2020/03/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にカーレルさんが現れました。
カーレル > 暖かくなってきたせいか、貧民地区を流れるドブ川からはなんとも言い難い匂いが立ち上っている
海や沼地なんかで感じる嫌な匂いとはまた違う、人の営みが生み出す嫌な匂いである
それも当然、各地区から流れてきた生活排水がこのドブ川に集約されて、ここから先は暗渠となり、
魔術による浄化槽を通って河川へそして海へと注ぎ込む…らしい

らしい、と言うのは王都の人口が増えるにつれ何代にも渡り増改築が繰り返されており、
暗渠の内部は複雑に入り組み、今ではその全貌を知る者は恐らく誰一人としていないである
まあ、物好きな長命種のマニアなんかが記録や内部をマッピングしている…なんて言うなら話は別なのだが…
顔は広い方であるがそんなヤツの話は聞いたことがない。しかし、長命種の連中はどっかおかしい奴が
多いような気がするのでそんな奴が1人、2人くらいいても不思議はない…あくまで個人的見解だが

「―――さて」

そんなこんなで人知れず大迷宮とかしている王都地下暗渠群であるが、ここの所、開口部付近で何やら
大きな生き物を見た、という目撃談が方々から寄せられているらしいのだが、
王国各騎士団であったり、王国軍師団であったりが、そんな些事に動き出すようなこと当然はなく、
冒険者ギルドの方にも話は行っているらしいのだが、流石に不確定な情報で依頼の張り紙を出すわけにもいかず、
とりあえずは…という事で、真意を確かめるべく薄暗くてクサい暗渠の中に一介のなんでも屋を派遣した
言ってみれば下調べ、地下暗渠群は広大であるから他にも幾人か、同業者であったり、
ギルド懇意の冒険者やパーティーが派遣されているとかいないとか
どれ程、人員が送られているかは不明だが、結局、自分は1人なのでそれを気にしても仕方ない

「んじゃ、ぼちぼち行くか…さらば、街の灯りよ」

格子に仕切られた暗渠の入り口の脇には施錠された扉
ギルドから預かった鍵で扉を開けば、様々詰め込んだ鞄を背負い、松明に日を灯しいざ地下迷宮へ
どうせ、何が出るというわけでもなし、咥え煙草で奥へ向かって進みだした

カーレル > 目撃されたという生物は目撃者の証言がバラバラであったらしい
水面から出ている巨大な尾びれを見たという者もいれば、
水底からじろりとこちらを見る大きな瞳が現れ、次第に沈んでいったという者…
面白いのは音もなく翼竜が現れてそのまま、水面下に入っていたという者までいたらしい
それらの目撃談に対し王立学院の専門家たちに意見を求めた所、
シェンヤン降嫁以降、王都では違法薬物の使用が以前に比べ増加傾向にあり、早急にそれらへの対策を求める、
という見解を出したという噂を耳にした…あくまで噂の話


暗渠も奥まで来ると真っ暗になり松明なしでは自分の位置すら危うい
松明の明かりを頼りにし、地図作成をしながら進んでいくが、巨大魚も謎の瞳も、翼竜も今の所は現れない
現れたものと言えば、コウモリと脚のたくさんついた虫、それに寒さを避ける為、
潜り込んだ浮浪者くらいなものであった
ヒゲも髪ももじゃもじゃで人相も判らぬ浮浪者であったが、煙草をくれ、というので一本くれてやった
なにか変わったことはないか?と聞けば、特に変わったことはないのだという
それから、今は誰の治世であるかとか、偽りの神がどうのだとか、熱っぽく語っていたががすぐ忘れた
狂人のようにも思えたが、ひょっとしたらとんでもない賢者、隠者の類であったかも知れない

王都にはまだまだ沢山面白いものがあるようなのは確かであった
そんな事を思いつつ、更に先へ奥へと進んでいく

カーレル > この暗闇の先には一体何が待ち受けているのか
…予想するに意外とがっかりするような真実が待ち受けているような…そんな予感を感じながら、
奥へ奥へと進んでいくのであった―――

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からカーレルさんが去りました。