2023/01/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にドラゴン・ジーンさんが現れました。
ドラゴン・ジーン > 貧民地区の特に辺境となる区画、その不便さに住民達も離れて殆ど人気も無い廃墟が軒並みに連なっている場所。日がとっぷりと暮れ沈んで暗がりが蔓延っている最中に舗装すらも録にされていない剥き出しの土壌の片隅に寝そべっている。

横たわるそのゼラチン質の体で囲うようにしているのは、此処最近で産み落とした幼体達。数多くの遺伝子の種や卵を借りて成育しつつあれどもまだ未熟な子供達は庇護下において守らなければならない。雨の届かない居宅の縁の下の辺りに潜り込んで、風除けの日陰の中に潜伏している。

ドラゴン・ジーン > お祭り騒ぎと酔っ払い達の顔ぶれが街中に珍しくなくなり、財布の紐も心の紐も同時にゆるくなった街民たちは普段よりも油断しがちで平気で大量納入されて作られた食料を廃棄して行く。そのお零れに授かるのは蟲や鼠だけではない。昨年の残りであろうと思われる食べ掛けのローストチキンを頬張った竜顎の咀嚼が骨肉をミキサーの様に髄質に至るまで粉砕する。

そしてペースト、パテ状になって、更に分泌液を含ませ殺菌して安全になったそれらの食事を口移しに雛達の口にへと与えて行く。鳴き声すらも千差万別な甘えるような声が縁の下に高くくぐもり。中には好奇心の赴く侭に街中に出て行こうとする個体などは慌てて首を伸ばして甘噛みにとらえ、自分の懐にへと引き摺り戻した。

ドラゴン・ジーン > 「…………」

幼体達も腹が膨れれば眠くなって大人しくなる。子育て期間中では余り気の休まる時間は無いが、就寝時間は別。長い竜尾を寝床代わりにさせて寝かし付けながら、見張りに徹する頭部の淡い燐光を湛えた触角も、舟を漕ぐかのようにうつらうつらと上下に揺れている。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からドラゴン・ジーンさんが去りました。