2019/11/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にリタさんが現れました。
リタ > ここは貧民区に存在するバー、名前はマスカレード。カウンター席は6、テーブル席は1という、大層こぢんまりとした店だ。
料理の味はそこそこ、酒の質もそこそこ、お勧めだったものはジャーマンポテト、根菜サラダと一般大衆向け。

本日は完売したのでお勧めが過去形である。
どうやら客は居ないのであろう、店員が煙草を咥えて店内から出てきた。

「…ん~~~~ッ!!――――――…ふひぁ…」

大きく背伸びをした後、肩を回しながら変な声をあげて脱力する店員。
空を見上げながら吐き出される紫煙が抜け出した魂に見えるのは気のせいではない。

「…今日はすんごく疲れた…ふひぁ…」

その疲れからか、語尾が「ふひぁ」になってしまっている店員。
新たなキャラの誕生である。

リタ > 肌寒くなってきた空気は乾燥しており、シャツの上に何も羽織っていない店員の肌を刺激する。
小さく身を震わせながらも店内に戻らないのは、外の空気が吸いたかったからだ。

「…あー片付けるの面倒…」

もとい、現実逃避だ。開かれた扉の奥、店内を恨めしそうに眺める店員の視線には、洗われるのを待ち望んでいる散乱した皿、皿、皿。
これを冷たい井戸水で洗わなければならないのである。
煙草が減るに連れて皿が手招きしているようで、ちょっと怖い。ここで店員は新たな煙草に火を点けた。視線は皿から星空へ。
もう少し、現実逃避をする事に決めたようだ。

リタ > 勿論客が来れば現実に戻らなければならないのだが、幸か不幸か客は来ない。
当然ながら料理は売り切れているので、提供できるのは安酒と手抜きの肴、後は店員のスマイルである。
それに加えて店員が店先で疲れた顔をして夜空を見上げ、「ふひぁ」と変な声をあげている状況を目の当たりにしながら店に入る、そんな酔狂な人物は恐らく居ないであろう。

「…おなかすいたな…なんか作ろ…――煙草吸い終わったら。うん。」

三本目の煙草に火をつける店員。どうやら自分の食事を作るのも面倒臭い様子だ。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にカーレルさんが現れました。
カーレル > ぼちぼち何処の酒場も店を閉め始める時間だろうか
暗い路地からひょいと顔を出せば軽く伸びをしてから歩き始める
今日の仕事はとある商家の売上金を持ち逃げした男の背後関係を吐かせる事
頼まれれば『殺し』以外は何だってやるが、まあ、やっていて気持ちの良い仕事ではなかった
煙草を取り出し、一本銜えるといつもの通り火種を探して懐を探る…が、ない
どうやら、仕事で使った倉庫に忘れてきてしまったらしい…なんだかな、と煙草を懐へ戻そうとすれば、
店の前で煙草を手にする人の影…しめた、と思い歩み寄っていった

「悪いね、姐さん。ちょいとばかり火を………って、店主か
 今夜は店じまい?ひょっとして、あんまり店、流行ってない感じ…?」

以前、彼女の店で食事をした時にはそれ程、不味い料理でなかったような記憶がある
近づいていきながら、辺りを見れば既に店は何処も火を落とし始めている様子であった
暗い倉庫で半日以上、仕事をしていたことに今更気がついたのはこの時だった

リタ > 後片付けと食事からの現実逃避は、冷え始めた体が悲鳴をあげる事によって終わりを迎える。端的に言えばくっそ寒い。
口に咥えられた4本目の煙草に火をつけようかどうか思案している店員。そんな折、声をかけてくる人物が。
ふと見れば彼は一度店に来てくれた客だった。
店員は煙草を尻ポケットへ戻しつつ、「マスカレード」と店名が刷られたマッチ箱を彼に手渡し返事をする。
一度足を運んでくれた事のあるお客様に対する、あざとい営業活動である。

「店じまいにしようと思ってた所ですケド、寄ります?…閉店直前の為もてなしは最低級、それでも良ければ。」

開きっぱなしの扉に向けて両手を差し伸べ、丁重に案内する店員。
彼が店に入るのなら店員は後を追い、扉を閉め…散乱した皿を下げ始めるだろう。

カーレル > マッチ箱を受け取ればしげしげとその箱を見る
店の名前が入っていて割と凝ったもののように思える…なるほど、こういう宣伝の仕方もあるのか、と関心すらした

