2019/09/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/ぼろ神社」に白尾さんが現れました。
白尾 > 神社は今日も子供たちであふれている。孤児たちもいるが、大体は勉強をしに来る子供たちだ。
簡単な文字や計算を教えているココは、昼間は子供たちであふれていた。

そんな集団の中、あっちから引っ張られこっちから引っ張られ、尻尾に数人がへばりついている白尾はヘロヘロであった。

「ほら、けんかしないの」

喧嘩があれば仲裁し、一人ぼっちの子がいれば仲間を作り
子どもたちはかわいいが、その世話は非常に大変だった。

白尾 > そろそろおひるごはんの時間も近いので、食事を作らなければならない。
神社の昼はいつも一緒。
雑穀交じりの米を炊いて作る塩にぎりである。

子どもたちに適当に釜に穀物を入れさせ、そこに魔法で作った水を注いで炊き始める。
比較的魔法が得意な白尾は、魔法だけで米を炊ける程度の炎は出せた。
最も釜の近くにいなければならないが……

子どもたちは邪魔すると怒られるため、多くが白尾のその尻尾に張り付いていた。

さて、来客が差し入れを持ってきてくれればおかずが増えるが、来なければいつもの塩にぎりオンリーになるだろう。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/ぼろ神社」にさんが現れました。
白尾 > 炊きあがった雑穀米をおひつに取り出し混ぜる。
湯気がもわもわっとあがり、熱気に顔をしかめるが、ここでよく混ぜるのがおいしくなるコツだ。

炊きあがったものは子供たちがおにぎりにしていく。 大小さまざまなものが出来上がっていった。

> 「はぁい、こんにちは、おねぃさんですよぉ?」

ご飯ができた、と言うとき丁度良く、その女は現れる。
背の高く堀の深い顔立ちでも、どこか東方を思わせる雰囲気を持つその女性。
キトンヘルメットを、頭の上に載せて、レザーなジャケットを身に纏い、同じ素材のパンツルック。
冒険者と言っていい格好ではあるが、少しばかり軽装で、それは彼女が盗賊系の技能を持っている、という事が、同じ冒険者であれば見抜くことのできるものだろう。

「今日は、おねいさんが、素敵な一品を追加しに来たわぁ?」

そう、言いながら背嚢から取り出すのは、新鮮な、お肉に、薬草であった。
薬草は肉の臭みを消してくれるし、お肉は、大きな塊であり、この神社に集まる子供たちに分けてもちゃんと余るぐらいであろう。

「さ・ら・に!
 今なら大サービス、よ?」

ほーら、と、釣ったばかりであろう川魚が、鍋の脇の日に、串に刺された状態で、放り投げられた。
とすとすとすとす、と見事な放物線を描き、炎の周りに落ちて、じゅ、じゅ、と良い匂いをして焼かれ始めるお魚さんであった。

白尾 > 「こんにちは、焔さん、いつもありがとうございます」

こうして差し入れをしてくれる人、特に冒険者は珍しくない。肉などが余る、などという人も多いが、こちらは大所帯、持ってきてくれるだけで助かるのだ。

お肉を受け取ると、そのまま火にポイっ、と投げ込む。下手に調理するよりそのまま表面を焼いてしまえば食べられるだろうという目論見である。

子どもたちは、肉や魚を持ってきてくれたヒーローのおねぃさんたちに群がっていく。その光景をほほえましく見ながら、白尾は調理を進めていった。

> 「いいのよぉ。おねぃさんの好きでやってるんだから。
それに、未来の後輩たちに、先輩風をふかせないとねー?」

白い御握りと言うのは、持ち運びやすく、腹もたまるいいものではあるがそれだけでは栄養が偏るのだ。
それに、子供たちはそれだけでは足りないし、多くいすぎるというのもある。
彼女と知り合ったのは散歩していた時に、父親の国ゆかりの場所を見つけ、そこで一人子供たちに食事を与えていたのを見たから。
父親の国と同じ存在にちょっと情けを覚えたので、時折寄る事にしているのだ。

「あと、これね。」

はい、と手渡すのはこれも調味料、岩塩などその辺を冒険しててにいれられるものがほとんどだが。
それでも彼等には重要だろう。

「こらこら、おねいさんに群がらないの。もちあげちゃうぞ~☆」

わらわらとやってくる子供たち、彼らを捕まえては持ち上げる。
身長の高い女性に持ち上げられれば、小さな子供なら十分楽しく思えるだろう。
普段とは違う視点で物を見ることができるのだから。
楽しそうに子供たちを持ち上げながら、女は白尾に視線を向ける。

