2020/04/12 のログ
ブレイド > 舌打ちから、また憎まれ口が飛び出るとおもいきや
まともな考えを口にだしてくるではないか。
多少は真面目になったかと、薄く笑って少し身体を起こす。

「ま、そりゃそうか。だが、即席の囮じゃあのとおりだ。オレがやったとしてもいつぼろが出るかわかんねぇし普通に見る目があるなら骨格でバレちまう。
だが、その仮説を通すなら…受付が変わったタイミングでまた来るんじゃねぇか?
嬢はともかく、受付はそう入れ代わり立ち代わりとはいかねぇ。
そのタイミングを決め打ちすりゃ、…ティアの変装でもいけるかもな」

長時間立って無くていいのであれば、彼女の忍耐力ももつだろう。
皮肉を混ぜてくるのでなんかこっちも返してやろうかと思ったが
ここから売り言葉に買い言葉になっては意味がない。

ひとまずの意見交換もできたので、ようやく肩から力が抜ける。

「まじかよ、そんなにいるもんなのか?こえぇな…
っつか、なんでだよ。いても女装癖になんかなんねーよ。
てめぇはなんだ、あれか…ねーちゃんだったってわけか?」

そうでなければ、ティアが姉のせいで女装癖に目覚めたタイプという仮説が立ってしまう。
が、一応女であるはずだ。なら、可能性的にはこっちのほうがありえるだろう。

ティアフェル >  依頼人も一度の踏み倒しに一晩費やすよりはその時間で、それ以上に稼がなくてはならない。
 それに、いくら近くで見てるとは云ってもなるべく危険な目にも遭わせたくはない。
 悩ましいなあ、というように首を捻って腕組みし。

「まー。ブレイドにブレンダになってもらっても……効果は薄いかもねえ。元々冗談だからやってもらう気はなかったけどもさ。
 そーねえ……やーっぱわたしが頑張るしかないのかしらぁ。
 あのさあ、せめてさあ、スタイリストつかないかな? 次もファッション指導がギルドの面々じゃこのレベルで精一杯っていう非常に遺憾な結果に」

 この界隈にふさわしい娼婦スタイルというのを分かってない奴が多かったのも敗因だったかも知れない。正直自分も分かんない。服装から入れば上手くいくかも知れない。余計なことを云う口は縫い付けて置けばいい。
 むーん、とアホ毛を考え込むように揺らしながら軽く挙手って希望を述べた。

「わたしのデータによると、下手すりゃ4人に一人いる可能性もあるわ。
 線の細い子は似合っちゃうからその気になるのよねー。
 うん、弟なら――5匹いるわ」

 自分は女装男子も男の娘でもない。TSでもありません。
 こっくりと首肯してボス猿であることを認めた。 

ブレイド > まともに考えるようになればなかなかに意見を出してくる。
少しばかり頼りがいが出てきたとでも言うべきか。
ギルドを出たときはお互い乗りと勢いでいってしまったが、頭を冷やせば存外優秀なのかも知れない。

「名前…まぁいいけどよ。
短時間とは言えたしかに適当にオレたちがやったんじゃ釣れるもんも釣れねぇ。
そここそはプロに頼もうぜ。娼婦を綺麗にラッピングしてるのは本人だけじゃねぇ。
ここに務める娼婦の家じゃ高級なドレスは管理できねぇだろうからな。この店にだって裏方くらいいるだろ」

専門のスタイリストでなくても、夜の街での商売を生業にし、同じ店で働く者であれば
どういう服が似合うとか、ウケが良いとか、そのあたりも理解しているはずだ。

「……」

弟が五人。
彼女のデータで女装癖に目覚めるものは4人に一人まであるという。
つまり…

「その5匹のうち多くて二人が女装癖なのか…
世も末だなおい」

姉いなくてよかったと心の底から胸をなでおろす。

ティアフェル >  アホだアホゴリラだと思っていた奴が、少し普通の反応を返せば――何だか大分まともな奴に見えてくるというマジックの気配を感じて。よっしゃこのまま上手く乗ってやると取り敢えず、おかしみのある意見は引っ込め方向で。表情も真面目なものに取り繕い。

