2018/06/01 のログ
シド > 星瞬く夜にと訪れたのは忙しさ故に。
水遊び場に訪れたのは運動不足の解消の為に。
閑散として水月を浮かべる水面に微笑みを浮かべて爪先からゆっくりといれようと。
寸前、水面に広がる波紋にそちらに視線を寄せる。
水面に浮かぶ先客の姿を検めてゆっくりとそちらへと向かう。

「今晩は。私以外でもこんな遅い時間に訪れるものがいるなんてね。」

心地よさげに浮かぶその姿に葡萄色の眸を細めてゆく。

縷々 > 「――んお。 …ぉー…?」

そう、自分以外の誰か、だなんて。まるで想定していなかった。
自分自身という前例が有るのだから、可能性はゼロではなかった筈なのに。
不意の声音にぱちりと瞬き。首だけ傾けてみれば…同じ水面に、足を踏み入れる男の姿。

「ぁは。こちとら夜型――夜のオシゴトしてるんで?」

別に、夜勤限定だの、夜の街に相応しい、だのでも何でもないのだが。
何となく、そんなイメージ故に。
軽く身を捩り、浮かんでいた身体が一瞬沈めば。男に向き直る形で、プールの底に足を着け。
立ち上がる。

「そっくりその侭返しちゃうケド、いー時間に今晩は?
今まで忙しくしてた人?」

そんな少女自身と異なり。男は、今まで真面目に働いていたから、
この時間しか空いていなかったのだ…と。
何となく、そんな風情。人を見た目で判断するのも難ではあるが。
人間、ビジュアルイメージに、8割位は左右される物なのだ。

シド > 夜のお仕事――引っかかりを憶える言葉に眉を微かに持ち上げそうになるが。

「そのお仕事の気晴らしに水泳かい?」

深入りしてはいけない、と柔らかく笑みをそよがせ雑談を紡ぐ。
やがて立ち上がるならわずかに距離をとってその挙動を見守り。
続く言葉に鷹揚に笑いながら口にしていた紐で長い後ろ髪を束ねていく。。

「ハハハ。その通り。やんごとないご身分で最近出歩けなくてね。
 水は……ちと冷たいが、人が少なくて泳ぐのが気持ちよさそうだ。」

さて何を思うかじっとこちらを見据える眸に硬めを瞑る戯れみせて。
長駆を屈めて掬い上げた水を足にかけて慣らしていく。

縷々 > 「っていうか、遊びに来た、かなァ。
この前オシゴト一個終わらせて、お金も貰ったし?」

どんな仕事か、は。確かに、聞かない方が良いのかもしれない。
精神衛生上だとか、オタノシミ気分を損ないたくないだとか、なら。
片目を瞑る男の仕草に、軽く首を傾げつつ…

「やっぱ、お金持ち、っぽい?
やぁ良いねェそーゆーの。…んふ、ふ?そそ、空いてる方が、好き勝手出来ちゃうし。」

口調は軽いものの。少しばかり、疑いの視線。
…似ている、と思ったのだ。水着一枚では、到底隠しきる事の出来無い…肌の傷。
男の身体に幾つも残る、生死の瞬間を潜り抜けてきた証。
唇を緩めつつ…実に、無造作に。水の中を、男の方へ近付きだした。

シド > 「お仕事お疲れ様。夜型の仕事の気晴らしとしてはいい場所かもな。」

鏡面の如く澄んだ水面に映る煌めく其れ。首を擡げて仰ぎ見る星月瞬く夜空を映した典雅なる光景。
泳ぐ前だというのに胸によぎる清涼感に微かに肌を泡立たせつつに。続く言葉に今度はこちらが首傾ぐ。

「お金持ちかどうかはわからんが、安い男じゃないし財布の紐も緩くはない。
 好き勝手って……なにしてたんだ?一応公共の場だぞ。ここは。」

問いかけて重なる眸。何かしらこちらを値踏みする其れを感じて泳ぐことに踏み切れない。
やがて唇に笑みをひいて近寄る姿に、彫像じみた体躯は身動ぎさせないが。
葡萄色の眸は油断なく彼女を見定め外すことはない。

「どうした?」

縷々 > 「まぁネ。うっかり捕まっちゃうって事が無さそうだから良いカンジ。
あぁうん、暫く、とっ捕まるのは勘弁カナー…
おっとっと。逮捕案件みたいなコト、今日の所はしてないからさ。
好き勝手っつっても、思いっきり泳いだり、童心に返って水遊びしてみたり、そんなのだってば。」