「で、どうなの、実際。」

主語はないが、それは子供を不安にさせないためであり。
この神社の経営状況を問うのだ。
このまま、食事をたまに持ってくるだけで、やっていけているのか?と。

白尾 > 「まー、最低限ぼちぼち、ですね」

雑穀がほとんどを占める握り飯を渡しながら、そう答える。
雑穀だらけなのは栄養的な問題もあるが、一番は値段だ。米や麦はやはり高い。一番腹が膨れるのは雑穀なのだ。

そもそも神社は寄付と後は白尾の働きで維持しているが、子供たちの世話もありそこまで働けるわけではない。
親らも少しは寄付してくれるが、ほとんど子供たちの食費に消える。
今はぎりぎり回っているが、いつダメになるかはわからなかった。

「まあ、最悪まだ売るものもありますから」

子どもを奴隷に、というわけではない。自分の体、という意味だ。それは当然焔にも伝わるだろう。

> 「なるほどなー。」

御握りを受け取り、その場でかぶりつく子供たち、あちち、と舌を出して居る子供もいるし、ふーふしながら食べている子供もいる。
その内、お魚も焼けてきて、其れの串を手にする子供もいるのだ、いくら子供が元気で活発でも。
食欲はそれ以上なのであった。

「覚悟としては、おねぃさんは良いと思うけれど。
最悪それ、と考えるのはおねいさん、感心しないわぁ。」

自分を売る、どちらの意味にしても、判るのだ。
白い尻尾などは好事家に売れるだろう。
彼女の小さく豊満な体は、さぞ男に好かれるものだろう。
しかし、だ。
それを売ったとして。

「誰が子供を見るのかしらぁ?それを、見据えるのは後釜があっての事としておかないと。」

お金が有っても、適切に使う人が、子供の面倒を見てくれる人が居なければ。
それは無意味になり得よう。

「安易と取られても仕方ないから、もう少し足掻き方を覚える方がいいわぁ。」

ね?と女は、小さな女の子を持ち上げて、たかいたかいーとしながら。

白尾 > 「ですね、きっと意味はないことなのでしょう」

とはいってもあまり良い手がないのは確かだった。
所詮自分は幸せな家庭で育ったただの小娘という自覚がある。
商才もなければ特殊な能力もなかった。

「焔さん、何か良い金稼ぎの方法ありませんかね」

焼けた肉を持っていた刀で一口大に切り分けていく。刃こぼれせず、錆びずの神刀だが、最近は料理にしか使っていなかった。
子どもたちが嬉しそうに肉をほおばり「おねぃちゃんありがとー!」と満面の笑みでお礼を言っていく。

この光景は守りたい、とその決意は固かった。

> 彼女の質問に対して、女は子供を下ろした。下ろした子供は、一目散にご飯の所に移動して。
お肉とご飯とお魚と元気に手にしてがつがつ食べている。
お礼を言ってくれる子供に笑って、手を振って見せて。

「あったら、おねいさん、今頃冒険者してないと思うわぁ?」

肩をすくめて女は言葉を放つ。
お金が儲かるうまい話は大体詐欺だ、若しくは何かしらの生贄などを必要とする外法だ。
何事も地道に行うべきであり、その地道が嫌な存在は、冒険者となり、一攫千金を求めるのだ。

「―――あぁ、一つあるわ?
 お金持ちの人の情婦なるとか。」

判っていて言っている、それは、身を売ることと何が違うのか、と。
女は、悪戯な笑みを浮かべて、この程度しか、無いのではないかしら、と。

白尾 > 「まあ、そうですよね」

肩をすくめる。
情婦になること自体が心理的抵抗が果てしなく高いが、そもそも金持ちに出会う方法が分からなかった。
この前闘技場に行ってみたこともあったが、えらい目に遭っただけだった。一応賞金は出て、緊急用の貯金にしているが、そう何度も参加したいと思う場所ではなかった。

結局地道にやっていくしかないのだ。子供たちも冒険者やほかの職業人として地道にやってきている。
自分が一足飛びでやってもしょうがないだろう。

「まあ、どうにかなりますよ」

ふふふ、とほほ笑みながら、子供の頭を撫でまわす。

> 「そういうことよ。稼ぐことよりも、節約する方を見直しても、良いかもしれないわねぇ。」

入るのが少ないなら、いかにして出ないか、出さないか、が重要であろう。
女は、軽く笑って見せて、食事をしている彼らを眺め。
そして、背中を向ける。

「後は、信頼できる冒険者を伴侶にして、稼いでもらう、とかね。」

一人ですることには限界がある。
限界を覚える前に、協力できる仲間を見つけるといいわね。
そういって、歩き始めるのだ。

「探せばきっと、同じような仲間がいるかもだし、そういうのとコミュニティを作るのも、いいかもね。」

互助はだいじよぉ?女は、笑ってそのまま、柵の外へと向かおう。
またね、とばかりに手を振って。

白尾 > 「ありがとうございました」

手を振りながら焔を見送る。
伴侶か…… とてもそんな相手が見つかると思わなかった。
仲間といっても、孤児院はどこもここ以上にひどいところが多い。連帯どころか奪い合いになりかねない。

そんなことを考えながら、焔の背中を子供と一緒に見送った。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/ぼろ神社」からさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/ぼろ神社」から白尾さんが去りました。