2019/07/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にシスター・マルレーンさんが現れました。
シスター・マルレーン > ………ふー………っ。 ふー………っ………。

ゆっくりと吐息を吐き出して、吸い込んで、吐き出して、吸い込んで。
つきん、つきん、と痛む右の手を撫でながら、物陰に潜む修道女。

依頼された仕事で手を怪我したのだから、本来ならばお休みを貰って当然なのだけれど。
……怪我をした彼女が、現時点で動ける聖職者で最も強かったのだから、仕方のない話。

「……とはいえ、荒事は本当に勘弁なんですけどねー。」

とほほ、と少しだけ苦笑。
無許可で怪しい薬を販売している人間がこの近くにいるらしく。
それが聖職者へと渡っている可能性が高いらしい。

薬を求めるふりをして近づいて、とっ捕まえろ、がミッションだ。

シスター・マルレーン > 「………とはいえ、あれですね。
 薬を求めるフリってどうしろっていうんでしょう。
 咳でもしてましょーか。
 それとも手が痛いーって言ってればいいですかね。」

………ははは、と笑う。
まあ、そうじゃないのだろう。
常習性があり、人を堕落させる薬。

それを求める人になりきれって、無茶な依頼だ。

「えー、っと……」

まずは口元を布で覆って、身分を隠そうと努力する。
それくらいしか思いつかない。
手が震えるとかそんな細かいことしても、誰も見ていないだろうし。

シスター・マルレーン > ただ、効果は覿面だった。
うろついている男が彼女に目線を向ければ、指で数字の4を示す。

神父から聞いている。
片手で、出した数字と3違う数字を出せば合図だと。
1の時は4、2の時は5、4の時は1、5の時は2。
相手がいきなり3を出した場合は、今日は無い、ということらしく。

少しだけ深呼吸をして、指を一本立てて見せた。

『………へえ、欲しいんだ?』

隣に寄ってきた男が無遠慮に肩を寄せて、わしり、と尻を掴んでくる。
んひ、っと思わず声が出そうになりつつも、ぎちりと歯を噛んで耐える。
耐えろ耐えろ、我慢我慢我慢。

シスター・マルレーン > 「………はい………」

できるだけ穏やかに、静かに声をかけて。
しっとりと、色っぽく………。
お尻を撫でる手も露骨になってきて、ぎりぎりと噛む歯も限界だ。

拳は怪我している。右の拳なんかはもうぐちゃぐちゃだ。
でも思い切り振りたい。振り回したい。にやついているその顔にぶちこみたい。
よしぶちこもう。

覚悟を決めてこぶしを握る。白い手袋が黄金色に輝いて。
多少怪我が治るのが遅れても知ったことか。
シスターの怒りが頂点に達したところで、お尻にちくり、と痛みが走った。

「……え、ちょっと。」

買うどころか、お金を出したりする前にいきなり。
それが捕まえるはずだった薬だと理解すれば、不測の事態に、一瞬対応が遅れる。

シスター・マルレーン > 『捕まえに来たんだろ?』

相手の言葉に、この作戦が全部バレていることがわかって。
ふん! っとその男の顔面に右の拳をねじ込んでいく。
薬が回る前に、回り切る前に、とりあえずこいつはボコる。固い決意。

「………ミス、りましたね、これ。」

くらん、くらんと目の前が回る。
元より耐性が人よりあるからか、一瞬で動けなくなったり、あちらの世界へと飛んでいくようなことはないが。
そんな彼女が一発で酩酊するのだから、相当にヤバイ薬であることがわかる。


ああ、そうか。
神父様が暗号を知っていた理由って、そういうことか。
ふふふ、と僅かに自嘲気味の笑顔。

人が来る前に、と物陰に身を隠し。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にリドラさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にルドミラさんが現れました。
リドラ > 王都もひとたび外れへと足を進めていけばそこは何が起きても闇から闇への世界。
世を脅かす大罪の苗床になりかねないこの警戒するのは自警団としては当然かもしれない。
この荒廃した地域に彼らが巡回させられてるのはそんな正義感だけではなく、単にいつでも見捨てることができる連中達だからという理由もあるが――。

