2020/05/07 のログ
■タマモ > 少女が、今までどんな生活をしていたか。
己が、それを知る訳がない。
むしろ、今の格好を見ると、良い生活を送っているミレー族に見えている。
そんな少女が、こんな映像を見れば、こうなるのは当然の事だろう。
…と言うか、なぜ、こんな場所まで来ているのかさえ、謎だ。
結構、長い事を見ているな。
ふと、そんな事を考える。
見せている映像は、あくまでも、自分が見て来たものしか映さない。
つまりは、奴隷市場の数と、中の様子だけしか分からない訳で。
さすがに、連れ去った先までは分からなかっただろう。
しかし、目的のものを見付けたのか、少女から焦りの気配を感じる。
それを感じれば、確認すると言う、その目的は達したのだろうと、考え付く。
そのまま、手を払われる事がないのならば、調べ終わるのを意味するように、映像は暗転するだろう。
「………ふぅ、こんなものじゃろうか?」
こちらがやる事も終わった、だが、その手はまだ少女の頭に触れたまま。
落ち着け、と言うかのように、そっと撫でてやるのだ。
■シア > 結局、何処に連れていかれたのかは分からず仕舞い。
けれど、国が関与しているというきな臭い噂の真偽は確かめられた。
それに収穫が何もなかったわけではない。
最後に映し出された奴隷商人の特徴をしっかりと記憶に刻み込み。
映像が消えても、しばらくはじっと大人しくしていた。
いろいろと整理しきれないことが多すぎる。
だから、頭を撫でられるままに受け入れていて。
「………ありがと。
これも魔法なの? タマモって凄いんだね。」
まだ当分整理は付きそうにはないけれど。
それでも多少は落ち着くことが出来れば、顔を上げてお礼を言う。
頭の上に乗せられた手は、相手が引っ込めるまではそのままにして。
「……約束だから、この先には行かないけど。」
行ったところで、何が出来るはずもない。
もやもやが溜まってしまうけれど、それをぐっと飲み込んで。
■タマモ > まぁ、色々と見せたのもあるし、内容も内容だ。
簡単に、それを飲み込む事なんて、出来やしないだろう。
整理し切れてはないだろうが、言葉を紡ぐ少女に、その手を離す。
「見せると言ったのは妾じゃ、それに、見返りは貰う予定じゃしのぅ?
ゆえに、礼はいらん。
ちなみに、妾は魔法なんぞ使えんぞ?魔力、感じないじゃろう?
今のは…まぁ、魔法やらとは違う、妾の力じゃ」
ひらひらと、また手を振って、そう答える。
少女に魔力を感知する力があるならば、やってみると良い。
言葉で伝えた通り、己から魔力を感じる事はないだろう。
己の力については、説明が面倒なので、そう省いたが。
「うむ、素直な事は良い事じゃ。
もちろん、妾とのもう一つの約束も、守って貰うがのぅ?」
一つ頷きながら、ぽんっ、と肩を叩く。
手はそのまま肩に置き、軽く顔を寄せ、そう伝えて。
ついでに、改めて、少女の顔をじっくりと見てみよう。
■シア > 「うん、お礼はちゃんとするから、言ってね。
魔力は……よく分からない。」
魔法を使ってはいるものの、何となくで使っているために他人のそれを感じ取る技術などあるはずもない。
ミレー特有の強い魔力に物を言わせて発動させているだけのジェット噴射のようなもので。
先ほど見たそれが魔法であってもなかっても、相手が凄いことには変わりない。
なので純粋に尊敬と感謝のまなざしを送ることで。
「え、えと……うん。
―――何、したら良い?」
何だか顔が近い?
