2019/06/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にリーゼさんが現れました。
リーゼ > 日が暮れてもうずいぶん経つというのに、蒸し暑い。
日中の暑さが未だに消えずに、ちょっと動いただけでも汗が出てしまいそう。
貧民地区の安宿に、お風呂やシャワーなんて上等なものが備え付けられているはずもない。
宿の1階に併設された酒場兼食堂の端っこで、この店を常宿としている少女はあまりの蒸し暑さにぐったりとしていて。

「ますたー……アイスとかないの? この際だからかき氷でも良いよ。」

火に耐性のある加護を持っていても、この蒸し暑さには耐えられない。
そんな少女の注文に、酒場のマスターは『んなもん、あるわけないだろうが。此処を何処だと思ってる』と、にべもない答えを返してくれ。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にマコさんが現れました。
マコ > 「ふー、あっついね~……。」

ドアベル、というものがあるならばマコが扉を開いたときにそれが店内に鳴り響く。
ぱたぱたと手で顔を仰ぎながら、人目をはばからないのかなんなのか。胸元の布地を少しだけ捲りながら服の中に風邪を送り込む、
それでも、生暖かい風が体を通り抜けていくだけなので、余計に不快に感じる。

肩を落としながら、マコは迷うこともなくカウンターのほうへと向かう。
その手には、冒険者ギルドからの依頼書を持参していた。

「おじさん、なんか冷たいの頂戴。
あと、もしあったら保存食とか、その辺もそろえてほしいんだけど。」

カウンターの席に座り、マコは依頼書を眺めながらマスターと目を合わせずに注文した。

リーゼ > 残念ながら、貧民街の安宿にドアベルなんて洒落たものはついておらず。
ギィーと軋む音が、ドアベルの代わりに来客を告げる。
場末の、安さが自慢の酒場は、そこそこの賑わいを見せてはいる。
だからというのもあるだろう。店内の蒸し暑さは外よりも酷いもので。

新たな来客は、まっすぐにカウンターへと向かってくると注文を済ます。
ぐったりとしつつ、その注文を耳にすると、何が出てくるのかと少し興味を惹かれ。
『ほらよ、うちで冷たいものっつたら、これくらいだな。
 保存食なら、そういう店に行けっていうところだが、干し肉くらいならあるぞ』
そう言ってマスターは、冷えたエールを出してくれる。
少女はその様子をチラ見して。

「うぅ……お酒は苦手なんだよね……」

と、小さく呟き。

マコ > 「ありがと。うん、干し肉で十分だよ。」

”お酒かぁ…、まあ、エールくらいなら付き合いで飲むこともあるし、いいかな。”
飲めないことはないけれども、アルコールはと断ることも考えた。
だが、この室内の蒸し暑さと外の空気の熱さに耐えきれないのも事実。
奇なり熱くなってきたこの季節はどうも苦手で、汗が浮かび上がってくる。
冒険者なんてやってるから、そういうものは気にしないようにしているからいいが。

冷えているエールを一口飲んで、思わず美味しいと思ってしまう。
こういうのは、仕事が終わった時に飲むものだと思っていたが。
こんなふうに、熱い時に飲むそれは、またいいものだと思い知った。
思わず、顔がその解放感と爽快感で歪む。

「………ん?」

そんなさなかだった、そんなつぶやきがふっと聞こえたのは。
そっちのほうに視線を送れば、ぐたりとした誰かがいるのが見える。

この暑さにやられたのは一目瞭然だった。
ニコッと笑って、そちらのほうに手を振って…声をかけようか。

「そっちも暑いのにやられちゃった?」

リーゼ > どうやらお隣は、自分より少し上か同じくらいの女の子。
背中に槍を背負っているところを見れば、同業者とも見て取れる。
声を掛けられると、さすがにこのままの格好では失礼かと思って、身体を起こし。