「…もう帰りたい。」

薄暗く通りも細い故か各自別行動で周辺の警戒を。
こんな場所では愛でるべき娘も目の保養になる男性もいるわけがない。
ただ汚くて薄暗い場所、隊長という立場故一人になったことを良い事に自らの使命に唾を吐きかける。
さっさと任務を切り上げてシャワーを浴びるべきかと思案していたその時に何かを壁に叩きつけたような、物騒な物音が聞こえた。

「ふむ、この血痕の湿り具合からするにそう時間は立っていないか。
この散らばった粉は…どう見ても無視したら怒られる奴よね。」

場慣れしたその静かな足取りで音の聞こえたほうへ向かうと売人は既に潜んだのかその場でははちあわず。
揉み合ったであろう売人が殴られた拍子に飛ばされてか崩れた木箱には血痕と思わしき液体と、その周囲にちりばめられた商品と思わしき白い粉が残されていた。

直ぐには帰れなさそうな状況と、シスターの姿に気づいていないのか、どこかまだ人の気配を感じる現場に目を細めると周囲をジロリと見渡して警戒心を高める。
その姿はもしかすると先ほどの売人と同類に見えたのかもしれない。

シスター・マルレーン > ………ふー。……ふー………。
ゆっくりと胸を上下させて、こころとからだを落ち着ける。
甘い、心地よい幸福感がざわざわと押し寄せてくるのを、必死に腿をつねりながら堪えて。
耐えて、耐えて。
自らの傷めた拳で、更に壁を殴って。
意識がとろんと溶けるのをこらえる。
涙がにじむほど痛いけど、だからこそちょうどいい。
そうでないと、膝から力が抜けていってしまいそうになる。

「……よし。」

………小さく一息ついた辺りで現れる姿に、息を殺し。

売人を殴り倒したシスターである。
もしも同類に見えるのであれば、そこに攻撃を仕掛けて更に仲間を呼ばせるようなこともしない。バーサーカーですか私は。

むしろ、息を殺して、もう逃げ去ってしまったと思わせる。
ずきん、ずきん、と痛む手を押さえながら、物陰からひっそりと覗き見て。

リドラ > 「…。」

首はあまり動かさず視線だけチラリと右に左に。
何があったかはさて置きこの危険な気配のする粉は見過ごすわけにはいかず、「こんな物ありましたよ」と報告する為に麻袋の中へと仕舞いこむ。
長いする必要もないと判断してか、別の隊員と合流するためその場を去ろうとするが、その足取りは奇しくも丁度シスターが隠れていると思われる方向へと。
何事もなかったかのように涼しい顔をして去ろうとする彼女を襲ったのはその時だった。
ゆらりと何処からか先ほどの売人が鼻血を顔に付けたまま血走った眼で背後から殴りつけた。

「…!」

殴られた勢いのまま、うつ伏せの状態のまま地面へと倒れた彼女の胸倉を掴み上げると『誰か知らんがそれを知られると困るんだ。それと、ちょいと鬱憤もある。』と売人が表情を殺し、しかし忌々しそうに吐き捨てる。
その言葉を体現するように馬乗りになると売人は右腕を彼女の顔へと何度も振り下ろした。
殴られてる女は不自然なまでに無抵抗のまま、どうしてか満足そうに笑みを浮かべるだけだ。

シスター・マルレーン > 舌打ちをする。
ああもう、そこにいたのね!
見ず知らずの人が殴られていることには耐えきれずに、歯をがっちりと噛む。
右の拳はもう使えない。
利き腕でない左で殴って、一撃で仕留めきれるか分からない。
何より、まだ薬が効いている。

「………その人を、離し、なさいっ!!!」

だからこそ、彼女は跳んだ。
両足のブーツに力を一気に集中して、馬乗りになっている相手の身体をへし折らんばかりのドロップキック。
とんでもない破壊音と共に哀れ男は壁にめり込む勢いで蹴り飛ばされて。
激しい音が響き渡り、ぜい、ぜいと肩で息をするシスター。
目の前がくらんくらんとする。

