2023/03/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にシフォンさんが現れました。
シフォン > 冷たい雨がぽつぽつと降りしきる夜
雪ではないだけまだマシなのかもしれないけれど、それでも春にはまだ早い時期の雨は冷たく。
そんな雨を避けて、貧民地区の崩れかけた庇の下で雨宿りする少女がひとり。

少女が纏う薄汚れたローブは、お世辞にも暖かそうには見えないもの。
事実、寒そうに丸まって。自らの両腕を擦るようにして少しでも暖を取ろうと。

「――――お腹、空いた……」

小さく、けれどはっきりと自己主張を繰り返すお腹の虫
ここのところ実入りの良いギルドの依頼がなく、ついには安宿でさえ追い出されてしまった始末。
せめてもう少し暖かい季節であれば、野宿も苦ではなかったのにと、星の見えない暗く沈んだ空を見上げ。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にジークさんが現れました。
ジーク > それなりに実入りの良い仕事を無事に完了させて王都へと帰ってきたのは昨日のこと。
金が入ったのなら使うしかない、そして飯と酒をかっ食らって眠るのは昨日済ませた、となれば。健康な男としては次の目当ては色に決まっている。
――というわけで、貧民街へと意気揚々とやってきたところ、通りすがりに耳に入ったのは小さな腹の虫と蚊の鳴くような空腹を訴える声だった。

「……」

聞きたいものでもなかったが、聞いてしまった以上は気になってしまうのもしょうがない。

「ぁー……、誰かいんのか?」

がしがし、と頭を掻いた後、音と気配のある暗がりへと声を掛けてみることにしたのだった。

シフォン > 誰もいないと思っていたところに声を掛けられ、びくりと震える。
雨のせいで近づいてくる足音に気づかなかったらしい。
こんな治安の悪い場所で、少女がひとりでいるのを見つかれば、何をされるか分かったものではなく。

「――――っ」

逃げようにも、声がした場所からでは、今動くと逆に見つかってしまう。
息を殺して、じっとしているほか仕方がない。
幸い暗闇に目立つ色の髪はフードに隠れている。
あとは見つかってしまうかどうかは、天の采配次第で。

ジーク > ……声を掛けてみたものの返事はない。こんな場所にいるんだから、警戒心があるのは良いことと言えるだろう。
息を詰めるような気配だけは感じ取れる辺り、警戒に慣れていないか、はたまたその余裕すらないのか。
……直近に聞こえたつぶやきからすると、後者なのかもしれないが。

「……はあ」

大きなため息を吐き、軽く空を仰ぐ。ぽつぽつと冷たい雨を降らす空は暗く、深く。寒さもあって、栄養失調の孤児なんかは明日の朝を迎えられるかもわからない。そんな想像をしてしまって。
仕方ない、と足早にその場を立ち去って、それからさほどの時間も置かずにすぐに戻ってくる。

「おい、そこにいるんだろ、ガキ。返事はしなくたっていいわ、くれてやる。運が良かったと思って取っとけ」

どさ、と背負い袋を軒下へと放り込む。中身は数日程度の食料と、気持ち程度の防寒具だ。
孤児の全てに施しを行うほどの善良さは持ち合わせていないが、目と手の届く場所で死にかけてる子供がいるかもしれない、と思いながら娼婦を抱きに行って気持ちよくなれる程の悪辣さもない。財布に余裕もあったから行われる、完全なる偽善行為だった。

ジーク > 「こんなんただの気紛れでしかねぇんだからな、生き延びたら、ちゃんと何かしらで食い扶持見つけんだぞ」

言うだけ言うと反応も待たず、さっさと背中を向けて歩きだしてしまうのだった。
その場にまだ、先程の声の主がいるかもわからないが。こんな場所だ、たとえいなくなっていたとして、運の良い誰かが拾っていい思いをすることだろう。

シフォン > 一度は足音が去っていく。
それにホッと気が抜けて。
本来ならすぐにでも移動すべきなのだけれど、空腹と寒さで動く気力が湧いてこない。
そのまま、同じ場所でじっとしていると、再び同じ足音が聞こえてくる。

何かを投げ落とすような音
続いて聞こえてくる言葉をすぐには信じられず。
足音が去ってから、それでも罠を警戒するように辺りの様子を注意深く窺いながら。
放り込まれたそれを確認する。

投げ込んできたその人物の姿は見えなかったけれど、匂いは憶えた。
防寒具を着込み、震える手で食べ物に齧りつきながら、今度見かけることがあったら、恩を返さなきゃと心に誓い―――。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からジークさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からシフォンさんが去りました。