「んー……そうだよ、この中途半端な暑さ加減が、しんどいねー
 それって、美味しい?」

美味しそうにエールを飲む姿に、ちょっとだけ興味が湧いてしまう。
けれども、アルコールなんて飲んだら余計に暑くなりそう。
ついでに翌日は寝込んでしまいそうだから、大人しく諦めることにする。

「水遊場だっけ……? あそこって、涼しそうなんだけどねー」

このぼろ酒場よりは良いかもしれない。
けれども、水着とか似合いそうにないんだよねと独り言ち。

マコ > 「アハハっ、確かに。今ちょうど、雨が多い季節だもんね。」

じめっとした空気が張り付いて、それに加えて照り付ける太陽。
この時期は本当に体力を奪われて、しんどい季節になる。
肩をすくめ苦笑しながら、マコはエールを片手に放しかけた少女の隣へと席を移動した。

「ん、美味しいよ?…って言っても、ボクもそんなに得意じゃないんだけどね。
ほんとはミルクとか、その辺あったらよかったんだけど…。」

まあ、この酒場の雰囲気からしてあまりそれは期待できなかっただろう。
店の文句ともとれるが、まあ、そこは持ち前の明るさでごまかした。

「あー、確かに涼しそうだよねぇ。人目が気になるなら、個室みたいなところで楽しんだりもできるし。
でも、その分割とお金とられるんだよね…今月ちょっとピンチでさあ。」

依頼が少ないというわけじゃない、というかそんな感じはしない。
ただ、えり好みしすぎたというだけだ、苦笑して訳を言わないマコの様子からして、それは十分伝わるだろう。

リーゼ > 「ねー? あたしももうちょっとサービスしてくれても良いと思う!」

席を近づけてきたお隣さんに、勢いよく同意する。
マスターのほうはと言えば、構ってられないと放置することに決めたようだ。
あんまり文句ばかり言って宿を追い出されたら堪らないので、程々にしておくけれど。

「へぇー? 個室なんてあったんだ。あたし行ったことなくって。
 お金は……仕方ないよね。うーん……それなら、やっぱり美味しいもの食べた方が良いかなぁ」

少女の目の前には、木のカップに注がれた水と、乾きもののナッツ。
温くなった水に口を付けながら、どっちが良いかと真剣に悩んで見せる。
お金がないのは、少女も同じ。
とはいえ、こちらの方は少し高めのエンゲル係数がその原因だったりするのだけれど。

「むしろ、涼しいところのお仕事とかないのかなぁー?」

そんな妄想じみた冗談まで出てくる始末で。

マコ > せっかくお店で物を提供してくれるのだ、あまり文句を言うべきではない。
とはいえこんな店だ、こんな文句なんかいつも言われているだろうし、もっとひどい文句もあるはず。
こちらはその提供してくれる品物にお金を出す、それだけでいいだろう。
あとは、少しの出会いを期待しているのも…まあ、秘密だ。

「うん、ボクも人づてに聞いたことがあるだけなんだけどね。
そもそも、ボクがあそこに行こうと思ったら、山賊のアジト壊滅を一人でやらなきゃいけないくらいの報酬がいるし。」

危険なものには、大きな報酬。
冒険者にとってはごく当たり前のことだが、それだけのことをしないといいところは取れない。
ほんとに因果な仕事だよね、と苦笑して…気づいた。

「あれ、仕事って……もしかして、君も?」

と、もしかして同業者なのだろうかと、エールをテーブルに置いて尋ねた。

リーゼ > 「ふぇ…!? まぢで? あそこって、そんなに高いんだっけ??」

確かに、庶民がほいほい遊びに行くには少し高いかもしれないとは思っていたけれど。
先日、盗賊退治のお手伝いはしたけれど、それも逃げ出そうとした数人を相手にしたくらい。
それでも結構なお値段にはなったわけで。
それをまさか山賊一味を壊滅とか、高級レストランでどれだけ豪遊できるかってくらいの金額だ。
思わず素っ頓狂な声を上げて、感心してしまい。