「……大丈夫ですか? ここから逃げましょう。」

と、倒れている人に左手を差し出して。

リドラ > 突如として暴行を働いてた男が飛んだ。
あまりに一瞬の出来事に身軽になってしまった体はその瞬間判断が遅れる。
体を起こす前にチラリと視線を動かすと――。

「…あぁ?」

助けられたであろう女からは漏れたのは憎悪の声。
その刺すような眼光はまるで獲物を横取りされた狩人のようで。
彼女にしてみれば性行為にも等しい極楽の一時を邪魔されたからなのだが、助けた側としては逆恨みにも等しかっただろう。
しかしその相手が清楚を体現したとも言える華麗なシスターであることを確認すると一転――。

「貴女のお陰で難を逃れることができた。なんと麗しく勇敢な女性だ、これは必ず礼をしなくてはいけない。そうだ、今晩王都にて宿を取っているんだが是非ともそこで心からの礼をしよう。その前にまずはゆっくりと食事をしてそれから……ふ、うふふ、ぐふふふふ。」

先ほどまでの殺気はどこへやら、どうやら自らの快楽<美少女だったようで。
パっと素早く起き上がると素早すぎる動作で差し出される左手を握り返す…所謂、恋人繋ぎと言った握り方で。
ボコボコに晴れ上がった顔に切らした唇から滴る血もなんのそのと言った具合に凛々しい顔を作り上げると顔をズイっと近づけて礼の言葉を述べるだろう。
…それがやや早口で、邪な考えが駄々洩れであったが。

そして彼女が呆気に取られていたとしたら右手は慣れた手つきで彼女の腰へと回そうと企てる。
その際、飛ばされた売人など最早興味なしと言った様子でまったく気に留めていない。

シスター・マルレーン > 「にゃっ!?」

なんか助けたらすごい睨まれた。予想外の反応にびくっとするシスター。
あれー、おかしいナー。
一瞬、殴っていたのは演技で、すわ上手いことおびき出されたか、と感じたが、そういう雰囲気でもない。

「…………え、ええ、ええ。助けたのはいいんですけど、ひとまずここから離れましょう。
 そうじゃないとまた仲間がやってきますから、ね? ね?」

おかしいナー、薬を打たれたのは私のはずなのに、目の前の女性がもうトリップしているように見える。
あれ、もしかして同じものを使ってるのかしら。
きゅ、っと左手に指を絡ませられれば、ぇえぇえ………、っと、若干頬がひきつって。

あ、無論そういう迫られた経験はあります。 そりゃあもう。

「………ひゃんっ!?」

腰に手を回されればびく、っと跳ねて。

「いやそういうのは今はちょっと。
 少しその、犯人を捕まえるのに失敗して、毒を打たれてまして。」

怪しい薬物、と言わない方がいい気がする。 首を二度、三度横に振って。
だから早くここから離れましょう? と説得する。 真面目そうなシスターだった。

リドラ > 「あ、あぁ…。そうだな、その通りだ。こんな状況においてもなんと冷静で思慮の深い女性だろうか。益々惚れ…見惚れてしまう。」

動揺している彼女が見えているのか見えていないのか。
兎も角彼女の言葉には一理あるとばかりに納得して見せ、授業で回答を間違えた生徒のように恥じらいを見せるだろう。
勿論、誤魔化してるようで誤魔化せてない本音には当人は気づいていなかったが。

「毒と…?それは大変だ、我が隊に合流できれば兵から血清を提供できるかもしれない。状況も伺いたい、ひと先ずは共に行動する方針で良いか?シスター。」

艶っぽいシスターの反応につい頬が緩んでしまう。
しかしながら目の前のシスターとはもっと戯れたいがそれはそれ。
負傷したであろう右腕と彼女の疲労具合から概ね状況を把握し、自分なりのプランを提案して見せる。
しかしながら彼女の傷の具合を見ると「私以外の人間が殴るとか…」と小声で漏らし、一瞬目が血走ったのだが…。

