2021/08/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にロブームさんが現れました。
■ロブーム > 『これが……薬か……?ようやく、ようやく手に入ったんだな……?』
とある安酒場の片隅で。
対極的な二者が座っている。
一人は、襤褸を着た、痩せ細った男。
もう一人は、この場に似つかわしくない、高価な燕尾服を纏った肥満した男だ。
「ああ。これだけの金を手に入れるのに、随分と苦労もしたことだろう。
案ずるな。神が君を見放そうとも、私は決して見放さないよ」
そう言う二人の間にある机には、二つのものがある。
一つは、この地区に住んでいれば滅多にお目にかからぬであろう量の金貨が入った袋。
そして、もう一つは小瓶に入った白い粉だ。
男は、金貨袋を懐に仕舞う――懐に入るはずもないそれは、まるで魔法のように消え去った。
「さて、此処の支払いは私が持とう――今日は君の宿願が叶う記念すべき日だ。自由に飲み食いし給えよ」
――最近、この界隈では禁止薬物の取引の噂で持ちきりである。
薬の内容こそ詳らかにされていないが、どうやらその売人は、この辺りには似つかわしくない、高価な衣服に身を包んでいるらしい。
既に、軍や冒険者たちも動いているようだが……さて。
彼はその売人なのか。それは、それを問う者がこの場に居なければわからないことで――
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にシュライアさんが現れました。
■シュライア > カン、と涼やかな音が鳴る
音の出どころは、酒場の入り口
音の正体は、眩いばかりの気迫を纏った女騎士が剣を床に衝突させた音
+
いくらこの国が腐っているとはいえ、薬物の跋扈を許せば更に人心は乱れる
そんな思いから、とある貴族が数人の私兵と共に酒場に突入してきたのだ
「…そこの男」
ぐるりと視線を巡らせ、噂通りの…似つかわしくない高価な衣服を纏った男に視線をやり、ひと声
その間にも、私兵の一人が酒場の店主に謝意を告げ、迷惑料を支払っている
不徳を働いているのは一部だけ
他はこの酒場で酒を楽しんでいるものなのだから、当然の対応だ
そして、男に視線をやった女貴族は
つかつかと、そのテーブルに近づいていく
「…不躾ですまないが、この辺りで貴殿に似た薬の売人が居ると聞いてな
良ければ、荷物を改めさせてもらえないだろうか。もちろん、違った場合は迷惑料を払う」
まだ、確信は得られていないとわかる言葉
目撃情報や噂などから、疑いを持っているに過ぎない
その手には、光り輝く直剣を携え
男を見る青空のような瞳には、真っすぐな正義の心が滾っている
■ロブーム > 「……む?」
軽い金属音に、二人の男は首をそちらに向ける。
見れば、そこにいるのは武装した幾人かの男と、その先陣を着る軽鎧の女。
痩せた男の方は、彼女ではなく、その私兵の格好を見て、「ひ」と上ずった声をあげる。
それも当然。全く同じ種類の金属鎧を着た兵士たち。
それはつまり、軍の兵であるという事なのだから。
痩せぎすの男は、素早く薬瓶を手の中に隠したが――
対し、太った男はと言えば、じろり、と彼女を見やる。
見るからに迷惑そうな表情で。
「勿論構いませんが。しかし、迷惑料、迷惑料ね――まァ、良いでしょう。私は構いません。どうぞ、中をお調べになってくださいな」
と意味深に言って、しかし大して抵抗もせずに中を見せる男。
中には、商品であろう薬瓶が大量にある。
色や形状は様々だが、瓶のラベルは何処のものかも解らぬような言語で書かれており、少なくとも今此処で解読するのは難しいだろう。
かといって、当然ながら外見だけでは、それがどの様な薬なのかわかろう筈もない。
「どうですかな?怪しいものはないでしょう?まさか、薬売りが薬を売っているというだけで逮捕されるなどという法もありますまい」
と、何処か挑発じみた声で言う男。
多弁なのは、商売を邪魔された事への嫌味か、はたまた――図星ゆえの動揺か
■シュライア > 「はい。その通りです。薬屋は薬を売るもの。当然それはわかっていますが…
その薬が、世を乱すものなら私はその薬屋を捕まえなければならない」
双頭の獅子が描かれた貴族紋は、ある意味有名なものだ
この街にありながら、正義を掲げて活動する貴族
その青く鋭い眼光が、太った男とやせぎすの男を一瞥し
迷惑そうな表情には、毅然として応えていく
民の平穏を乱すのは心苦しいが、これが女の仕事なのだから
そして、部下に薬瓶を調べさせようとするものの…特段、知識に長けている者がいるわけでもなく
彼女の部下は、静かに首を振って中身がわからないことを示す
ただ、中身がわからないということは…どちらとでも取れるということでもある
「この薬は…見たことが無いものですが、どういった効能のもので?
