2018/10/17 のログ
ご案内:「ル・リエーの水遊場」にアシュリーさんが現れました。
アシュリー > 「水泳ですわ!!」

水泳である。
いや、厳密に言えば――厳密に言わなくても、水遊び。
泳げない令嬢は、泳げないくせに気合だけ入った水着姿で決めポーズ。
子供用の腰まで無いくらいの浅いプールと大人用の深いプール、どちらに入るか真剣な顔で悩んでいた。

アシュリー > 「むむむむ……」

安全を期するならやはり子供プールであろう。
けど、それはプライドが許さない感じの抵抗を感じる。
かと言って大人用プールでは命の危険まである。
どちらに入るべきか、どちらで遊ぶべきか。
腕を組み、豊満な胸元を持ち上げ、小首を傾げて熟考中。

ご案内:「ル・リエーの水遊場」にざくろさんが現れました。
ざくろ > 「ぷはっ!」

大人用プールから、潜水のまま端までおよぎきって、勢いよく顔を出す大和撫子(?)
湯帷子を付けての重さと抵抗ありでこうまでできる泳ぎ達者である。

「ふぅーー……きもちい……あら?  アシュリー様ではございませんか?」

つい最近、再び見ることとなった綺麗な金髪と青い瞳、雪のような肌。
そしていつの間にか勝手にたわわった体。
ロンディニア家の子女。次期当主だ。

アシュリー > 「ひょえっ!」

貴族の子女にあるまじき声を上げてへたりと尻餅をつく。
この間のお風呂で流れてきた少女といい、今回のプールから出てきた女性といい、
水場ではとことん脅かされるのは何か水の妖精か何かに呪われるようなことをしたからだろうか。
まったく見に覚えはないのですけれど。その呪い多分人違いしてますわよ!!

「って……ざくろさま?」

よくよく見れば、急速浮上してきたその方は、前に街で出会った食事処の看板娘さん。
慌ててはしたない尻餅ポーズを整え、さも優雅に座った風に装って軽く会釈。
大丈夫、大丈夫わたくし優雅ですわ。ギリギリセーフ、ギリギリ優雅キープですわ!!

ざくろ > 「はい。おひさしぶりです。「ひなげし」のざくろでございます」

(あらぁ。この子ビビリもなおってないんですねー……ナイスアングルゲットですけれども……)
そう思いながらも、再開に胸を温かくする「兄」。
家も何も関係ないところで、こうして妹とあえるのは……別人としてだけれど、嬉しい。

「アシュリー様も水遊びに来られたのですか? いいですよ水は。
全身が無理なく鍛えられるので、柔らかくてしなやかな体になります。
遊びも楽しいですしね」

基本的に騎士候補だったころは、筋力と体力両方が鍛えられると水練をさせられたものだ。
性に合っていたし、今も泳ぐのは大好き……
なのだが、この子溺死しやしませんか?大丈夫ですか?人工呼吸で兄妹で接吻ですか?
あと優雅気味ですが、尻もちポーズが色恋のでノーゲームです。

アシュリー > 「お久しぶりですわね。こんなところでまたお会いできるなんて」

嬉しいですわ、と口元に手を遣って優雅にくすくす。
嬉しいのは本当だ。ざくろさまはわたくしの理想を信じて応援してくださる方のひとり。
知らない誰かに出会うよりはずっと嬉しいし、知り合いの中でも嬉しさは上位に食い込むだろう。

「え、ええ。鍛錬……そうですわね」

実際は泳ぎの練習に来たのだけれど、恥ずかしくて言い出せない。
この歳で全く泳げないなんて、いくら優しいざくろさまでも失笑モノだろうし。
なので、ごまかす。

「鍛錬しようと思ったのですけど、他の方の迷惑になりそうですし。
 今日のところはわたくし水に浸かっているだけで十分ですわ!」

ざくろ > 「ええ。運がいいです、今日は」

妹の言うように、嬉しい。自分とて、女性として過ごしている側面として
『女性でありながら世の中を変えようとする乙女騎士』と会えたことが嬉しいし
兄として、成長した妹がどういう人になったのかもっと見たかったこともある。