「ん? あー、うん。あたしの場合は、何でも屋に近いけどね。」

いつも背負っている大剣は、上の部屋に置いてあるから、パッと見では分からないかったかもしれない。
「でも、まだまだひよっこだよ」と続け。

「そっちは、もしかして結構ベテランさん? あ、あたしリーゼね。よろしく。」

マコ > 「一部屋まるまる貸し切りだもん。従者とかご飯もついて、そのくらいのお金になるんだって。」

”さすが、お金持ってる貴族さんは違うよねぇ。”
半分以上、皮肉と愚痴を込めてマコは残ったエールを飲み干した。
少し目の前がふらついている程度だ、そこまで問題を抱えるようなものじゃない。
からになったジョッキを置いて、改めて自己紹介。
少し頬が赤いのは、酔いが回っている証だ。

「そうなんだ…、まあ、ボクも似たようなもんだけどね。
ベテランなんかじゃないよ、ソロで活動してるからそんなに難しいのしないしね。」

”マコだよ、よろしく。”
そう笑って、マコは右手を差し出した。

リーゼ > 一部屋まるまる貸し切り……までは良しとしよう。
ご飯もまぁ、必須だろう。
けれども、従者って何だろう……? それって必要なの?
そんな疑問が頭の中にぐるぐる。

「そんな豪遊するくらいだったら、屋台をまるまる買い取った方が良いねー」

結果、出した結論はそれだった。
名乗って手を差し出してきた相手は、少し顔が赤い様子。
どのくらい酔いが回っているかは傍目には分からないけれど、
口調はしっかりしているし、まだ大丈夫だろう。

「うん、よろしくー
 ソロなんだ? あたしも似たようなものだけど、良かったら今度組んでみる?」

ふたりの方が稼ぎは良いだろう。
そうすれば、部屋まるごとひとつは無理でも、ちょっぴり豪遊くらいはできるかもしれない。
差し出された手を握って、そんな提案。

マコ > 「ボクはそのお金持って、九頭竜山脈の温泉で一日のんびりしたいよ。
この季節だと、ゆっくりお風呂に入ると気持ちいいんだよね。」

”そのあとの炭酸の利いたソーダとか、格別だしね♪”
口調はしっかりしているし、手つきもそこまでふらついている様子はない。
ほろ酔い、程度のそれだから問題はないと、自分自身でも思っている。
差し出された手を握り、2,3度上下に振ってから離す。
屋台を買い取るという手も悪くはない、出もしたいならば、そうやって少し豪遊したい。

リーゼの提案に、マコは少し考えた。
一人だとできないことも、二人ならばできることも多い。

「……じゃ、これやってみる?
実は、受けようか迷ってたんだけどね…ボク一人じゃきつくて。」

そういって、ギルドからもたってきた依頼書を見せた。
湿地帯に生えている薬草採取の依頼なのだが、このあたりには中級クラスのモンスターが控えている、とか。
それがあるので、マコも慎重になっていたわけだが、二人ならば…。

リーゼ > 温泉も良いかもしれない。
湯上りにのんびりできるなら、なおのこと。
普段の常宿がこの二階……つまりは雨風が凌げれば御の字という程度のものだから、偶にそういうのも憧れる。

「いいねっ! さっぱりしそうっ 甘いミルクも捨てがたいけど。」

そんな夢のある話も、先立つものがなければ実現しようがないわけで。
ギルドで割の良い依頼は探してはいるものの、低ランクの冒険者に手が届くものはなかなかない。
そんなわけだから、地道にコツコツと素材回収の依頼を続けているのが現実だった。

「なになに? どんなの?」

差し出された依頼書にふむふむと目を通す。
薬草採取だけなら、決して難易度は高くないもの。
ただどうやら場所が問題らしい。中級ランクのモンスターと言えば、ひとりではさすがに手が余る。
1匹だけならまだしも、数匹まとめて出てこられると、逃げることさえ難しくなる。
けれど、それもひとりでの話。