良い薬であれば、ラクスフェルでも使用したいところですが」
餌…貴族へ薬を売れるというそれをちらつかせ
効能を、暴こうとする
青い視線は太った男へと注がれ、やせぎすの男が薬を隠した事には気づいていないようで
表情に嘘が滲めば、更に追及するつもりでもあり
剣は鞘に納められ、彼女を今のところは守護している
「それが説明できるのであれば、謝罪しましょう」
貴族らしい、少し横柄な態度ではあるが
私兵はきびきびと動き…酒場内の他の客にも謝意を述べて回っているようだ
■ロブーム > 「ええ、そうですなあ。民に恨まれるのはお貴族様の義務のようなもの。
人を無闇に疑ってはいけないとは子供でも解る理屈なのに、それを敢えてしないといけないとは、宮仕えはすまじきもの――だからと言って、従えるかは別の話ですな」
と言って、男はぎょろり、と彼女を睨む。
しかし、その後、ふ、とその表情を緩める。
「いや、失礼。何も捜査に協力したくないと言っているのではありません」と落ち着いた口調に戻し、
「しかし、例えば私がこの薬は"斯々のもので、然々の効能が"と言った所で、皆様はそれを信用できないでしょう。そも、貴方方の方に専門家も居ないのですから、効能を語るにも大雑把なものに留まってしまいます。
かといって、『効能を調べるために薬を持ち帰らせて欲しい』と言われましても、私の方が皆様を信用できかねます。
"旦那様"からも、商品と売上金の管理はしっかりするよう、キツく仰せつかっていますので」
商人故の長広舌、とでも言うのだろうか。
立て板に水の口上で、彼女の追求を交わしてみせる。
とはいえ、耳聡い者なら、少なくとも彼が『旦那様』の意を受けて商売をしている事は悟るだろう。
尤も、それこそは男が仕掛けた罠である。
彼は嘘は言っていない――ただ、真実のみを話すだけでも、その情報の置き方次第で、会話の流れを誘導することはできる。
「さて、平行線ですな。如何いたしましょう。
ラクスフェルのご令嬢」
恐らく、疑いはより深まっている。だが、男が言っているのは単なる現状の分析に過ぎない。
ならば、辿る道は一つしか無いが――それを敢えて、向こうから引き出させる。
彼女自身にその結論を導き出させる事で、その結論自体を疑いにくいものとする。これは、詐術の基本でもある。
■シュライア > 「商人とは、本当に良く口が回りますね」
繰り言が苦手な女にとっては、あまり長くは話したくないと思える口上
こんな時、自分の姉であれば更に口上で返すのだろうが
ここに居るのは自分だけ
であれば、自身で最良を捜さなければならない
「ええ、確かに。
どちらの場合でも信用できないという意味で、この話は平行を辿るでしょう
ならば、その旦那様とやらの場所に案内をしてください。商人」
疑いは深まるばかり
しかし、証拠もないのに叩き切ったり、捕縛するわけにはいかない
ならば、大元と話をするのが一番手っ取り早いと考え
「…正直に告げますと、内容物不明の薬瓶を、この付近で持っていた時点で疑いは強い
どうか、抵抗などせずに…その旦那様とやらと私を直接交渉させてください」
大元に会うことができれば、多少は事態も進展するだろうと言う考え
させてください、とは言うものの、対処を終えた私兵が周りを取り囲み始め
連行するかのような状態だ
悪を暴くためには多少強引な手段も取る…そんな気質が見てうかがえる
■ロブーム > 「ふム……」