「申し遅れたが私はリドラ、リドラ・ラスヴァーチェだ。国の自警団の隊長をしている。
その…あの、あ…お、お嬢さんのな、名前を教えてほ、欲しいんだが…だが…!」

警戒心を解く為か信用を得る為か、自己紹介と自らの身分を明かすとニっと緩やかに笑みを浮かべて見せる。
ここまでだったら場慣れした軍人相応に勇ましく映っただろうが悲しいかな、美女を目の当たりにしてモジモジと女々しさが全開のリアクションを見せてしまう。
ちゃっかり腰元の手はそのまま回したまんまで、あわよくば体を密着させようとそっと引き寄せようとする。
動きはごく緩やかだったので拒絶しようとすればあっさり離せる程度だが、鼻息荒くスキンシップを図るこの女はどう映るだろうか。

シスター・マルレーン > 「褒めても何も出ませんよ。」

くすくすと笑いながら、ウィンクを一つするシスター。
とはいえ、すっかり頭もくらくらしているから余裕の表情もできないけれど。
頬は赤く、吐息も荒い。うーん、熱でもあるんじゃないかってくらいに暑い。

「………わかりました。 では、ここを抜けるまでご一緒しましょう。
 私はその、毒物には耐性があるので、血清などは本当に困っている人に。」

微笑みかける。
危ない薬を使って、若干腰から下がふわふわして、心地よい感覚に身を任せたくなっているとか。説明もできないし説明もしたくない。
おぼつかない足取りながらも首をしっかりと横に振るのだけれど。

「えー、と。リドラ様。
 ……シスター・マルレーン。 マリーとお呼びくださいね。」

相手の名前を復唱して、その上で素直に己の名前も口にする。
………ぺたりと身体同士が密着してしまえば、あのー、と小さく声が漏れて。

「………近くないです?」

身長的には僅かにこちらが小さいか。腰を抱かれて引き寄せられれば、いやいやちょっと、と思わずツッコミを一つ入れて。

「歩きづらいですからね、ほら、手を離して戴いて。」

優しく肩をぽん、ぽんと叩いて。諭すように耳に声を落とす。
怒りはしない、穏やかな女。 ただこの場所から早く立ち去りたい気持ちはいっぱいです!!!
仲間連れてきて囲まれたら今度こそピンチですからね!?

リドラ > 「…出たさ、いやぁ出た出た。完璧なウィンクがね。」

心を癒すかのような朗らかな笑みに可愛いらしい仕草を見れば絶頂に達したんじゃないかってぐらいに清々しい笑みで彼女を見つめる。
赤みを増した肌に心地よさすら感じる体温、聞こえてくる吐息に目を向ければその潤んだ唇には唇を重ねたくなる衝動に駆られる。

流れに任せてこの場で喘がせてみたいと心の底から考えているが、出会いがしらに比べて徐々にではあるが様子が変わってきてる事には流石に気づいたようで。
確証を持ったわけではないが、当初の毒物というワードを組み合わせるとどこか悟ったように目を細めて――。

「…安心しろ、闇市でバラまいてもまだ余るぐらいある。お嬢さんにその毒は似合わんさ。」

彼女を安心させる為か、あくまで毒物に対しての血清としているが別の処置を用意しておくべきかもしれないなんて一人考えて。
此処で襲い掛からなかったのは単に彼女に嫌われたくなかったからというのもあるが、どこかねっとりとした気配を感じてか若干気を引き締めていたのもある。

「了解した。マリー、マリー…。あー名前まで可愛い。」

彼女の顔をじっと眺めながら復唱する名前。表情はもはや真顔である。
たらりと流れる鼻血をぬぐうこともせず、密着した感触に鼻の下を伸ばしてこの出来事に満足するも引き離されれば心より残念そうで。

「そう…だな、うん、その通りだ。歩きづらいもんね、そうだよね、邪魔だもんね……。
だがまだ危機が去ったわけじゃない、あんまり私から離れないようにね?」

すごく、すごく残念そうにうじうじした声で納得すれば渋々彼女から手を離すだろう。
欲求は爆発させたいがまだその時じゃない、と一人納得して。
彼女の気持ちは知って知らずかとりあえずは彼女の言葉に納得するだろう。
まぁ例え囲まれても端から狩り殺してしまえばいいか、なんて呑気ながら物騒な事を考えて。