「……(あら)」

どうやら、この子は水練を受けていないのか。
自分が出奔してから、指導員が代わったのか。
しかし、凛として立つものとしてあろう、とするこの子のことだ……

「あらあら。ではアシュリー様。お水の中で、ちょっとこちらまでお越しいただけません?」

平民と貴族のやり取りとしては無礼千万もいいところだが、妹ならば疑問も感じないだろう。
距離にして10mと少しか。さてさて。

アシュリー > 「まぁ、お上手なんですから」

たとえお世辞でも、会って嬉しいと思える人が同じ感想を抱いてくれるのはとても嬉しい。
微かに胸を弾ませながら、幸運を神に感謝する。

「……ええ、お水の中で、ですの?」

お話を楽しむつもりで居たら、水の中をこちらまで来いと。
どういうことだろうと首を傾げ、大人用プールに恐る恐る足を浸け、体を滑り込ませて。
ざぶざぶと水中を歩いてざくろさまのもとへ――

――――プールの底で足を滑らせて、とぷんとその姿が消える。

ざくろ > 「うふふ。本当に嬉しいんですから、おべっかなんかじゃありません♪」

そう。本当に嬉しい。この子は一体、どんな女性に――――

「ぁぁあぁああアシュリー様あああああああ!!??」

絶叫の後おもいっきり壁を蹴って潜水し、きっと底面でおぼれかけているであろう妹へと向かう。
あの体たらくではパニックを起こして溺れているのではないだろうか……!?

(遊技場で溺死とか、ロンディニア家が本格的に断絶しちゃいますよーーーー!?)

アシュリー > 「えぼぼぼぼぼあぼぼぼ」

えっ、なんで? と急に息ができなくなり、上下の感覚が消え、視界が歪むような感覚に理解が追いつかない。
一拍置いて溺れていることに気づき、

「がぼぼぼぼぼぼ!!」

がむしゃらにジタバタして水面に這い出そうとするが、却って全身に力が入ってしまい急速潜航ー!

ざくろ > (ああああああー!?あの呼気じゃあ体の浮力が一気におちちゃってますよー!?
でっかい浮力が胸に2つついてますが追いつきませんよー!?)

人命救助のセオリーに従って、後ろから抱えて救助したいが……まず溺れた地点が壁をすぐ背にしている。
これでは…………いや、大人が立てば簡単に水面からでる推進なんだから、いいのか。

(この短時間で肺までたぷんたぷんとかやめてくださいよね!!)

目に見えて底面へと、そんなにジタバタできるなら上がってくださいよと思うくらいジタバタしている妹へと接近して――

(お兄ちゃんが助けますからね!運動に関して手がかかるのは変わってないのね!!)

妹を抱きかかえて、思いっきり底面をふみしめて

「よいしょおーーー!!!」

アシュリー > ざぱー、と水面に浮上するまでの間に、過去の思い出が走馬灯のように蘇る。
そう言えば昔、家のお風呂で溺れたときもこうやってお兄さまが抱き上げて助けてくれましたわね――

「げほっ、げほげほ!! げっほ、けほっ、けほっ……」

水を吐き出してぜーぜーと肺いっぱいに空気を取り込む。
胸がものすごく痛い。死ぬかと思った。
そこで初めてざくろさまに助けていただいたことに気づいて。

「はわっ、ざくろさまありがとうございますわ!?
 わたくしったらなんて情けない……」

それにしてもざくろさま、お綺麗なのに力持ちですのね、殿方みたいに頼れますわー
なんて酸欠の脳でわけのわからない供述を交えながらぺこぺこお礼を述べる。
命の恩人、感謝永遠にですわ!

