2019/06/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にリーゼさんが現れました。
リーゼ > 貧民街の安宿のひとつから少女がひとり出てくる。
とりあえず安ければ、治安の良さは二の次。
快適さは三の次といった感じの、ボロ宿ではあったけれど、背に腹は代えられない。
ご飯くらいは、どうにかまともなものを食べたいと、他を削ったらこうなった。

「うーん……何か割のいいお仕事とか転がってないかなぁ……」

冒険者ギルドに顔を出しても、割の良いものはすぐに取られてしまう。
残り物の仕事では、どうにか生活費を稼ぐ程度で精いっぱい。
どうしたものかと思いながらも、今日のご飯を求めて路地裏をショートカットしていた。

「わわっ……!?」

角を曲がったところに、目の前に壁があった。
そんなところに壁……否、人がいるなんて思っていなかったから、ぶつかりそうになってしまい。

イグナス > ぐるりともう一度視界を回した、が。うん、やはりわからない。
このアタリってことに間違いはないはずなのだけれど。
さて、どうしたものか。ともあれ歩き始めねばなるまい。
足を一歩と踏み出そうとしたときに。

「おう?」

あるいは慣れた感覚。大きさゆえに、誰かにぶつかられかけるのは慣れてる。
よって受け止めるように腕を伸ばすが、それには及ばなかったらしい。
なんとかぶつからなかったその少女相手に、くく、と喉を鳴らした。
愉快そうな笑い声。

「おう、うん。ぶつかりゃしなかったか。良かった。
 …鼻先も大丈夫か?ん?」

ぶつかられた感触こそないものの状態確認
何かあれば自己申告をどうぞと、大きな大きな、熊みたいなのが見降ろしていた。

リーゼ > 「うぇ……? えぇーっと、だいじょうぶ。うん。」

どうにかぎりぎりクラッシュ回避。
安全ブレーキは正常に作動したらしい。
ぶつかったところで、走っていたわけじゃないからダメージはなかっただろうけれど。
むしろ、頭の上から降ってきた声の方にビックリしてしまう。
瞳を瞬かせながら、路地の狭く切り取られた空を見上げるような感じに仰ぎ見る。

「なんて言うか、おっきいね。こっちは大丈夫だったけれど、そっちは?
 どうしてこんな道の真ん中で突っ立てるの?」

さすがにこの辺りに住んでいる破落戸みたく、肩がぶつかった程度でお金を巻き上げるとか、そういう思考はないらしく。
危ないよ? と言うように、見上げたままの首を傾げてみせた。

イグナス > 「そうか、ンむ。そりゃよかった。」

どうやら少なくとも、怪我はなさそうだ。うん、うん、と満足そうに首肯を。
ビックリして瞬きされるのもなんというか慣れた具合。
どこか少し、得意げに。そうだろう、と笑った。

「そりゃあそうだ。はんぶん巨人だからな。
 ああとも、もちろん。ぶつかったとしても怪我はねェとも。」

さすがに、体格やら重量差は顕著ゆえに。
どこか得意げにも話していたが、どうして、と聞かれたらばンンと唸り声。
ちょっとバツが悪そうに、ひらひらと住所の書かれたメモ用紙を見せて。

「あー、いや。店ェ探してンだけどな。
 …なっかなか見つからンで、ちと迷ってた。」

メモに書かれた住所は、そこそこ有名な食事処。
貧民街にあるそれにしては、破格に美味い飯を出すとか、なんとか。

リーゼ > まぁ、当然、心配はしていなかったけれど念のため。
むしろ、この体格差でぶつかって怪我をされたら、何かの呪いを疑うレベル。
何故だか分からないけれど、得意そうな相手の様子に、遠慮はいらないらしいと判断して。

「巨人のハーフ? 初めて見たよ、さすがに大きいね。」

純血だったら、どれだけ大きいのかちょっと想像がつかない。
至近距離でずっと見上げていると首が疲れてしまいそうで、ちょっと距離を取る。

「お店? なんの? 此処しばらく、このあたりに滞在してるから、分かるかも?」

このくらいのお節介は、少女にとってみれば日常茶飯事。
ひらひらと指先に揺れるメモを「見せて」と、ジャンプして奪い取る。
相手がよほど意地悪でもしない限りは、高さだけなら十分に届くだろう。

「うーん? あー、ここ! 美味しいよね~、安いし! オススメだよ!
 あたしもご飯食べようと思ってたところだし、ここのお店行きたいなら、一緒に行く?」

手にしたメモに書かれたお店の名前は、この辺りでは有名なもの。
破落戸相手にも負けない親父さんが大将で、貧乏な冒険者の御用達にもなっている店だった。
さすがに毎日は行っていないものの、大将に顔を覚えて貰える程度には通い詰めていて。

イグナス > 珍しいものを見るような声にはやっぱりどこか、自慢げに。そうだろうそうだろうと。
尤も、そうして得意げにするのも、このあたりの道ともなれば上手くいかないのだが。

ちとバツが悪そうにもしていたが、奪い取られたメモ用紙。
おお?と僅かに首を傾けるも

「なんだ、店、わかンのか。
 行く行く。イヤ、だぁいぶ探してたンだよその店。」

やっぱり地元民(?)に聞くのが一番というやつだ。
ひょんなことから出てきた巧妙に表情も明るく。
早速案内をと願おうとするが、ふとそこでとまり。

「ん、あー、そういや、名前。せっかく案内してもらうんだしなァ。
 おれァ、イグナス。冒険者してる。」

良ければお前も教えてくれ、と視線で問うて。

リーゼ > メモに書かれた住所までは見なくても、お店の名前だけ十分。
メモを返すと、時間が惜しいとばかりに、さっそく歩き出す。

「どれだけ迷ってたの?
 まぁ、いいけど。こっちだよ、付いてきて。」

思ったよりも好い食いつきに、思わずちょっと引いてしまう。
まぁ、それだけお腹も減っていたのだろうと、ちょうど男が来たと思われる方へと歩みを進め。

「イグナスさんね。おっけー。
 あたしはリーゼだよ。冒険者もしてるけど、何でも屋かなぁ……?」

ご同業だね、と笑いかけ。
一応、見た目はこんなちびっ子でも背負った大剣を振り回して、
絡んでくる破落戸を追っ払うくらいはできるらしい。
今は、後ろの大男が一緒だから、そういうアクシデントにも遭わずに、
程なくして裏路地には似つかわしくない賑やかな喧騒が聞こえてくるだろう。

イグナス > 割とだいぶ迷いました、ってちょっとやっぱり言いにくそうには。
でも彼女が足を踏み出せば――あ、どうやら方向もだいぶ間違っていたみたいだ。

「おう、リーゼか。…何でも屋、へえ
 じゃあま、冒険者半分の同業者ってェとこでいいのか。」

こんな町だ、比較的出会う同業のひとり。
…それにしてもこんなちびっこの獲物にしては大きな大剣、ちと物珍しく。
お手並み拝見とばかりにそれを振り回すのも楽し気に眺めて、我慢できなくなれば道中の喧騒にしたとか。
なにはともあれ、なんとか目的地へ――

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からイグナスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からリーゼさんが去りました。