「それじゃ一杯だけ…火のお礼って事で
 見た感じなーんも、残ってなさそうだし、一回、火を落とした後で料理作らせんのもなんだしな」

店の中、散乱した食器の類を見れば繁盛しているらしいことが伺える
煙草に火をつければ彼女の案内に従って店内へと入っていく…店の中にまでくれば、
以前、ここで何を食べたかもなんとなく思い出してきた
手頃なカウンター席に腰を下ろせば、とりあえず灰皿を引き寄せて…美味そうに紫煙を吐き出した

「残ってる中で一番、キツい酒貰える?
 どうせ、帰って寝るだけだし…それだけ貰ったら片付けでも、なんでも好きにしていいよ
 姐さんもさっさと帰って寝たいだろうし、邪魔はしないよ」

自分も適当に飲んで帰っから、と付け足せば先に少し多めであろう代金をカウンターに置いた
それからは、煙草を味わいつつぼんやりとしながら店内に視線を彷徨わせる

リタ > 「ごめんねジョニー、吸ってあげられなくなっちゃったよ、残念。」

ジョニーとは今、店員の尻ポケットに戻っていった一本の煙草の名である。店員が本能的に今付けた。
そんな独り言を吐いた後、カウンターに座って煙草を吸い始めた彼の言葉を聞きつつ片付けた皿を水の入った桶へと入れる。

「お客さん、以前に来られた事、ありますよね?名前…聞いたような気が…ごめんなさい、覚えてないの。
――キツいの…キツいの…」

申し訳なさそうな顔を彼に披露した後、カウンターの奥にある酒棚に目をやる店員。
一番度数が高いのはウォッカであろう。度数が高すぎてこの店ではあまり売れない酒は、新品の状態であった。

「――キツいのなら無味無臭無色のウォッカで。ストレート?ロック?簡単な肴なら適当に作りますよ。私の夕食を兼ねて。」

ショットグラスとロックグラスを両手に持ち、揺らしながらどっちにします?と小首を傾げる店員。

カーレル > 時折、煙草の灰を灰皿に落としながらなんとなく店内を眺める
狭いながらここいらにある店ではだいぶ、清潔なような気がする
彼女に声を掛けられればそちらに視線を向けて、ぶふっ、と煙を吐いて少し咽た

「あるよ、今日で二度目…いやまあ、客の名前、いちいち全部は覚えてらんないだろうし謝ん無くても良いよ
 そそ、キツいの…頼むぜ」

客商売であるにも関わらず、覚えていない、と正直に吐露するのがツボに入ったらしく、
彼女の言葉についつい、咽てしまったらしい
酒棚に視線を向けて供する酒を選ぶ彼女に釣られたように自分も視線をそちらへ
酒瓶がいくつか並んでいるが、自分にはさっぱり判らない。そもそも、酔えもしないので、
酒なんて強かろうが弱かろうが、どれでも似たようなものである

「…それでいいよ。んじゃあ、そっちの大きい方のグラスで…
 氷はいらないからその分、並々入れてくれ…夕飯、かあ…じゃあ、少しだけもらうかな」

味見程度でいいから、と付け加えてご相伴に預かることにした
料理を商う人間が普段どんなものを食べているか、そこには少し興味がある

リタ > 「お気遣いどうも。覚えてられない程沢山のお客さんが来る店でも無いんですよね、これが。
こっちの?なみなみ?大丈夫です?」

彼の笑いに笑顔を重ね、冗談めいた言葉を添えて指定されたロックグラスをカウンターの上へ。
キャップの開けられた酒が初めての空気に触れ、産声をあげるかのようにとくん、とくんとグラスに注がれていく。
本当に飲めるんです?と言いたげな瞳を彼に向けつつ、店員はフライパンに脂塗れの肉のくずを入れ、熱し始めた。
炒められるのは調理に使った野菜くず。味付けは塩コショウ。簡素であるが腹を満たすだけならこれでも十分だ。

酒を味わう彼を見ながら別のフライパンが熱し始められた。入れられるのは多目の油、そして溶いた卵。
油を吸った卵が半熟の状態でふんわりとフライパンに広がれば、炒められた野菜くずがそこに入れられ、包まれる。

「酔い潰れたら遠慮なく追い出しますんで。なんて。――はい、どうぞ。」

彼の元へ半分に切られたオムレツと匙。もう半分はフライパンに乗ったままの状態で、既に店員が調理に使った菜箸で食していた。

カーレル > 大丈夫、と聞かれればへーきへーき、と笑顔のまま頷いて
カウンターの上に置かれたグラスを手に取るとくぴ、と先ず舌を濡らす程度にグラスを傾ける

「にしては、結構な洗い物の数じゃない…?まあ、姐さん1人でやってるならこんなもんかも知れないけどさ
 まあ少ない客でも食っていけるんなら、何より…あ、カーレル・シュトラウド、なんでも屋ね…お見知りおきを
 うお、ほんとキツいなこれ…でも、喉を通ってく感覚がちょっと気持ちい」