「正直に白状しますと……わたくし、女子であることは間違いありませんが――男ウケなんてわっかんないのよ。この服も浮きまくったけど……それも分かんなかったし。
 一体全体どー盛ったら売れっ子娼婦を気取れるのか。マジ指導請うわ。
 てか、あんたもちょっと変だと気づいてたなら早めに突っ込んでくれれば良かったのに……」

 この店の方も、この格好に『今時そんな…』みたいな顔してたので、頼めば程よいドレスくらい貸してくれるだろうか。期待したい。羽織っていたフェイクファーのケープをぽいと放り出して嘆息した。

「自分の弟だけじゃなくて、友達の弟も含めてのデータだから……ざっと20人くらいの統計ね。
 女装癖までは行ってないけど……ま、悪い気はしてなかったみたいだったわ。
 ただ、7歳くらいの話だから、今はどーかね。でも一人くらい妹になるんじゃないかと思ってるけど」

 そして、飽くまでも女装はパスという思考の彼をじーっと見て。惜っしいなあ……と顔を反らしながら呟いていた。

ブレイド > 相手の術中に嵌ったとも知らず、真面目に作戦会議しているつもり。
いや、実際しているのだが、この面白おかしい思考をした女冒険者の思考などわかるはずもない。

「男ウケっつーか…そりゃおまえ…オレが言うのもなんだけど、ファッションセンスってやつがねぇんじゃねぇか?
つか、それをオレに聞くなよ。娼館遊びなんてなやんねぇんだからよ。
ツッコミたくはあったけど、まぁ…半信半疑つーか、オレも詳しくねぇんだか仕方ねぇだろ」

娼婦たちの反応も見はしたが、現場まで来てしまった勢いというものもあってそれで通してしまった。
手抜きのツケが回ったとも言える。これくらいなら、店側も協力してくれるだろう。
こちらに丸投げしたままで平気な顔などしていられまい。早く解決するのなら。

「お前の故郷どうなってんだよ。
弟イジって競う競技でもあんのかよこえぇな…
つか、何だその目は…やめろよ?着ねぇぞ?」

ティアフェル >  ミッション1=まともな娼婦に見えるようにしよう。
 滅茶苦茶初歩的な部分を見直し中の現在。ズバズバ斬って来る意見にがく、と項垂れながら。

「娼婦と云えば赤いドレスじゃないの…?! うぅ……私服選びに自信がなくなった……。
 やらない? やる金がない?
 そーね。あんたもおてもやんで笑ってたくらいだもんね……。ってか、最初にあんな顔にされたらそのあとどうやってもフツーに見えるっていう錯覚に陥ったのよね……」

 普段メイクしない奴だと、厚塗りした時の破壊力がすごい。爆笑の渦の後に落ち着いたメイクに変えて服を選んだら…。なんだかみんなこれでバッチリなような気がしたのだ。
 見てろよ明日こそは、ばっりり娼婦コーデでキメてやる、と妙な闘志を燃やして拳を握り。

「娯楽が少ないとね……人権のない奴から犠牲になってくのよ……サルとか。
 このドレス……貸すよ?
 着て見なよ。一度は。試しに。ねえ?」

 目つきを変えつつ、背中の空いてスリットの入ったいかにもな赤いドレスを引っ張って勧める。

ブレイド > 娼婦たちの反応も納得だ。
今更そんなもの着てる娼婦はいない。
ここの…それこそ、貧民地区の娼館ですらそうなのだ。これが平民地区なら逆に一周回って新しかったかもしれない。

「何だその先入観。流石に遊ばねぇにしてもそれはねぇとオレでも解るぞ。
馬鹿にすんなって怒鳴られなかっただけマシだと思えよ。
あと、金がねぇわけじゃねぇ。詳しくは言わねぇが理由があんだよ。
ま、そうだな…最悪を先に見ちまったのが悪かった…」