大丈夫大丈夫、と言わんばかりの。
何だか、猛獣に近付いていく動物愛護家のような、怪しい手付きで両手をひらひら。
その間も、水を掻き分ける歩みを止めずに居れば…もう後少しで。
手を伸ばしさえすれば、男の肌に触れられそうな、距離。

「おや残念。貨幣流通と経済流動に、ちょっぴり協力してくれたって良いのに。
…ん…?んー…ぁー、何て言うか。」

その侭。下から男の顔を覗き込もうとするように。
軽く上体を折り、見上げるようにしてみせて。

「ね、ね。ホントは何してる人?その辺興味有るなー、なんて。
お金持ちとか、お貴族様、とかで。そんなカラダをしてる人って、見た事ない。
――取り敢えず、あたしが今まで、殺してきた中じゃぁ。」

シド > 「本当かなぁ。善良な市民は逮捕なんて言葉はすぐでてこないが。」

細腕伸ばせば容易く触れられる距離になっても肩を下ろした佇まいは崩さない。
ただ射抜くように相手の挙動に光らせる葡萄色の眸は瞬きをさせない。

「お金が欲しいならしっかりと働くことだ。
 悪銭は身にもつかないし、経済を滞らせる。
 ……それで。近寄ってなにをするつもりだい?」

距離をつめて……なにもせずに屈む姿に流石に小首を傾げてしまう。
続く言葉にはクッと喉を鳴らせて盛り上がる肩を震わせた。

「なんだ興味があっただけか。
 ――貴族だよ。一代限りのね。
 王族貴族が生まれつき裕福で太鼓腹をしてるとは思わないほうが良い。
 領民を守るために戦場駆け巡る王もいれば……
 幾千という敵を倒し、幾百という城を陥落させて貴族になった騎士もいるんだ。
 ――それと。」

見上げるその顔へ手を寄せる……その無骨に太く長い指は彼女の鼻先をきゅっと摘み上げ。

「まぁ、堅気でないのは察していたが。殺すなんて台詞を簡単に出すんじゃない。
 一般人が怖がるだろう。」

縷々 > 「善良な一般市民だったら、先ずこんな夜遊びはしてません…なんてネ?」

人気の少ない深夜。仮に、大の男にでも捕まったら、どうなるか。
この国での常識というヤツだ。…勿論それは。仮定の通り、一市民なら、の話だが。
大袈裟に首を、肩を竦めてみせる。

「ま――それなりには欲しいかなァ。
悪銭ってアレでしょ?箪笥預金で一生溜め込んでたり、山吹色のお菓子にされたり。
そりゃぁ本来の用途以外で使ってたら、回らないだろうなぁー…
まぁ其処はご心配なく?
言ったじゃん、オシゴト済ませたところだって。」

それでも。有って困る事はない。間違いなく大が小を兼ねるのが、所持金額という物だろう。
とはいえ、目先の興味は男の財産その物よりも。
それを得た、仮定やらの方に向いていた。
どうやら、意外と教えてくれるらしい。見上げる瞳が、また一つ瞬いて。

「そ、そ。好きなんだよね…こういう。
生きたり生かしたり、殺したり殺されたり、色んな事――感じさせてくれるのが。
……ほぅ。ほほう、ほう。
あー…そういうの有る、のか。
それって、あんまり、恨まれてたりは、少ないのかな。
取り敢えず、無駄に肥え太ってたり、それこそ悪銭溜め込んでたりしてる、奴等よかは。」

勿論。屍山血河を築き上げ、その上に今の座を築いた…男のような貴族も。
怨みを買っていない、という訳ではないだろう。
だが、今は戦争中だ。
身を盾に、国の為民の為に戦う者と。民を餌に肥える者。
同じ貴族でもどちらが恨まれるか――どちらが、少女のような者の仕事対象になるか。
決まり切っているに違いなかった。
なるほど、と頷いてから。

「ぁは。遊んでるって言ったジャン?こんなの、言葉遊びだってば。
それに、だからこういう夜中を選ん、んっん、ぅ゛…!?」

揚げ足万歳な台詞が、中途半端で堰き止められた。
鼻を摘む指先に引っ張られ、顔が、語調が、上方修正。
堪らず両手をばたつかせ。

「何ひ…んふぉぅ、っ、なにひゅん、のふ…ぁっ?」

シド > 「……こんな夜遊びをしているという私も善良な市民でないと?」

摘んだ鼻を少し急角度に持ち上げてから離した。

「どうも君がいう悪人とは小金を貯め込む輩のようだ。
 彼らになにか恨みでもあるのか?
 私のイメージではスリ揺すり恐喝、善人の財布から横取りする輩のことだったのだが。」