ざくろ > (子供の頃もこういうことがあったような無かったような……
貴族の家とはいえ、家風呂で溺れる健康な女の子とか、この子は運動能力が呪われてるんでしょうか……)

「ああ。大丈夫ですか、アシュリー様?落ち着いて、ゆっくりです。大丈夫ですからね? 怖かったでしょう……?」

背中をとんとんと叩いて、飲んだ水が全部でていくようにと。
こんなところで妹を失う訳にはいかない。
剣しか知らぬ自分なんかより、ずっとずっと優れた貴族になれる子なんだ。

「いいえ。当然のことです。ああ、ご無事でよかった……
アシュリー様。人は水で生活していません。情けなくなんてないんですよ」

心中の様々な焦りとかを押し込んで、ふわりと柔らかな笑顔を向ける。
この子と落ち着いて話すために。きっと頭の中では大袈裟なことをかんがえているのだろう。

アシュリー > 「怖くはありませんわ……」

背中を叩かれながら飲んだ水を出し切って、このビビリの令嬢であるが不思議と怖くなかった、
というか溺れたのを理解したときには既に救助が入っていたので恐怖を感じる時間が少なかったのが幸いだった。
いまになって少し怖くなったけれど、ざくろさまの手前強がってみせる。

「……でも普通、溺れる人なんてそういませんもの。
 助けてくださって本当にありがとうございます。ざくろさま、この御恩は忘れません」

情けないですわね、と震えながら苦笑い。
この方が居てよかった、一人だったらどうなっていたか。

ざくろ > 「そうですか……なら、よかったです……」

そっと包むようにしながら、背中をとんとん。とんとん。
全く怖くなかったというのは流石に強がりだろう。言葉でそれを肯定し
動作はこうして、人の落ち着くリズムで。

「いいえ? 誰だって溺れます。確率の問題です。
泳ぎの先生だって、浅瀬で溺れることだってあるんですから。
もう……そんな恐れ多い……。ですが、アシュリー様のその下々への忘れぬ感謝。嬉しく思います」

事実、運が悪ければどんな達人でもどこででも溺れる。
低確率で自分を制御できなかった、運悪く持病がでた、めまいで感覚をうしなった……
人間は水の中で生きていないのだから、当然。

(……どの程度泳げるのか見てあげよう、なんて思った自分が、全部悪い。
ごめんね……)

ぎゅっと、抱きしめる。

アシュリー > 「…………」

心底心配してくれて、背中を叩いてくれるざくろさま。
平民が貴族を溺れさせかけたから――なんかではない、心の底からの暖かさを感じて震えが治まっていく。
自分でも認めていないような心の中まで慮ってくれるのが、出会って間もないとは思えないくらいに心を落ち着かせて。

「でも、いくらなんでも泳いでさえ居ないのに……
 あの、そういうのやめてくださいませ!
 ざくろさまは恩人ですし、そんなに畏まらないでほしいですわ。
 なんだかむず痒くなってしまいます。アシュリーと、どうか呼び捨てで」

ぎゅっと抱きしめられれば、背中に感じる人肌の温もりが心地良い。
目を閉じて、その熱で冷えた身体を温めてもらう。

ざくろ > 「ん………………」

自分は命の恩人なんかではなく……この世界で誰よりも貴女をしっていた筈の1人なのに
それができなかった。それをさせてしまった。
そういう。6年前から変わらない、ただの大馬鹿者なんですよ、と
心中は悔いしかない。
それでも、この子が望むのなら――

「はい。では、二人でいる時は、そう呼ばせていただきます
……アシュリー」

フィリア、と口からでかけて慌てて仕舞う。
そして、こうして抱きしめていれば、湯帷子のことも見破られないだろう。
この子は魔導の才が高い。
もう少しだけ、ざくろとしてこの子を見守りたい。今はただ、温かさを分け与える。

アシュリー > アシュリー、と直ぐ側で響く声にぱぁぁと表情を輝かす。
強く優しく頼もしい、理想の女性との距離が少し縮まった感覚。
抱きしめられ、暖かさを感じながら、懐かしい匂いに身を委ねて。

…………あまり身を委ねすぎてここで団子になるのも周囲の迷惑か、とそそくさと離れ、
それからもう一度満面の笑顔で正面からざくろさまにハグ。

「ざくろさま、ありがとうございます。これからも頼りないわたくしとお友達でいてくださいませね?」

ざくろ > ああ。この子笑っているな。そう、気配でわかる。
感情がどれもコレもわかりやすくすっぱりと出る子で、喜びはひときわだったから。
うん。成長したけれど、抱きしめているとあの時のまま。
喜んで飛び込んできた時、泣いているのをあやしている時。
そんな感触が、懐かしい。

