2021/09/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にナファルさんが現れました。
■ナファル > 「ふー、あっちぃ」
貧民地区に並ぶ屋台で遅めの夕食をかきこむ少年は、ジャケットを脱いでシャツの胸元をパタパタさせ、風を送り込む。野菜の端切れと原料不明の肉団子を入れた熱々のスープを飲み、放出された軍の糧食に入っていた硬いパンを齧っていた彼は、溜息をついて顔を上げ、店主に向かって口を尖らせた。
「なあ、肉団子もっと入れた方が良いって。4つは絶対必要だよ!」
食べ盛りの彼に対し、店主の答えはシンプルだ。「ならもっと金を払いな」と。そう返された少年はこれ見よがしにかぶりを振って、溜息をついてみせた。
「それが駄目だってんだよなぁ。人見て物言えよ。今の俺は金を持ってない。でもな、近い内に必ず、剣で身を立てる!そうしたら、次にどうすると思う?ここへ戻ってきて、スープ一皿どころかこの屋台ごと買い取るってわけ! つまり、えっと……」
スプーンを更に突っ込んで、空中で指をちょいちょい動かす。胡散臭そうな顔をした店主が「投資って言いてえのか?」というと、手を打った。
「そう!投資! どうよオッサン。ここは未来の英雄、将来の凄腕傭兵を信じて、肉団子もう2つ!」
ずいっと皿を突き出すも、当然ながら結果は不発。「さっさと食って帰って寝な、凄腕傭兵さんよ」とあしらわれてしまう。
■ナファル > 「そういやさぁ、オッサン。知ってる?」
最後に残った肉団子を、未練がましくスプーンで割った少年が続ける。
「この辺りの立ちんぼ、いるだろ?噂なんだけど、あの中に1人、物凄ぇ美人がいるんだって。勿論、身体も肌も極上だぜ?」
スプーンで空中を指した後、それを含んで旨味のある汁を味わい、少年が笑う。
「でその美人は、金以外の支払いも承知するっていうんだ。つまり客の……そう、将来性を買う訳だよ! 分かるか? 中々ない話だぜ? そいつの未来の価値を見込んで抱かせるんだからな! だからさ、オッサン!あんたも俺の未来の稼ぎを見込んで、肉……」
少年の再度の交渉は「お前傭兵じゃなくて作家にでもなったら良いんじゃねえか」という店主の呆れ顔にて終了した。名残惜しそうに半分に割った肉団子をスープごと飲み込み、たっぷり咀嚼して旨味を味わった後、容器を屋台に返す。
「……ごちそうさん。美味かったよ」
小さく笑って手を振り、相手が振り返したのを見て、今晩のねぐらへと帰っていくのだった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からナファルさんが去りました。