腕組みて顎を擡げて空を眺む……それは続く相手の言葉に思案から及ぶもの。

「……まぁ、犯罪者を増やさぬように暗殺ギルドのようなものは必要だと思うし。
 国から目をつけられぬ程度に好きに殺し合いをすればいいさ。
 私にはわからんね。
 恨まれようと……身に降りかかる火の粉を払うのはなれているさ。
 好かれようが好かれまいが、私にとって有害か無害かでしか判断しない。」

何を思うかその眸。鼻を離されて落ち着いてる間にも……眼光は緩めど静かに見守る。
葡萄色の眸……弧月の如く細まったのは悪戯心が生まれたから。

「しかし、まぁ。かなり肌を露出させてる格好をしているが。
 あまりに異性の前で無防備だと恥ずかしいめに合うかもな?」

再びゆっくりと伸ばす指先が目指すのは……水着の紐。
避けられるだけの速度を持って撫でるような手付きで解いてしまおうとした。

縷々 > 「そういうのも…考えなかった、って言ったら嘘になるかも。
いや、最初はアレだ、オシゴトお疲れ様です、ってだけかと思ったケド…
悪いね。何だか、近くからだとカタギに思えなくなっちゃった。」

取り敢えず。王侯やら文人やらに類する貴族様なら。
例え油断しまくっていたとはいえ、不意打ちを食らう事はなかった…と主張したい。
やっとこさ離して貰った鼻先を摩りつつ。少々怨みがましい涙目で。

「上からは下が。下からは上が。見易いって事なんじゃない?
近すぎると見えない事って、良く有るし。
あー…まぁ、無い物強請りとか、やっかみ半分とか。そーゆーのも否定しないケド。」

意見の違いやら、男の所感やら。別に否定する事はない。
言われた通りだと思うし、それを悪びれる必要もない、と思うから。
…困った事に。後に続く会話に関しても。そのあっけらかんとした風情が、当て嵌まってしまうのだが。

「んふふ。んな事言って、解ってるじゃん?
需要と供給。欲しがる人が居るから、オシゴトとして成り立つんだ、ってコト。
取り敢えず、折角お話した縁って事で。
しょーもない怨みを買って、コロシの依頼対象にされないように。
してちょうだいな?」

他人様から殺意を向けられるような事が有れば、此方から伺います、なんぞという。
ベタな怪談やら、子供向けの教訓話にでもありそうな。
取り敢えず、少々赤みを残しつつも、痛みは無くなった鼻。
其処から離した手と…男の手が交差してすれ違う。
するりと。解かれた紐が、胸元を覆う水着その物が。水面に舞い落ちる。

「――――?ぁ、っ。
…ぁは。確かに、夜遊びの基本だし、今なら見られずに済むかもだけど……」

きょとんと瞬いたのは一度だけ。直ぐに、唇を吊り上げるようにして、笑った。
一歩此方から踏み込んでしまえば。
たちまち波に攫われる水着を探すより。肌と肌、胸と胸、傷痕と傷痕。
擦り寄せ密着させるようにして。裸身を、少しだけ男の視界からお預け状態。
もう一度、今度は唇すら触れそうな近さで、首を傾げつつ見上げれば。

「そうやって、遊びたい?
あたしは、嫌いじゃない…っていうか、気持ち良いのは大歓迎――だけど?」

シド > 「そういう需要が無くすのが政なんだが……この国の執政達はこぞって利用していそうで嫌になる。
 あぁ、心配は要らない。
 不意打ちとはいえ鼻を摘めたり水着がとれるほど隙ある殺し屋は怖くない。」

会話を続けながら視線を下に……得てして容易く外した胸丘を見ようとしたが……
古傷痕にふれる柔肌の感触でそれは遮られる。

「おいおい。恥ずかしがると思ったらそっちのタイプか。
 ……ん?」

アッシュブルーの髪房が入る視界に迫る唇。
そこから紡がれた言葉に唇を緩めて。

「あぁ、楽しい遊びは大好きだ。
 殺したり殺されたりするよりずっとな。
 ……夜の水遊場は寒い。温まってから泳ごうか。」

互いの傷跡同士を触れ合わせながらその腰に腕を回して暗がりへと連れて行った。

ご案内:「ル・リエーの水遊場」からシドさんが去りました。
縷々 > 【後日継続】
ご案内:「ル・リエーの水遊場」から縷々さんが去りました。