それにじっと見つめられると緊張してきてしまう。
約束を反故にするつもりは全くないのだけれど、具体的に言って貰わないと困ってしまう。
視線に耐えきれずに、先に目を逸らしてしまって。
恥ずかしいような、居心地が悪いような、何とも言えない感じに、もじもじとしてしまい。
「うぅ………そ、その、シアに何かついてる…?」
■タマモ > 「そうじゃな、遠慮なく言わせて貰おう。
あー…そうかそうか、分からんならば別に良い。
妾も、魔力がどうとか、気にしておらんしな」
魔力を扱えるから、魔力を感知するとは限らない。
以前にも、同じような者が居たから、何となく分かる。
向けられる尊敬の眼差しに、じっと見詰める瞳が重なって。
少女の言葉には、まだ何も返さない。
それは、見詰めている少女の反応が、面白いからで。
それでも、まだ視線は向けたまま。
耐え切れず目を逸らし、もじもじする少女へと手を伸ばし。
するりと背に回せれば、軽く抱き寄せてみようか。
「ふふ…別に、何か付いておる訳でもないぞ?
シアの、その可愛らしい反応が、見ていて楽しいだけじゃ」
それが叶おうと、叶わずとも、鼻先が触れる程に顔を更に寄せながら、そう囁くように伝えてやるのだ。
■シア > 「うぅぅ……見られてる方は、楽しくない……」
ぶぅーっと頬を膨らませる。
どう考えても、揶揄って遊ばれているとしか思えない。
背中に手を回され、抱き寄せられると、温もりが伝わってくるようで。
まだ少し先ほどの映像で混乱していた心に、その温もりは心地よく。
スキンシップは好きな方だと、最近自覚もしてきたけれど。
こういう至近距離で見つめられるのには慣れてはいない。
鼻先がくすぐったくて、尻尾がうねうねと行き場を探すように彷徨ってしまう。
「むぅ……だ、だから、もったいぶるの……ダメ……」
早く言ってよー、と困り顔で訴える。
くすぐったいのが全身に回ってきてしまいそうで、むずむずしてしまう。
それでもまだ焦らしてくるようであれば、これはもう実力行使も辞さない覚悟。
そう、早く言えと言っているのに、言わない方が悪い。
パニックになりつつある頭の中は、そんな危なっかしい思考に走りそうになっていて。
■タマモ > 「おや、ならば、お主も見る立場になってみてはどうじゃ?
お互い様となれば、少しはましではないかのぅ?」
うん、頬を膨らませる表情も、こうして近くで見ると可愛らしいものだ。
温もりを伝え合うように、抱き寄せたまま、そう言ってはみるものの。
そんな事、簡単に出来る相手とは、思えないと分かっている訳で。
ちらりと視線を一寸下げれば、彷徨う尻尾にくすりと笑う。
「では少し、妾に付き合って貰おうかのぅ?
目的を達したのならば、もう予定はないんじゃろう?
何をして貰うかは、向かった先で、すぐに伝えてやるのじゃ」
笑みを浮かべたまま、ちろ、と一度だけ唇を舐め、手を離す。
余り引っ張ると、限界にいってしまうかと考え、まずは移動を促そう。
何をするにしても、この屋根の上では、と言うのもあるし。
向かう先で、すぐにやる事を教えるとすれば、素直に付いて来ると考えながら。
■シア > 「それ、無理だって分かってて言ってるでしょ……?」
ジト目をチラッとだけ、相手の視線に絡め合わせ。
何をしたわけでもないのに、そんなに見られてしまうとやっぱり恥ずかしい。
それも鼻先が触れるほどの至近距離となると、知らず知らずのうちに顔が赤くなってしまう。
「うん、元々そのつもりだったし……
付き合うのは良いんだけど。」
ようやく解放されると、屋根の上にへたり込んでしまう。
何処まで行けば良いのか分からないけれど、移動するにしてもちょっとクールタイムが必要
何度か深呼吸を繰り返せば、ふらつきつつも復帰して、相手に付いて行こうと―――
■タマモ > 「………さてのぅ?」
じと目の少女に対し、そう答えるも、こちらの視線が逸れた。
まぁ、その視線、すぐに戻るのだが。
「よし、では向かうとしよう。
えーっと…うむ、こっちじゃな」
そうと決まればと、向かおうとするも…へたり込んでいる少女。
その復帰を待ってから、改めて、その場を後にするのだった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からタマモさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からシアさんが去りました。