「うん。ふたりなら行けそうだね。
 マコは背中の、その槍が獲物だよね。あたしは大剣と炎の魔法が使えるよ。」

問題がなさそうと判断すれば、さっそく具体的な攻略の相談。
お互いの戦力やら、必要な持ち物やら、そんな話に盛り上がっていく。

マコ > マコも、決して高い宿をとっているわけではない。
冒険者ならばわかるだろう、備品にもお金を使わなければならない。
先ほど買った保存食もそうだが、ポーションだったり応急処置キットだったり。
いろいろなものにつくぁなければならないことを考えると、ある意味ハイリスクハイリターンが、この職業なのかもしれない。

依頼書を見せれば、湿地帯のこと以外にも依頼料などのことが書かれている。
お金に困っていたというのが事実なのだろう、一人で受けるにはかなり高額な依頼料になっている。
複数人で受けることが前提になっているものだからこそ、こうして声をかけたわけだが。

「実はね、ここに来たのも一緒に行ってくれる人がいないかなって思ってたんだ。
だから、リーゼがそう言ってくれると、ボクも助かるよ。」

その通り、マコの武器は背中に背負っている槍だ。
大検と炎が使える、魔法剣士のようなものだと知れば、へぇと相槌売って納得する。

「じゃあ、ここじゃなんだし……リーゼってこの宿使ってるの?」

二人だけで打ち合わせしない?と声をかけた。

リーゼ > 依頼書に書かれた湿地帯には行ったことはないけれど、大体の場所は分かる。
そうなれば、往復に必要な時間や、その食料と水、交通手段もおおよそ浮かんでくる。
そこに、先ほど話に出たポーションなどの必需品を加えると、準備だけでそれなりの出費になる。

「そうなんだ? あたしとしては誘ってもらえるなら、大歓迎だよ♪」

下手に野良パーティーを組むと、酷い目に遭うこともあるけれど、目の前の少女とならば大丈夫だろう。
力量のほどははっきりとは分からないけれど、年が近い女の子というだけでも安心できる。
ソロばかりでもつまらないし、たまには冒険者らしい冒険も良いだろうとマコの提案に飛びついた。

「うん? これでもここの常連だよ。」

だよねー、とマスターに相槌を求めると、『そう思うなら、もっと金を落とせ』とやり返されてしまうけれど。
ともかくも、一応は雑魚寝ではなく個室の部屋をこの酒場の上に取ってあった。

「いいよ? 明日は準備として、行くなら明後日かな。
 あたしの部屋に来る?」

実際に行くとなったら、もっと細かい打合せも必要だろう。
部屋に来るならどうぞ、と警戒心の欠片もなくそう言って。

マコ > 「一緒のほうが楽しいしね、その代わり終わったらおいしい者一緒に食べようよ。」

依頼料は、生活費に回すもの以外は基本的に貯めない。
いいものはそのうちに腹に納めてしまうのが悪い癖だ。
そのおかげで、今月がピンチなわけだけれども。

常連といえば、少しばかり助かった。
またこの暑い中を移動するのも手間だし、何より少し休みたい。
酔っている頭で、この炎天下をる来たくないというのが、マコの正直なところだ。

警戒されていない、そのセリフを聞けばやりっと、指を鳴らす。
せっかくだ、冷たい水をピッチャーでもらっておこう。
水ならば料金もないし、冷たい水ならばマスターもサービスしてくれるだろう。

「うん、行く。いろいろと細かいところとか決めたいしね。」

と……、リーゼの部屋に上がらせてもらうことにした。

リーゼ > マスターがうちは連れ込み宿じゃないとか言いそうだけれど。
そこは常連ということでお目溢しを願うとしよう。
ちゃんとお仕事の話をするためなのだし。

「おっけー、じゃあどうぞ。ちょっと狭いけど、居心地は悪くはないよ」

マスターの手前、そんなお世辞を付け加え。
マコが注文したお水に、カリカリポテトのフライでも追加して。
マスターに軽く手を振ると、奥の階段から2階にある部屋の方へと連れ立って上がっていく。

ふたりの豪遊計画は始まったばかりで―――

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からマコさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からリーゼさんが去りました。