こちらも目がくらんでいたのだ。あの白塗りに。というか、あのギルド全体が。
もっとマシな案も冷静になれば出ただろうに、これが最善と思い込んでしまうほどに。
恐ろしきはおてもやんだ。

「猿。ボスは好きにできちまうってわけか…ほんとこえぇな。
っつか、なんだよ。いらねぇよ
え、よるなよ。こえぇって」

ベッドの上で少し後ずさり。なんかやばい。冗談と言ったはずだが?何故食い下がる?

ティアフェル >  変わり種娼婦。つまり珍種として今夜君臨してしまったという残念な落ちにさすがに切なさで明日が見えないと曇った眼をして。

「えぇぇー……じゃあ一体誰が着る用でこのドレスが作られているの……。
 オレでも分かったんならはよ云わんかい。
 あーそ、詳しい理由は興味がないからご安心なさい。
 あんなに派手に顔面凌辱されたのはさすがに初だったので自分でも泣くほど笑ったよ。いっそ今後の隠し芸として温めていくべきかしら」

 いっそのことネタにするという案が浮かぶ当たり、やはりおかしな女でしかなかった。フフ、と居直った意見の割には遠い目をして空笑い。

「家だけじゃないわよ。8割くらいのご家庭はそんなもんよ。
 ひょっとして一人っ子?
 ――遠慮しなくっていーのよ、ブレンダ……。
 新しいブレンダの扉……開けてみない? みるよね。みよう。
 よし、おら脱げ」

 こえぇ女はずい、と目が笑っていない晴れやかな笑顔で迫り、脅すような低い声を出した。ベッドの上で逃げようとするような反応に、ベッドの上に上がり膝で一歩詰め暴漢の態。

ブレイド > この女はおそらく冒険者より劇場で噺家でもやってたほうが大成しただろう。
妙に口がまわるというかなんというか。体を張ってるというか。

「言うタイミングがなかったんだよ。つか、オレも冷静になってから気づけたようなもんだ。
テメェのあの白塗りがインパクト強すぎてな…。弟にしたみてぇにしっかり化粧しろよ…
まぁ、あれはギルド全体の悪ノリが過ぎたってやつだ…」

連帯責任ともいえる。
これが失敗したら、彼らに文句の一つや二つ言ってもバチは当たらないだろう。
ティアの色々犠牲になったものは…戻ってこないだろうが。

「8割。
お前らおかしいぞ!?
いや、まて!!ブレイドだって言ってんだろ!
開けねぇよ!閉じろ、鍵かけろ!!戸締まりしろ!!
来るなぁ!!」

ジリジリと下がる。こいつ本気…いや、正気か?

ティアフェル > 「冷静さを失うほどわたしの顔が愉快だったっていうのね。
 今後お金を取ろうと思う。笑いとは本来…お金を出してわざわざ劇場に行くほど貴重なもの。今回タダで笑わせてやったんだから感謝してよ。
 ……自分でメイクしてたら、他の連中が『地味じゃね?もっと盛れよ』『塗れ塗れー』って全力で塗ったくって来たのよ…あんたそのくだり、いなかったわね……。
 わたしの顔はなんだ。お笑い製造機か? 訴えて勝つよ?」

 親が聴いたら泣くだろうか。一応お年頃の娘なのに、こんな扱いしかないってこの業界本当ヤダと泣きたくなるが。その前に訴訟を考え。澱んだ目つきで呻いていた。

「何云ってんの? 多数派の意見が尊重されるものなんだから、2割に入るあんたの意見の方が世間的にはおかしいものになるわよ?
 だいじょーぶよ、減るもんじゃなし……。ほーら、ゆっくり開いて来たねー? 新しい世界の扉だよ。
 勇気をだして、さあ。別に全裸になれとは云ってないし。
 あんたもわたしの顔で楽しんだでしょ? 対価だと思って――さっさと脱がんかい往生際の悪い!」

