね。」

ここまで話してまだ名乗ってない事に気付いたのか軽く自己紹介を挟む。そして…。

「えぇ、似た者同士です。人であり、それと同時に人ならざる者でもある。これで間違っていたら恥ずかしいですが。貴女はどちらかというと魔なる者に近いのでは無いですか?」

と、言いきる。
そして翡翠色の瞳でまっすぐと見つめて返事を待った。

フリュネ > 「そう?なら、遠慮なく…」

こういう些事にこだわらない性格の女は、あっさり少女の言葉を受け入れた。

「古書店か。……そうね、私はフリュネ。フリュネ・ナライア。好きに呼んでくれていいわ」

応じて此方も自己紹介を挟んだ。
魔に近い、と言われれば、うん、と特に躊躇うでもなく頷いた。

「そう。私、ヒトと魔族のハーフでね。魔族の国にもよく行くし、そこで取れた材料を売って稼いだりもしてるの」

ご名答、という風に笑ってみせた。互いの視線が自然と交わる。

識海・L・七空 > 先程までと比べて少し砕けた口調になったフリュネを前にしやはりこっちの方が気が楽だと感じる、それをわざわざ口に出したりはしないのだが。

「ではフリュネとお呼びしましょう。
そう、表向きには古書店主、裏では様々な書物を蒐集する図書館司書。それが蒼玉堂の正体です。」

少し裏事情を含んだ言い回しではあるが特に隠しているつもりはなかったりする。古書店は兎も角図書館の方とある理由では客人がほぼ来ないのだが。

「魔族の国へは私もたまに行きますよ、珍しい本の噂を聞いた時とかに。何か本があった時はどうぞ私に見せに来て下さいね?真贋を鑑定した上で買い取ったりもしますので。」

と冗談めかして言った。
交わった視線をそのままに笑い掛ける。
元々表情の変化に乏しい彼女にしてはハッキリと笑顔だと分かるような表情だった。

フリュネ > 「どっちにせよ本に関わってるのね…まぁいかにも、って感じだけど」

様々な本が蒐集された図書館…と聞くと中々面白そうにも思える。
多分、取り立てて用がなければ行かないだろうけど。

「そう?なら、そうさせてもらうわ。最近はあまり無いけど、前は本を調達してたこともあるから。珍しいかそうでないかもよくわからないんだけどね」

二人笑い合う、緩やかな時間。
傍目から見れば、水着の女と白衣の少女というよくわからない組み合わせだが。

識海・L・七空 > 「えぇ、本に触れていることが私の存在証明ですから。」

裸に白衣を纏った女のどこがいかにもなのだろう?と少し笑い先程本を引き出した様に何かを虚空から掴み出すとそれをフリュネに握らせる。それは一見なんの変哲もない栞だった。

「普段は王都の貧民区からじゃないと来れないのですが、この栞を持っていれば私の図書館に直接飛べるようになります。いつでも歓迎しますよ。」

そう言い残し立ち上がった少女は別れを告げ最初に降りてきた螺旋状を昇っていった。恐らくまた何かの仕事なのだろう。

フリュネ > いかにもとはもちろん、その言動や雰囲気に対してである。
裸に白衣はそれを上書きして余りあるかもしれないが。

そうして虚空から取り出された栞を、特に警戒するでもなく受け取った。

「…へぇ。なら、売買じゃなくても遊びに行ったりとか、出来そうね」

暇があればね、と言いつつ、別れを告げた。
そのまま階上に行く少女を見送った後、自身も水遊場を後にした……

ご案内:「ル・リエーの水遊場」から識海・L・七空さんが去りました。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」からフリュネさんが去りました。