2020/05/14 のログ
■タマモ > こうしたものは、出来立てを食べるのが、より美味しい。
それは分かっている、分かっているのだ。
しかし、少女が食べ始めたのは、結構移動をした後で。
少し経ったせいか、冷めたとは言わずとも、少し温い程度になっていた。
「やれやれ、慣れぬものは仕方無いとは言え…むむむ…」
更にもう一個取り出せば、再び美味しそうに頬張る少女。
だが、こう、どこか不満気なご様子。
………まぁ、大した理由ではない。
こうしないと、こういったものは食べられないのだ…熱くて。
そこ、笑わない。
猫舌は体質、仕方無いのだ。
いやまぁ、辛いのもダメだし、酸っぱいのもダメだし、一部除いた苦いのもダメだが。
ともあれ、肉団子美味しい。
もぐもぐ食べながら、ゆらりゆらりと尻尾を揺らし、ご満悦。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にロックアインさんが現れました。
■ロックアイン > (【取引】の都合上、先ほどまで貧民地区の一角にて品物の遣り取りをしていた直後。
富裕層や王族がいる居住区に比べれば治安も悪いが、他に比べればある意味で安心して取引の出来る場所でもあった。
貧民に金を、食料を渡せば見張りの代わりを引き受けてくれるのだから。
見慣れぬものを見つけたら兎に角騒げ、とだけ言い含めておくだけでいい。
結局問題も特に怒らず、取引は無事終えた後で、足早にこの場所を抜けようとしたが。
ふと、目を引く存在に足を止めた。
貧民地区には相応しくないような着物姿。山吹色にも見え得る髪を伸ばし、人間とは異なる耳、そして複数の尾。
無知な貴族は、それが自分の手に負えない存在であると気付かず、自然と足を其方に向けていた。)
「こんばんは、お嬢さん?食べ歩きするくらいにお腹が空いているのかな?」
(ミレー族――にしては堂々としているのは気になる。
傍に自分の護衛、黒服が数人いるとは言え不用心にそう声をかけて更に歩み寄っていく。
まだ、お互いの距離はある。少女が逃げようと思えば逃げられるし、逆に――少女が此方を気に入らなければ、遠距離から特殊な力があれば打ちのめすことが出来るくらいは猶予がある距離。)
「もしお腹が空いているなら、食事でもどうかね?一人で食事をするのは些か以上に寂しいのでなぁ。」
■タマモ > ぴくん、少女の耳が揺れる。
向けられた視線、それに反応した訳ではない。
そんなもの、普段からいくらでも受けているのだから。
そうではなく、明らかに、己に近付いてくる足音、それに反応したのだ。
まぁ、だから食べる手を止める、なんて事をする少女でもなく。
もぐもぐと口を動かしたまま、近付いてくる相手に視線を向けた。
うん、人間の男だ、若くもなく、年寄りと言う訳でもない。
と、それに合わせるように、掛かる声。
ごくん、咀嚼を終えて飲み込む。
「ぷはっ…うん?まぁ、小腹が空いておったのは確かじゃな。
ゆえに、こうして食べておる訳じゃ」
こちらはこちらで、相手をどうこう気にする少女ではない。
一応、危険性が感じられないのは、一目で判断したっぽいか。
声を掛けられれば、気軽にそう答え、食べてみるか?みたいに、包みを掲げて見せるのだ。
「………ほほぅ、初見と言うのに、太っ腹じゃのぅ?
と、冗談はさておき…そうじゃな、奢りであるならば、行ってやっても良いぞ?
妾は、どのような者の厚意も遠慮なく受けるからな」
どうやら、違ったようだ。
その言葉に軽く考えるも、ひらりと手を振れば、さらっと誘いを受けるのだ。
奢り、最高。
■ロックアイン > (腹の底では、食事にかこつけて、という下衆な企みと言うのはある。
可愛らしい少女――内面がどれほど危険な存在でも、その危険性を知らねば獲物がかかった、とぬか喜びをする表層心理が、彼女には伝わるかもしれない。
掲げられた包みを見やると、中には少し冷めたのだろう湯気は控えめになっていた。
ただ、それでもぎっしりと肉が詰め込まれているのはこの地区では珍しくもある。
掲げられた包みには、手を振って丁重にお断りを示す。)
「はっはっは、何、可愛いお嬢ちゃんを食事に誘えるなら奢りでも安い物だ。
近く……はないか、少し離れた場所に馴染みの店があってな。
さっぱりした果物からとろっと甘い脂がウリの鮮魚に肉料理まで取り揃えてある。
肉団子も美味しそうだが、其ればかりでは飽きるだろう?」
(奢る事は奢る、美人と言うか可愛い少女は奢られる権利を持っているのだから。
勿論、食事に何かこう、媚薬とかそういうものが混ざる可能性もセットで付いてくるが。
……少女が、普通の少女であれば効果はあるだろうが。悲しいかな、少女がどれほどの力量を有しているか知らない貴族は誘いを向ける。)
「ではいこうか。あぁ、遠慮はいらないからな?なぁに、店の食材を食べつくす位気持ちいい食べっぷりを見せてくれても構わんさ。」
■タマモ > まぁ、見た目からそんな感じだ。
見せた肉団子を断られようと、気にする事もない。
ただ、美味しいのに残念な事だ、と心の中で思うだけだ。
「むむむ…まぁ、美味い店であるなら、妾はどこでも構わん。
まだまだ飽きてはおらんが、これは後に取っておこう」
もそもそと肉団子を仕舞い、改めて向き直る。
男が何を考えているか、それは細かくは分からない。
とは言え、禄でもない事は考えているのだろう、との予想は出来ていた。
が、だからと、それを受けない少女ではない。
それもまた、少女にとって楽しみの一つであるからだ。
「………あー…まぁ、遠慮はせんでおこう、うむ」
と、最後の言葉には、軽く視線を逸らし、そう答えた。
遠慮はしないと言うものの、少女は小食なのだ。
男が思う程の食べっぷり、なんてもの、見せられるとは思えない。
とりあえず、と、後は男に案内を促すだけだ。
こちらから近付けば、後は、その後を付いて行くだけである。
■ロックアイン > 「ではこちらに。いやいや馬車も用意出来ずにすみませんなぁ。」
(夜の貧民地区。静けさを取り戻すその付近から離れていく貴族と、少女。
その関係がどうなるのか、貴族の未来に救いがあるかは――ここから先の話にて。
後をついてくる少女からは見えない角度で笑みを浮かべる男と。
危険性を認識せず、また主の好色癖が始まった、とばかりこっそりとため息を吐き出した黒服の姿が対照的でもあっただろう。)
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からロックアインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からタマモさんが去りました。