 暴漢に他ならない女がいた。下がる場所がなくなるまで追い詰めて強要にかかる。なんなら裾から捲り上げていこうか。

ブレイド > 「バカ集団か…いや、バカ集団だわ。冒険者だしな。
ギルドで振る舞い酒でもあったのか?いや、わらったけどな?笑ったけどお前も黙ってやられてるあたりなんか期待してなかったか?
多少おかしいなと思ったらなんか言ってんだろいやまじで」

聴くだけなら泣くですむだろうが、親が見たら笑い死ぬだろう。
しかし、そういう扱いを受けるということは、彼女の立ち位置は少なくとも冒険者内では確立されているようだ。

「待てばか!妙な理論をだな…ちょ、まて!!まーてーーー!!」

まくりあげると足が見える。
足はいい、だがその奥にもう一つ。
黒いしっぽが見え隠れ。

ティアフェル > 「真面な奴が出払うとカオスでしかないのよね……。
 知らないわよッ。ってか、どうせなら徹底的に笑われた方が気が楽ではあると途中で思ったけどね?! 変に気ぃ遣って笑い堪えられた方が傷つく!」

 悪乗り連中が参入してきた時点で大いにヤバ味は感じたが――抵抗むなしく、いっそ殺せみたいな気持ちになったのは事実。
 しかし、その時の仕返しを今ここで、おてもやん実行犯でもない彼にやらかすつもりなのか、フートマントの裾を捲り上げると、やはり舌打ちしたくなるような細身の足が見えて。それまではいい。

「んっ……?」

 何か黒い……尻尾……?
 その意味を理解する前に、もきゅ、と尻尾の先を軽く握り。
 しかも反射的に、無表情にずば、とフードに手を掛けて引き下ろそうと。

ブレイド > おてもやんにされた苛立ちをぶつける相手がいないからといって
今ここで手近な自分にぶつけられるのは流石に理不尽極まる。
かと言ってここでぶん殴って止めるにしても
ものすごく面倒なことに、生物学上、分類的にはこんなマシなメスゴリラでもメスには変わらない。
流石に暴力に訴えるわけにはいかないのだ。

「っ!?」

それに、なんか、めっちゃ早い。
やる気を出すところがおかしい。
フードを抑えることもできず引き下ろされると、驚きに立った猫の耳が見えるだろう。

ティアフェル > 「――……!」

 口の悪さからは想像できなかったが、紳士的な思考の持ち主らしい。力づくで止められることもなかったので、ばっさあ、と勢いよくフードを取り去ってしまうと、その下から覗いた猫耳に一瞬言葉を失くして目を見開き。

 それから、

「ミレー族…? 猫獣人……?」

 ぱちくりと瞬きながら呟くように零した。

ブレイド > 「ちっ……く、そ」

顔をしかめてやってしまったと言わんばかりの表情。
まさか冒険者にバレるとは。
同業者にバレ、それが広まってしまえばそこまでだ。
ミレーだと広まれば、仕事の口は減るだろう。

「そうだよ、悪かったな」

かといって、彼女を口止めする気もない。
このポンコツだ。口止めしようとしたところで望み薄だろう。
こんなことで、冒険者稼業を終えることになるとは…うかつであった

ティアフェル > 「ほおぉぉ……、ミレー族だったのねえ……」

 しかめ面で認める様子に向かって、至って暢気な声を出した。
 出身は片田舎。偏見は薄いというか、種族柄というだけの迫害はどうかね、と疑問に感じる方なので、素のままで頬に手を当てて呟き。

「別に? あんたが何族でも悪かないわよ。――あと、わたし何も見てないわ。
 で、ブレンダの扉をとっとと開けてくんない?
 はい、ばんざいして、ばんざぁーい」

 隠していることは明白なので、そこは知らんぷりをしたがまだブレンダを諦めていないしつこさ。それはそれとして、とミレー問題を流してブレンダ問題に移行させる。
 弟の着替えを手伝うように脱衣強要。