そっと離れたかと思うと、真正面からハグをしてくる。
常識が身についたのか、それともやりたいことが出来る場所を探せるようになったのか。

「ふふ。私とアシュリーでは、出来ることが違うだけです。私はお料理とかできますが、アシュリーの業務はなーんにもできませんしね?
ええ。もちろん、私達は、お友達です」

店で客に見せるものとはちがう、花の笑顔。

アシュリー > 「わ、わたくしだってお料理とか出来ますわよ。
 その、トーストくらい…………」

果たしてそれは料理と言っていいのか、とか。
トースト風情で料理人と張り合うのか、とか。
色々問題はあれど、生来の負けず嫌いを発揮して。
それが自分でもおかしくてくすっと吹き出す。

「あの、変な意味ではないので怒らないで聞いてほしいのですけど」

すっと笑顔から真剣な顔。

「ざくろさま、なんだかお兄さま……あ、わたくし何年か前に家を出たお兄さまが居るのですわ。
 その、意地悪だけどとても強くて優しくて、密かに憧れてたりしたのですけど……
 そんなことはどうでもよくって。お兄さまみたいな安心する匂いが致しますの。
 断じて女性のざくろさまが殿方みたいな匂いだって言うんじゃなくて、こう、感じが似てるっていいますか。
 あの、だからざくろ様のこと、たまにお姉さまって呼んでみたりとか…………」

ざくろ > 「ふふっ……」

やはりお屋敷に住んでいては、料理をする機会そのものがない。
なにか職務で泊まり込んだ時に焼いたのだろうか。
負けず嫌いも変わっていない。それでも、見通す目は立派になった。

「はい。なんでしょう?」

そして、妹の言うことを、じっと聞く。真剣な顔で、真剣に話してくれているのだから。

あれ。え。これ。え。湯帷子、ばれてないですよね?
エンチャントはちゃんと一級の術士に頼んだのですが……
ええっと……近くに居すぎたから、懐かしい記憶が呼び覚まされた?
私が、家に居たときの、記憶が。
………………寂しい思いをさせて……ごめん、フィリア……

「はいっ。ふふ。年上のお姉さんですし、安心するっていってもらえると、嬉しいです。
じゃあ、そう呼んで? アシュリー」

アシュリー > 「嬉しいですわ」

お姉さま、とつぶやいて、最後にもう一度むぎゅう。
…………うん?
なんだかおねえさまの衣装に、違和感を感じる。
よくわからない魔法か何かが掛けられているような……まあいいか。

「うふふ、本当にざくろお姉さま、やさしくてお兄さまみたい。
 懐かしくって、抱きしめられるの好きですわ……」

ざくろ > 「ふふ。そう思ってもらえるのが、うれしい……」

今の自分は料理屋の女、ざくろなのだから、これがいい。
ぎゅっと抱きついてくれるフィリア。大切な妹。
できるなら、そばで守ってあげられればいいんですが……

「ふふ、アシュリーったら。年上に恵まれるのね。可愛い。
……ん。こうしていたいけど、ここじゃちょっと恥ずかしいですね。
休憩所で、沢山、こうしていましょう?」

アシュリー > 優しく素敵なお姉さま。
声音からもわかる、わたくしの身を案じてくれる温かみがうれしい。
まるで昔からの知り合いや、家族のように想ってくれるのがわかるし、
わたくし自身もお姉さまが家族のようにすっと胸の中の立ち位置に収まるのがわかる。

「そ、そうですわね。少し恥ずかしいかも……
 休憩所ならあまり見えませんかしら? ええ、じゃあ是非そういたしましょう!
 お姉さまに、会えなかった間の分……いっぱい甘えさせていただきますわ!」

会えなかった間なんて、ほんの数日のことだし。
親密になったのもついさっきのことなのに、思わず口をついて出たセリフに自分がどれほど浮かれているのかわかる。
わかったところで、落ち着くものではないのだけれど。
まるで恋する乙女のように顔を赤くして、お姉さまの手を取り休憩所に引いていく――

ご案内:「ル・リエーの水遊場」からアシュリーさんが去りました。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」からざくろさんが去りました。