そう言って、男は少し考える素振りをする。
勿論、此処で彼が抵抗する理由など何一つ無い。
どころか、兵に取り囲まれ、何時質問が尋問に変わるか解らない現状である。
此処は頷いて、さっさと彼らを案内する方が、余程賢明である。
「宜しいでしょう。ただ、流石にこの数の兵が屋敷の中なり、外なりで待機するのは風聞が悪い。
できれば、シュライア様お一人か……それが贅沢ならば、共連れは二人ぐらいに減らして頂けませんか?」
と、手を合わせて頼み込む男。
勿論、此処で無理を通されれば致し方ないが――しかし、それはそれであちらに負い目を与える事になる。
それさえ飲めば、彼は屋敷の方に招待してくれるだろう。
既に、遠隔地で罠を張っている――『旦那様』の元に
■シュライア > 「…商人と言うのならば、当然の要求ですね
承知しました。では…」
例え、向かった先襲われても撃退できるであろうという自信の表れ
自身を守護する剣も、輝きを失わずに自分に力を与えている
この状態のままならば、余程でない限り害されることはないだろうという考え
少しのため息の後、最も信頼のおける男の私兵を二人選んで同行するよう命令
その後、残りは酒場の前で解散し
二人の私兵のみが、男とシュライアに追随する
「………」
その間、特に詰問などは行わない
案内に従って、旦那様の元へと素直に案内されるだろう
■ロブーム > 「有り難い。勿論、他の方も、目立たない範囲でなら屋敷の近くで待機してくださって構いませんので――」
そう言って、商人の先導で歩き出す。
途中、馬車を拾い、富裕地区の住民区に出る。
閑静な住宅街と言える場所に立つ屋敷――三階建て、更には庭はおろか中庭まであるような巨大な屋敷である。
よほど富を築いていなければ、此処までのものは立たないだろうと一目で解る。
そして、商人が扉を開けると、エントランスホールを洗濯物を持って横切るミレーの少女の姿がある。
彼女は、男を見るや丁寧に「おかえりなさいませ」と頭を下げ――そして、その後ろの兵隊と、シュライアを見て凍りついた。
「あっ」
商人が、やっちまったとでも言いたげな間の抜けた声を出すとほぼ同時。少女が、洗濯物を放り出して震え始めた。
『い、いやっ!兵隊っ!いやだっ!あっち!あっちいって!いってよお!』
あまりに行き過ぎた無礼に、兵隊がこら、と言うのも間に合わず、洗濯カゴや洗濯物を兵隊たちに投げつける。
明らかに尋常ではない様子だ。しかも、それだけではなく、何事か様子を見に来たメイド達も、その幾人かは顔面が蒼白になっている。
「あー……そうだった。いや、すいませんね。こんなつもりじゃ無かったのだが。
旦那様の屋敷のメイド達は、まだ買ってから日が浅い者が多くてですな。
ほら、奴隷狩りの連中って剣とか弓とか持って追い立てるでしょう?
街中ならともかく、寝泊まりするような場所で見知らぬ人がそういう格好をしていると、何ですか、その……」
と、先程の口上が嘘のように言葉を濁すが、それで大体の事は解るだろう。
更には奴隷狩りは、奴隷商人だけではなく、国の事業として軍も行う事があるものだ。
そのような経験を持つ彼女たちにとって、軍人とはある意味、魔物以上の"敵"。
それが、いきなり自分たちの職場に来たのだ。それはトラウマが刺激される者が出ておかしくない。
「申し訳ないが、箱をお渡しするのでその中に剣をお入れ頂けないでしょうか?