ブレイド > 何だこいつ。
今日何度目だろうこう思ったのは。
暢気どころじゃない。彼女に偏見がないのは運が良かったと言えるが

「まて!まてって!!ここ止まるところだろうが!!
ブレンダ言うな!!ばんざ…ちょ、やめろてめぇぇぇぇ!!!
メスゴリラァァァァ!!」

暴力を行使する相手だが、こちらはできない。
勝ち目などなかった。強化を利用すれば抵抗も可能だろうが…
彼女の勢いに押されてしまう。

ティアフェル >  ゴリラはヤメロマテにもう飽き飽きしたかのように全面的に留める言葉をスルーさせた、 

「あーはいはい。もういーからそのくだり飽きた。
 ゴリラゴリラメスゴリラー。
 よーいせっとぉー、ほんとーに細っこいわねえ、ごはんちゃんと食べてんの?
 食事はバランスよく摂りなさいよ?」

 オカンのような科白を吐きながら、おべべ脱ごうねぇー、と弟が小さい頃のように万歳させて適えばマントや上着をぽぽい、とはぎ取って。こっちはドレスを脱いでも下はベアトップにショートパンツとバッチリ防御しているのでさーと脱いで、代わりにそっちにささーと着せてあげよう。
 自分の、他人の弟を含め20人も剥いて着せた女の手際はこなれていた。

ブレイド > 「なんだてめぇ!なんだその…なんだよ!
なんでそんな手際いいんだよ!
やっぱお前アルティメットアホだろ!!飯は食ってるわ!
てめぇはオレのおふくろか!!!」

いや、おふくろはこんな真似はしない。
男の服を剥ぎ取るのにここまで手慣れてるなど、熟練の逆レイパーでもいないだろう。
暴れるまもなくドレスを着せられる。
もともと変装用。脱ぐも着るも簡単なやつだ。趣味の悪い赤いドレス。まさかこんなところで女装童貞を奪われるとは

「………てめ、てめぇぇぇ!!」

ティアフェル > 「語彙が貧しくなってきております。ブレンダくん。
 母ちゃんにしては若いっしょー。
 お姉ちゃんですよー。
 お肉ばっかりじゃ駄目だよぉー?」

 あっはっは、と軽快な笑いを零しながら、明るく鼻歌なんて歌いながら、ぽぽいと脱がして、さささと秒でドレスを着せて行く。この熟練度は保育経験のたまものと云えよう。
 ばっちり着せて、留め具も留めて。

「かーんせーい。ううん、猫耳があるからかわいいーネッ。
 やっぱわたしよりイケんじゃない? 
 うんうん、いい。いい。うふふっ」

 一歩距離を取って、ベットの上でぺたん座りしながらパチパチ手を叩いて満足げな表情浮かべた――どエス姉ゴリラ。

ブレイド > 先程よりも断然饒舌。
というか、イキイキし過ぎである。
それと、無くなってきているのは語彙ではない。
余裕だ。
もはや一刻の猶予もないどころかすでに行動は終了しているのだからそれも仕方ない。

「ぉぉぉ…この、このやろ…
イケねぇよ。よくねぇよ…
なんて、なんてことを………」

借り物のドレス。破くわけにもいかないが、脱がし方もイマイチ把握できてない。
ドレス姿の自分の体を見下ろすと今にもその場で突っ伏してしまいそうになる。
泣いてないだけましだ。
いや、泣きたくはあるが。

ティアフェル >  あぁー。懐かしい。懐かしいなああぁ、この感じ!
 と実家で弟達を剥いては着せして遊んでいた頃のことを思い出し、両手を重ね合わせてキラキラしたあと、ほのぼの和んでいた。

