2020/08/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/冒険者用訓練施設」にレギオンさんが現れました。
■レギオン > 冒険者ギルドが所有する土地のひとつ。
背の低い柵で区切られた方形の土地だ。
雑草が僅かにだけ生い茂る土地。
置かれているのは、鉄のパイプに結ばれた荒縄、あるいは立ち並ぶ木人。
地面に突き立った杭に木の盾を括りつけたものは剣術の練習用だろう。
中央の空き地は立ち合いにも使えそうだ。
―――平たく言えば、此処は訓練所のひとつ。
ギルド所属の冒険者が新しい装備を試したり
冒険に行く前の訓練をしたり
あるいは、気になる女を隅の休憩所に連れ込んで行為に及ぶのに使う。
冒険者ギルドが有してはいるが、バレなければ他の者が入り込んでも構わない。
そもそも貧民地区だ、滅多に見回りなんて来やしない。
自己責任の範疇ならば、たいていのことが許される場所。
夜中の其処に―――響くのは打撃の音。
隅に置かれた木人に、拳を打ち付ける音だ。
「――――ッ!」
ジャケットは隣の木人にかけ、向かうのは目の前の木造りの人型。
大袈裟な声は必要ない。息を吸って、足を引いて
そして踏み出すと同時に息を吐いて拳を突き出す。
――打撃音。
そんなことを繰り返している。
一撃一撃は決して重過ぎず、早過ぎず、正確に同じ動きで、精密に同じ場所を同じ強さで打撃する。
それはそういう訓練なのだから。
■レギオン > 一歩下がると同時に息を吸い込む。
踏み出す動きを足先から腰へ腰から上体に伝えていく。
体重移動を上半身の捻りへと変えて、引いた拳を矢のように撃ち出す。
ちょうど、木人人形の胸の中心を射抜くよう整えて、拳をぶつける。
快音――。
まるで、そうプログラムされた人形のように正確に。
全ての動きが時計で測られているように精密に。
同じ動きを繰り返す。
「………何回目だっけ?」
――ぽつり、と言葉が軽く零れるのも挙動の中に溶け込ませる。
そもそも、数を数えるようなものではないからどうでもいい。
大切なのは、割合だ。
同じ動きたれと期して行う挙動の何割がイメージ通り実行されているか。
同じ速度でなくてはならない、と戒めた打撃の内、寸分違わないものは何割か。
それを確かめるための訓練で、それを確認するための所作。
人が来ないことを幸いに――。
夕方辺りから、月が傾き始めるこの時間まで続けている。
■レギオン > そして、それは月が傾き終わるまで続くのだろう。
まるで機械のような訓練…訓練――と呼ぶのさえ似つかわしくない行為。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/冒険者用訓練施設」からレギオンさんが去りました。