2021/04/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にシシィさんが現れました。
シシィ > 街燈、などといるものなどない、荒んだ地区の路地を歩む人影。
身を覆う長さの外套を纏った影は、慣れた風情で、月明りを頼りに石畳の路地を歩んでいた。

己が借り上げている倉庫区画からの帰路の近道とはいえ、この暗さは───少々失敗だったかと無言のままに思案する。

もう少し込み入った通りにはいれば、灯りも増え、どちらかといえば猥雑な呼び込みに呼び止められる懸念も増えるのはわかっている。
どちらを取るか、だが────。

まあ敢えてこんな男か女かもわからぬ外観の主を捕まえるものもいないだろうと、進路を変えることはなかった。
最も、表通りがもうすぐ、という認識が働いていたのも確かだったが。

シシィ > あまり治安がよろしいとは言い難い区画であっても、多少の荒れはあっても石畳が整備され、通路がすっきりと整っているのは流石に王都というべきか。

当然この暗闇を利用するものもいるのだろうが───。
行き合ってしまったらわからないが、行きあわない以上は目を配ることもとくにはない。

荒事が領分の職掌ではないし、己に打てる手段はたかが知れている。

そんな事よりは、倉庫の在庫と予算と、それから顧客との関係を繋げる方が己にとっての大事ではある。

生鮮品を取り扱っているわけではないが、街にも流行り廃りの潮流というものはある。
それを生み出すのは所謂上流階級の、とりわけ女性が多いのもまた確かだ。

彼女たちの歓心を引くような何か。
それから、職人たちの望む素材を用意するのが己の仕事。
挨拶回りもだから欠かせない。

「────う、ん、明日の段取りはどうしましょうね」

静謐を少しだけ揺らすようなそんな呟きを落として、思案と共に歩を進め。

シシィ > ───平民地区の通りに差し掛かると、光が見えてくる。
少し安堵したような吐息が揺れ、女は迷うこともなく路地を抜けて、通りへとその歩を進めることだろう。

その後は繁華街なり、己の宿へと戻り。遅い夕餉なりをすませて、一日を終えることになるのだろう──。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からシシィさんが去りました。