一応、私も彼女たちにはお世話になってるんで……あんまり怖がらせたくないのですよ」
と、頭を下げる男。
彼自身、これは本当に予想外であった。それは嘘ではない。
しかし、彼と"旦那様"は魔術的な方法で視界を共有している。故に。
恐らく、"わざと"買ったばかりのメイドを行かせたのだろうという予測はついた――が。
当然、それは言わずとも良いことである。
■シュライア > 許可を得れば、何人かは周囲に張り込みを開始する
明らかな異常があれば、彼らも突入する予定ではあるが
商人が目立つことをしない限り、それらは衛兵のふりをして周りを監視する
そして、たどり着いた場所にはまた少しため息
商人が活発なのは良いが…もし、ここが薬の出どころなら相当大きな相手だ
大立ち回りをすることもできなくはないが…最悪、脱出して姉に協力を要請しよう、と考えていて
そんな考え事をしていたからこそ、次の出来事に即応は出来なかった
暴力的な出来事ならまだしも、その反対の出来事であったから
「………………」
ラクスフェル家は、正義の名のもとに活動をしてきたはずだ
奴隷狩り、ミレー狩りは酷いものであれば捕える対象であり
その度に、名を広める活動も行ってきたはずだが
既に刻まれたトラウマについては、どうしようもない
本来なら、奴隷であることを咎めたいところではあるものの
帰ってきた商人ではなく、自分たちに強い恐怖を見せるということは
逆に言えば、この屋敷の中ではある程度安心が確保されていたということだと思えて
その平穏を乱してしまったのは、自分たちであるとも理解している
少し、動揺した表情を見せた後、深く息を吸って、商人の言葉に応える
「…いや、これは私たちの失態だ
金を持っているなら、教育を受けた子女などをメイドとして雇っているものだと思い込んでいた
…ただ、しまった箱は此方で持っていて良いか?これはラクスフェルの至宝であるから
当然、そちらが仕掛けてこない限り、抜くことはないと誓う」
僅かに躊躇うも、剣を外しても尚、自分には肉体の膂力がある
並の武装した男程度であれば、問題は無いと判断し
まずは剣を、そして急所を守るように付けていた軽鎧をも外していく
剣が怖いのであれば…自分のような、軽鎧もまた、盗賊などが好んで使うものだ
余計な心配は与えたくないと、彼女の善良さが叫びをあげたため、防具をも外し、供に預ける
剣はそのまま、渡された箱の中へと収めよう
しかし、それを完全に預けるのは拒否を示す
許諾されれば、私兵に箱は預けられることになるだろう
勿論、ここは相手のホーム。強く言われれば箱も預けざるを得ないが
そうした後、否定の声を上げた少女に少し離れた場所からしゃがんで語り掛ける
「済まなかった。我々は…そうだな、悪い兵隊ではない
君に危害を及ぼすことはしないし、用が済んだらすぐに帰る
申し訳ないが、一時、キミの居場所に踏み入ることを許して欲しい」
兵隊に近いことはわかっているから、良い悪いで区別をして
男に向けるのとは違う優しい笑顔で…鎧下のシャツとスラックスのみとなった女は話しかける
ここがもし悪の巣窟であったとしても、この少女に何ら落ち度はないから
せめて少しでも、態度が和らげばいいと思いつつ、立ち上がり
「これで良いかな。ああ、もてなしなどは要らない。案内してくれ」
と、自分の姿を商人に見せる
武器は持っておらず、あるのは格闘の心得くらいのもの
時間がもったいないため、もてなしは断り、旦那様に会うことを求めよう
■ロブーム > 「中には平民階級の娘もいるのですが、単純な家事などは彼女たちに任せっきりでしてな。
ああ、勿論箱は各人でお持ちくださって結構。
旦那様も、流石にそこまで無理は言いますまい」
と、言って、彼女がメイドに声をかければ、それを静観する男。
メイドの方も、静かに声をかけられれば落ち着いてくる。
だが、さりとて彼女に謝罪する事もできないのだろう。
