2019/07/23 のログ
ご案内:「ル・リエーの水遊場」にホウセンさんが現れました。
ホウセン > 水練場跡地たる水遊場に、その小さな人外の姿があった。
漸く夏らしい気候が巡ってきた昨今、呪術なり魔導具なりで気温の調節が出来るとはいえ、精神的に涼を求めるのは人と変わらぬ。
少しばかり足を伸ばして訪れた其処は、王都の貴族連中からも推挙された避暑施設。
肌を晒すのに抵抗はないけれど、バチャバチャと泳ぎ回るのを好むかは微妙なところ。

「嗚呼、それでも、誰彼と繰り出すのは理解できぬ話でもありゃせんな。
 川遊びや海水浴では、魔物に丸齧りされても文句は言えぬじゃろうし。」

自然の持つダイナミックさなり爽快感なりには及ばぬが、安全第一でその近似値を楽しめるのなら。
斯く言う妖仙自身も、歪な輪の形で、人工的な流れを生む仕組みのプールで一泳ぎした後。
”流される”のは、如何にも精神衛生上宜しくないので、意地で手足を動かしていたのだけれど。
帝国出身者にしては白い肌は、若さというか幼さのせいでよく水を弾き、首にかけた白いタオルの活躍は限定的。
ガラス張りの外壁に近い区画でデッキチェアを見つけ、大儀そうに小柄な身体を寝そべらせた。

ホウセン > 上層階に赴けば、支払った料金に見合った上げ膳据え膳なサービスを受けられるだろう。
そして、相応に羽振りの良い商人たる人外になら、割高な料金も痛痒に感じることは無い。
だが、それではつまらぬと考える辺り天邪鬼で、平民でも気軽に立ち寄れる下層階を選んでいる。

「ま、地下階に興味が無いといえば嘘になるがのぅ。
 其れは其れ、何ぞ愉快な催しがある時にでも顔を出せばよかろう。」

水温の調節がされているとはいえ、長時間水に浸かった後は身体が冷えるもの。
熱を取り戻すべく、日向で甲羅干しを決め込む風情だが、大人しく目を瞑って午睡を決め込むには好奇心が強過ぎる。
自堕落に横たわりながら、利用者の水着に、或いは水着姿に注視する。
意識の半分は、商品としての水着に。
もう半分は、水着を纏う女達の姿に。
そんな具合だから、隣に幾つか並んでいるデッキチェアを使おうとする者なり、飲み物や軽食を売り込もうとする者がいても、かなり近付かれなければ気付けないかもしれない。

ホウセン > 陽光を浴びて体温が戻った頃。
全身運動で消費された活力に、胃袋が不平の声を上げた。

「ふむ、ちぃと小腹が空いたのぅ。」

そう呟くと、小さな人外は身を起し、出店のある方へと足を向け――

ご案内:「ル・リエーの水遊場」からホウセンさんが去りました。