自己紹介を織り交ぜ会話を続けながらグラスを本格的に傾け始める
酔いこそしないものの、酒を飲んでいる感覚であったり喉越しや微かな香り、味なんかはしっかり感じられるから、
喉を通っていく感覚でどれ程、キツいのかは判る

カウンターの向こうで野菜が刻まれ、鍋が振るわれていく音なんかに耳を傾けながら酒を味わう
なみなみとグラスに注がれていた酒もオムレツが良い匂いを漂わせ始める頃には残り半分ほどに減っていた

「追い出されるほどに酔いつぶれてみたいけどね…
 もし潰れるようならそのへんに転がしといてくれ、いただきます」

野菜と肉のオムレツを匙の先で切り分けながら口元へ運び食べる
今日はずっと仕事詰めで食事をしていないから余計に美味く感じるような気がする
それと有り合わせで作られた飾らない料理はなんとなく故郷を思い出させるような気がしないでもない

「ん…上等、上等…
 そこまで腹が減ってるつもり無かったけど、ペロッと食えちゃうわコレ」

酒を合間、合間に飲みながらオムレツを食べ進めていく
皿の端に器用に人参だけを避けるようにしながら

リタ > 強い酒をキツいと言いながらも、そして喉越しが気持ちいいと言いながらもグラスを傾ける彼。
そんな彼に対して目を丸くして本当に強いんだ、と言いたげな表情をしながらオムレツを口に運ぶ。

「カーレルさん、ね。こちらこそお見知りおきを。安酒と適当な料理がお待ちしております。」

オムレツを胃にかき込み終えれば二枚のフライパンは荒い桶に。これから皿達と格闘が繰り広げられるのだ。
店員は桶を手元へと運び、洗剤をそれに入れて洗い始めた。

「そのへんに転がす必要は無いみたいですね。――あ~ら、人参はお嫌いです?」

店員の目に入ったのは側らに除かれた人参達。片方の眉を上げ、怪訝そうな店員の顔が彼に向けられた。所謂オカン顔である。
表情だけに留めているのは、彼が一応お客様であり、顔見知りでないから。
彼がこの店の常連であったのならば、嫌味混じりの冗談めいた小言が届けられるのだろう。

「人参嫌いのカーレルさん、ね。覚え直しました。なんて。」

にやにやと笑いながら皿を洗う店員。その表情は、まるで次回来店の際には人参料理を振舞います、と書いてあるようだ。

カーレル > 「前に来た時に食った魚は適当って感じじゃ無かったけど…流石に閉店間際だと適当になるみたいだな」

決して不味くはない、むしろ、美味しいと感じさせる料理であった
しかしなんと言うか、家庭料理のそれであって、客を相手に料金を取っていいかと聞かれると、
何とも言えないところであるように思う…酔っ払った客相手にだったらそれでも構わないのかも知れないが

どうしても口に入ってしまったものは仕方ないけれど、人参を避けるようにしていると、
彼女が目ざとくそれを見つけたようで…何やら懐かしい心持ちにさせる表情で此方を見る彼女に、
視線を向ければ匙で避けた人参を掬い、ひょいと口の中へ放り込む…全て、ではないけれど

「…食えないほどじゃあ無いけどね。得意か苦手かで言えば苦手って、程度のもんだけど…」

オムレツ本体は言葉通りぺろり、と平らげていたが皿の端には未だに人参が少し残っている
匙の先でつんつん、としながらぐび、と酒を煽れば再び視線を彼女に向ける

「農家の三男だからな…何でもかんでも残さず食べろって言われて育ったし、
 人参一本作る苦労も薄らぼんやりだが想像はできる…」

そんな事を言いつつ、残った人参を掬ってなんとか食べてしまう
言葉通り苦手ではないようだが、出自を引き合いにださなければ残していたであろう事もまた事実である
口の中に残った風味をかき消すためにかグラスに残った酒を一気に煽り、短く息を吐く

「そりゃあ良い、常連ヅラをするつもりはないけど、人参見る度、思い出してもらえるからな…
 顔だして山盛り出された日にゃ、思いつく限りの営業妨害してやるけども」

彼女のにやけた横顔を眺めながら冗談を口にすれば、ごっそさん、と皿とグラスをカウンターの一段高い所へ
それから、人心地付いたように煙草を咥えて深く煙を吸い込み紫煙を燻らせた

