2019/03/09 のログ
ご案内:「ル・リエーの水遊場」にジンライさんが現れました。
ジンライ > 王都に設えられている屋内の水遊場。水泳を楽しむには季節外れといえど、遊戯用に整えられた温水プールはそれなりに賑わっていた。
屋内を漂う熱気に合せるように、プールサイドにはご丁寧に南国の木が所々植わって天井へと高く伸びている。

その一角、デッキチェアがいくつか設えられている空間の傍にある監視台の上に、長身痩躯の東国風の男。腕組みをして背もたれにだらりと寄りかかり、瞼を半分落としている様子からは到底監視員として役立っているようには見えない…

(やべえ…暇だ……)

仕事たる『監視』をして無い―――尤も、男の額と頬の傷と目つき、ちらりと見える肩口の彫物で、防犯に一役買っている可能性はある――からだからだが、心中そう独りごちると人目も憚らず大あくびをした。

ジンライ > 欠伸を終えるとまた半眼になって鼻の下を一つ擦る。それから首をこきりと鳴らして、サーフパンツのポケットから煙草の箱を取り出した。咥えようとして、湿気を含む空気に片眉を上げると諦めの溜息をついて煙草を箱に戻す。

ここでの本当の仕事は監視ではない。今のボスからとある人物の探索を命じられて、取り敢えず目撃情報のあった場所へ潜り込むついでにバイト代をせしめようと思ったところ。
どうやら空振りの様子であれば、一層やる気が―――元々ほぼないが――失せると言うもの。

ジンライ > (―――ひょっとして)

がりがりと後頭部を掻きながら、視線だけで辺りを見回す。一応『勤務時間』はあと一刻ほどあるが―――

(消えてもバレねえんじゃねえの……)

自分に向けられている注視の気配も感じられない。あと一刻ほどの間くらいなら、『はばかりに行っていた』とでも言い逃れが出来なくはない気がする。

「………」

男は顎を一つなでると、しれっとした顔つきで監視台から降りた。――頭上に差し掛かっていた木の葉からぼたりと水滴が落ちて、顔を伝うのに顔を顰める。
それでもしれっとした態度を崩すことは無く、何なら鼻歌を小さく歌いながら、のんびりとした足取りで更衣室のほうへと立ち去った。

ご案内:「ル・リエーの水遊場」からジンライさんが去りました。