シスター・マルレーン > 何か明るく元気に振舞うたびに目の前の人の仕草が挙動不審になっていくんですがどうすれば。
リドラの背中から立ち上る獣欲の陽炎をなんとなーく察知すれば、頬がひきつって青い顔で笑うしかない。
怖い。 真っ向から誰とでも殴り合うシスターだけど今はなんか怖い。

「………では、戴くだけ戴いていきましょう。
 ふふ、大丈夫ですよ、この程度の毒。
 慣れたもんです。」

拳をぎゅっと握って力こぶを作るようなポーズ。
でも握って痛かったのか、んー、っと右の手を押さえて渋い顔をして、なんとも決まらないシスター。
こわいし痛いし、なんだか散々である。

「………えーっと。
 リドラさん、とりあえず鼻血を拭きましょう?
 さっき殴られていましたものね、大丈夫ですか?」

大人しく離れてくれるのならばほっと一息。
安心した様子で微笑んで、ハンカチを取り出して鼻血を拭いてあげることにする。
拭きながら歩き始めれば、周囲を緊張感のある表情で見まわしながら、そのまま地区の出口へと向かっていく。
誰かがいるからか、気を抜けばふらついてしまいそうな状況でも、なんとか足を進めることができて。)

リドラ > 「その心意気や良し、だが必要以上の無理は良くないな。
安心しろ、隊に合流できれば私よりはまともな奴に治療してもらえるさ。それまでの辛抱だ。」

甲斐甲斐しく朗らかな笑みに綻んでしまうのは仕方ないことなのだろうか。
自分よりも小さなシスターの頭にポンと手を乗せるとその質感を楽しむように撫でまわすことだろう。
何気に自分自身が禄でもない人間なのはちゃっかり理解してたようで。

「あぁ…そう言えばそんなこともあった気がするなぁ。
あれはあれで心地よかったがイマイチ刺激が足りなかったが…まぁ、もうどうでもいいか。」

実際自分が楽しむ為にあえて殴らせてみたのだがどうも彼女が求める刺激には遠かったようで。
まるで懐かしむように、それでいて興味を失ったおもちゃを思い出すかのように遠い目で語るも視線は再びシスターの方へ。

「天使か、天使なんだな?
嗚呼、今なら神すらも信じられるよ。いや、マリーたんこそが神か…?」

大人しくハンカチのお世話になる、というよりも好機とばかりにべったりと甘えに行く。
肌触りの良いハンカチの感触に、どこか彼女の匂いが香る気がして拭かれてるにも関わらずクンクンと匂いを嗅いでしまう。
緩み切った表情ながら背後からは凍てつくばかりの殺気が駄々洩れしていて、それはまるで邪魔すれば殺すと見えぬ相手に警告しているようで。
これまでの出来事が嘘のように地区を抜け出せば部下たちと合流するに至るだろう。

「麻薬の密売現場を確認した。数時間後には一斉突入後、掃討作戦を行う。
それと、負傷者を一名保護した。丁重に扱え、粗相をした奴は虫の餌にしてやる。」

部下達の顔を一人一人見ればキリっと締まった表情をして矢次に指示を下す。
彼女の扱いに私情たっぷりの厳重注意が下ると何かを悟った隊員たちの哀れみの視線がシスターへと向けられるだろうか。

「それでは私はここまでだ。また何処かで会おう、シスター。…本当に、本当にな?」
別れを惜しむかの様に頭に手を乗せて軽く撫でるも一向に手を離す気配はなく。
見かねた部下に懇願されるまで彼女の頭部の感触を名残惜しそうに楽しんでいた。

これ以降、暫く王都内で不穏な薬の話はなりを顰めるようになったが果たして教会側はどう捉えただろうか―――。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からリドラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からシスター・マルレーンさんが去りました。