リタ > 「本当に適当ならフライパンのまま提供してます。なので適当ながらお客様扱いをしておりますよ~?」

無論自分自身の夕食のお裾分け、程度の認識なのでこの料理に対価は求めない方向だ。
しかしお客様扱いをしているのかどうかと聞かれれば、首を傾げる。
事実店員は皿を洗い終わるとすぐ、尻ポケットから「ジョニー」を連れ出して彼の目の前で火をつけるのだから。
店員らしからぬ行動である。

「ん、そういう感じなんですね。私も子供の頃嫌いだったもの、食べれるようになったし…苦手は苦手ですけどね。
農家の方なら親御さん、厳しそう。あはは。」

彼の匙が人参を突く。どうやら口にするかどうか迷っている様子だ。
意を決したのか彼は残った人参を口にし、流し込むかのように酒をあおった。
店員は煙草を咥えたまま、にししと嫌な笑い顔を晒してそんな彼を眺めていた。
人参を食べきった彼から吐かれた言葉からすれば、やはりどうにも苦手意識はある様子。

「おお、怖い怖い。営業妨害が怖いので、これから人参、避けるようにしますね。
食べられるようになったら教えてください。ご馳走しますので。なんて。」

笑いながら食事の終えた彼の皿をカウンター越しに受け取り、泡の広がる桶へと誘った。
咥え煙草のまま皿を洗う店員。そして人心地がついたのか煙草に火をつける彼。
店員の紫煙と彼の紫煙が瞬く間に店内に広がっていた。天井に据え付けられたシーリングファンがそれを細かく断ち、回りの空気と馴染ませていた。

カーレル > 「そのくらいの距離感のほうが肩肘張らずに寄れるって喜ぶ客もいるかもな」

皿洗いを終えれば煙草を咥えて火をその先に彼女が灯す
自分も愛煙家であるから気には止めないけれど、他の客から見たらその姿がどう映るのか?
咥え煙草の彼女にお客様扱いねえ、と苦笑を浮かべる
商売人らしからぬ振る舞いであるが、店じまい間際の時間帯であれば仕方ないようにも思える
まあ、なんと言うかそういう人柄なのだろう…気を使わないで済むのは此方もありがたい

「ホントに厳しけりゃあ飛び出したり出来なかったろうけどね…
 ま、食べ物に関しちゃ煩かったかな…」

気がつけば笑いながらこちらを眺める彼女に、ふ、と吐き出した煙草の煙を食らわせてやる
カウンター越しの彼女に届く前に、吐いた煙は霧散していってしまうのだけど

「別にそこまでサービスしてくれなくても良いけどな、食えないわけじゃないし
 人参のフルコースなんてのはゴメンだけども…ま、大人になっても苦手なものはあるってな話だわ」

しばらくは彼女が皿を洗う音に耳を傾けぼんやりとしたいたけれど、
皿洗いが終わりが見える頃には立ち上がって軽く伸びをするようにしてから欠伸を漏らす

「…店じまい間際に悪かった、美味しかった、ありがとさん…おやすみ、姐さん」

代金はここね、と示すように軽くカウンターの高い部分に触れるようにして
また寄らせてもらうよ、と店を出る間際に彼女に伝えれば暗い夜道を自宅へ向かって歩いていく

リタ > 「土地柄かそういうお客さんが多いですね。こーゆー距離感が苦手なら、それなりの対応、しますけど?」

勿論普段の営業時間中は煙草を咥えながらなんて到底出来ない。今は閉店間際、提供する料理も無い。そんな時刻に滑り込みで来た彼。
偶然が生み出した店員の素に近い姿なのだろう。
笑顔もいかにも営業スマイル、なものではなく、自然と出ている笑みなのだ。

「あら、飛び出したんです?…――んもー、失礼なお客さんッ。」

彼の飛び出した、の言葉になんと返答するのが良いか考えていた所、突然彼が煙を店員へ吹き掛けた。
店員の顔には届いては居ないが、これ幸いにと店員は煙そうな顔をし、無駄に咳き込み、泡塗れの手で自分の顔の前を扇ぐ。

「ん、帰るんです?お気をつけて、またのお越しを。
――あー、ついでに扉にかかってるプレート、裏返しておいてくれます?閉店にしとかないと客、入っちゃいますし。」

がちゃがちゃと皿を洗いながら、背伸びをする彼に声をかける店員。
立っている者は親でも使えと言わんばかりの言葉を添えるのは、結構慣れた証なのだろう。
彼が扉を潜り外に出るタイミングでかけられる「ありがとうございました」の声は、彼が来店前に聞いた店員の声より明るく弾んでいた。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からカーレルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からリタさんが去りました。