ぺこり、と頭を下げるだけ下げて、奥に引っ込む――他のメイドたちも、それを見て一礼だけして去っていく。
その様子を、感心する様な――それでいて品定めするような目で見ていたが。
案内を求められれば、勿論、と言って。
「それでは、旦那様の部屋にご案内しましょう」
そう言って、彼は部屋の扉を開く。
扉の中は、どうやら彼の個室のようだ。
応接用のソファと机があり、その奥には書棚と大きな木製の事務机がある。
どうやら、まだ主人は来ていないらしく、無人であるが――
「どうぞ、こちらにお座り下さい」
と、自ら扉の中に入り、ソファを手で指す。
その風景に何ら、怪しい所はない。
だが――この部屋に這入った瞬間。シュライアの運命は決定づけられるだろう。
■シュライア > 許可を得れば、剣が収められた箱は私兵が持ったまま
メイドたちを見送れば、商人に着いていく
案内されたのは、何か執務をするにも最適な部屋に見えた
無人であることは、急に来たから仕方ないと思い
「…ん。待たせてもらおうか。旦那様にはゆっくりと来てもらってくれ」
いきなりの訪問で、急がせるわけにもいかない
もしこの商人が善良であった場合に亀裂を生むことはできるだけ避けたいからだ
無人の部屋を一瞥した後
「では、失礼を」
す、と背筋を伸ばして、部屋の中へ入っていく
少し間を置いて、私兵もその部屋に入ろうとするだろう
■ロブーム > 彼女が這入ったその瞬間。
かちり、と歯車が噛み合った音がした。
それに対し、何かアクションをしようとするかもしれないが――既に手遅れ。
剣を入れた箱が、彼女の眼前で消失していく。まるで、彼女が存在する空間から抜け落ちるかのように。
そして。
「いや、先程は大変失礼した。
私も本当はあの様な事はしたくなかったのだが――君が持っていた剣は、下手をすると私の魔術をも弾きかねなかったからね。
箱の中に入れてもらうことで護りの魔術の範囲から君を外し、その上で君をこの部屋ごと空間移送するしか、手がなかったのだよ」
その声は、商人と同じもの。
だが、商人とは違うもの。
声色も声の調子も何もかも同じはずなのに――寧ろ、声の調子は商人よりもより落ち着いている筈なのに。
まるで、泥が足元から這い上がってくるような、そんな邪悪さを帯びた声が、何処からか聞こえてくる。
何処からか?否。それは、彼女の目の前からだ。
先程まで、何もなかった机には紅茶の入ったティーカップが二つ置かれていて。
その先には、商人と同じ顔をした、商人と同じ服装をした――人間ではない、何かが居た。
「私の名はロブーム――悪魔にして魔王。
尤も、君の立場からすれば、『違法薬物の密輸業者』となるのかもしれんがね」
と言って。
商人とは全く違う、邪悪な笑みを浮かべてみせた。
■シュライア > 一歩入った瞬間、ある意味油断していた精神に冷や水が落ちる
これは、罠だと気づき、即刻戻ろうとしたが間に合わず
箱を持った私兵が、目の前で消えていく
空気すらも変わり…緊張が促されて
視線は、目の前に注がれる
悪魔にして魔王…という自己紹介を最後まで聞き終えた瞬間
あらゆる思考的な枷は外され、戸惑いは消える
悪魔、魔王
そして密売人であるということは
シュライアからすれば、紛れもなく悪だ
そして悪であるなら、容赦することもない
空間への対処など自分にはできないため、一先ずは術者であるであろうこの男を倒す方面に思考が研ぎ澄まされ
「―――――シッ!!」
武器は無いが、それで怯む女ではない
部屋の床を踏みしめ…強靭な筋力を活かして一足飛びに、商人だったものへ迫り
調度品も何もかも巻き込みながら、その顔に拳を叩きこもうとする
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からロブームさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からシュライアさんが去りました。