2020/07/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にティアフェルさんが現れました。
■ティアフェル > 飲み屋の前を、娼館の前を、商店の前を、
「い゛や゛あ゛ぁ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!゛」
悲鳴を上げて走る、走る、ひた走る。ただひたすら、一心不乱にわき目もふらず――
ワンワンワンワン!
その後ろからは吠えたてながら追いかけてくる野犬が一頭。
ポニーテールにした髪が大きく左右に振り乱れる。滴る汗が弾けて飛び散る。
例によって野犬に追っかけられる犬恐怖症ヒーラー。仕事の帰りに通りを歩いていると、道端に寝そべっいた野犬に気づかずその尻尾をうっかり踏んずけてしまってからのこの遁走劇。
恐怖に顔を引き攣らせ半泣きで目元を崩して、恥も外聞もなく悲鳴でしっとりと暑い夜気を切り裂きながらダッシュ脱兎逃走。
ぜえ、はあ、息は酷く乱れ、一見気の毒なほど必死で走っているのは街中、人通りもそれなりにあり、これまで何人もとすれ違ったが――今のところそれを助けてやろうなんて奇特な人物は現れず、
「こーなーいーでー! いーやあぁぁぁ!!」
騒々しい悲鳴と足音に顔をしかめられるばかりのしょっぱい現実であった。
■ティアフェル > 「ごめんなさい!ごめんなさい!ごえんなあいあぅいうあ!!」
しつこく追いかけて来て、踏まれた報復に一発咬みついてやろうと云う気なのかという追跡者に泣き叫びながら語尾崩れに謝罪を飛ばすが、効果は皆無。
顔をくしゃくしゃに歪めて夜の街を我武者羅に駆け抜けて行くが、二足歩行と四足歩行、持久力においても圧倒的に有利な追跡者。逃亡者の息は切れ、肩が上がり、心臓は破裂しそうで振り切る前に限界を迎えそうになっていた。
「はひっ、ふひっ…、はあ…っ、も、だめ……っ」
双方の距離はぐんぐん縮まっていき、もう走れない、追いつかれる――
そう覚悟した次の瞬間には、
「あっ…!」
転がった空き瓶に脚を取られ、縺れて、そのままどっと前傾して倒れ込み。
「っひ……きゃああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
そこへ好機とばかりに後ろ脚で跳躍して、凶悪な牙を剥いて襲い掛かって来る野犬にひと際大きな悲鳴が街の空気を劈いた――
■ティアフェル > 冒険者の分際で犬に襲われて泣かされる情けない女。がっぷりと大きな咬み痕を脹脛に負い。
野犬としてはそんなところで納得したのか、襲った後はもう興味を失ったように食い扶持を求めてさまよって行った。
「う、うぅ……ヒーラーで良かった……」
嘆きつつも咬まれた痕を自己治癒しながらぽつりと零したのだった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からティアフェルさんが去りました。