2020/07/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 安酒場」にライゴウさんが現れました。
ライゴウ > 地味な茶色一色の外套に身を包んだ、巨大な岩のような塊から伸びた手が、蹴りで吹き飛んでしまいそうな薄い酒場の扉を開く。
窮屈そうに頭と肩を竦めて、巨躯の男は店の中へ入っていった。
店内を眺め回しているのは、探し人がいるのでも、女を物色しているのでもない。
自分が座っても壊れない椅子がないか確認しているのだ。
端のほうにあるテーブルの椅子のひとつが、比較的丈夫そうだ。
そう判断すると、そちらへ歩きながら、カウンターにいる酒場の主に顔を向け。

「酒をくれ。この店で一番強いヤツだ、味は気にせんよ」

体躯の通りといおうか、低く響くような声に、治安の悪い酒場で場馴れしている店主の表情にも、一瞬だが怯えめいたものが浮かぶ。
テーブルまでやってきた男は、入り口に背を向ける位置で慎重に椅子に腰掛け、酒が運ばれてくるのを待つのだった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 安酒場」からライゴウさんが去りました。