 黒髪に赤は映える。猫耳はもっと映える。ヤダカワイイーとご満悦で、恥辱を味わわせておいてイイ顔で笑いながら、なんなら猫耳の生えた頭をなでなでしよう。

「いーやあ、とってもかわいい! その心の底から嫌そうな顔をされると……姉ちゃん超ぞくぞくするぅ。ああやめらんない。久々実家帰ろっかな」

 帰省して犠牲者を出すつもりの女は悪魔のようなことを楽しそうに呟きながら眺めまわして。ブレンダちゃんに大満足。

ブレイド > 弟たちがあまりにもあわれ。
おそらく5人とも無事にはすんでいないだろう。
かわいそうになぁと遠い目を天井に向ける。
娼館の部屋ってこんな作りになってんのかー…明かりが眩しいなぁ…

「……え、なんだ、おまえ、あれか?変態か?そうだな?そうだろ?何だゾクゾクってなんだおまえ…お前ホントなんだよ…」

ベッドにうずくまるように身体を横たえて。
まさかこのような目に合うなんて。
冒険者たちの哀れみがまさかこんな所にかかってくるとは誰も予想だにしなかっただろう。

ティアフェル >  弟がカワイイからやってしまうんだよ……なんていうのはかなりエゴい。
 遠い目で天井を見つめて切なくなっている様子に、楽し気に笑みを浮かべ。満面に嬉しそうなまま。

「なんとでも好きに呼ぶがいい。ビクともしないわ」

 ベッドの横たわった背中をポンポンと叩くと。さて、と立ち上がって。

「そっちはここに泊まってくの? わたし帰るね。そのドレス後で返しておいてね~」

 THE身勝手。ショートパンツとベアトップだけだが、ケープをしっかり羽織ればまあ、何とか外を歩けるだろう。だからドレスは放置します。自力で脱ぐんだよ。

ブレイド > 背中を叩かれ
はっ…と、放心から戻ってくる。

それと同時にとんでもないこといいやがる。
泊まらねぇよ。人の話聞けよ。

「かえ…ちょ、ちょっとまて!!ばか、まて!!!
帰るんじゃねぇ!!!」

かえるなら脱がし方教えてから帰れ。ベッドから立ち上がりしがみつこうとするも、おそらくは届かないだろう。

ティアフェル >  心を手放していた隙にズラかろうと思ったが……ヒールを履くのに手間取っていると、止められた。

「ちょ、危ないじゃない! ヒールなんだから転んじゃうでしょ!
 なーに、淋しいの~? じゃあ一緒に帰ってあげるよ。はい、いくよ、立って立って。マント着て。服持って」

 何か盛大に誤解しながら、しがみかれてぽすぽすとその頭の上で手を弾ませて。

ブレイド > 「あぁぁぁあ……」

そうじゃない、断じてそうじゃない。そうじゃないが、ここに残されるよりはマシ。
かろうじて残った意識がはじき出す打算的答えに従う他なかった。

まるで強姦された生娘のような絶望的表情のまま
フラフラと彼女の言葉に従う。

なんて日だ。もどったらもどってで普通に慰められそうなほどにひどい目にあっている。

「なんで依頼うけちまったんだろう…」

今はただ後悔だけが残った

ティアフェル >  ほんともう、せめてドレス脱がしてあげろよ……と故郷の弟達が見ていたら涙ながらに訴えたろう。

 しかし、エゴイストでどエスという、姉が持っている二大狂気の持ち主はかなりなマイペースで、ドレスの上からマントをしっかり着こませて、

「ほーら、フード。しっかり下ろして。――しゃっきり歩く! 転んじゃうでしょ。前見て、ちゃんと。姉ちゃん手つないだけるから、ほら」

 フラフラと凌辱後みたいな彼をすっかり弟扱いで発破をかけて、転ばないように手をがし、と引っ掴んで。娼館の方々には「どうもお邪魔しましてー。またお願いしますねー」とソツなく挨拶して。彼の手をぐいぐい引っ張りつつ「で?家どこなの?」と聴きながら帰途を辿った。

 残んながら依頼はまだ継続している。明日からも、彼の未来は地獄かも知れない――。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からティアフェルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からブレイドさんが去りました。