2019/06/02 のログ
サナ > 暫くの時をそこで過ごし――
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からサナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にリタさんが現れました。
リタ > ここは貧民区に存在するバー、名前はマスカレード。カウンター席は6、テーブル席は1という、大層こぢんまりとした店だ。
料理の味はそこそこ、酒の質もそこそこ、お勧めはキドニーパイ、ポテトサラダと一般大衆向け。

夜も更け、表の通りが静かになり始めている時間。店員は店の扉を開き、外へと足を運んで星空を見上げていた。
既に客は居らず、余った少々のキドニーパイはどうやら店員の胃の中に納まるようだ。

「…――ん~ッ…今日も終わりかな。今日もお疲れ様でした。」

光を放つ月にそんなご挨拶をしながら、シャツの一番上のボタンを外してパタパタと襟元を揺らした。
ゆっくりと夏を迎える準備を整えていく気候。シャツが汗で体に張り付く。
店員はスラックスのポケットからタバコを取り出し、火をつけながら、少々考える。

「…暑くなってきたなぁ…そろそろ冷たい料理、考えないと客、飛んじゃうだろうな…うん。
…いっそのことサラダメインとか?」

それはそれでお客様が居なくなりそうな気がするのだが、
やはり暑い日は冷たいものが好まれる訳で、そして作るのも冷たい料理の方が楽な訳で。
今、店員はサラダにどうやってボリュームを持たせるのか、それを考えていた。

リタ > 店員はタバコを加えたまま、大きく背伸びをした後、置いてある店の看板をの前でしゃがみこんだ。
チョークで書かれている本日のお勧め「キドニーパイ」の文字を消す。
そして「ポテトサラダ」の「ポテト」を消した。どうやら明日、サラダは確定のようだ。
なんのサラダにするのか思案中の様子で、
「ベーコン」「コーン」「海草」等の食材が書かれては消され、を繰り返されている。

「他の店に無いの、欲しいよね。こう、ボリュームがあって…サラダだけでもいい、みたいな…」

次に書かれたのは「鴨肉ソテー」その次は「鰯」挙句の果ては「シチュー」。
もはやそれはサラダでは無いのを悟ったのだろう、辺りを見渡してこっそりとシチューの文字を消す。

リタ > 数分悩んだ後、チョークを握っている店員の手が動いた。
「鰯」「トマト」を先に書き、間に「の」を書き加える。
考えながら書いているのであろう、「鰯」の文字は消され、それは「アンチョビ」になる。塩漬けにされたらしい。

「…これなら作るの楽だし、良いかな。うん。」

看板には「アンチョビとトマトのサラダ」と書かれている。それを見ながら首を捻る店員。
まだなにかしっくりこないらしい。

そしてまた数分後、店員の手が動いた。にこにこ顔で何かを書き加える店員。

「…さあて、とりあえず準備、しますか。メインは何にしよう…」

腰を上げ、頭を掻きながら店の中へ入っていく店員。
残された看板に書き加えられていたのは、「冷たい」の文字だった。
少々スペースが無く、無理矢理「サラダ」の文字の前に入れられているそれ。
そしてその下に、ハートマーク付でこっそりと「おいしいよ」と書かれていた。

これから準備をし、昼前に寝て、夕方に起きる。
その時店員はその看板を見てビックリするのだろう。
昨日の自分は何をしていたのだろう、と慌てて修正する事になるのだ。

夜のテンションは全く持って恐ろしいものである。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からリタさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にサナさんが現れました。
サナ > 何処か遠くの空で雷が迸っていそうな、生温い空気と厚みのある雲。
手指を袖の隙間から覗かせて、唯一開けられていた、衛生観念不問と言わんばかりの店先から冷たいお茶を購入する。

告げられた値段は一食分程の高値で、抗議をしようと開きかけた唇が閉ざされる。高い負けないの押し問答を繰り返し。
最終的に煮詰めたような出涸らしを、それでも通常の値段の倍は支払って購入する。

得したのか、やはり損としか考えられない、薄っぺらいコップを両手で包んで道の端を歩く。

一口、二口含むと、茶味薄そうな色合いと裏腹に喉を灼くほど強い苦味。味が、わからない程の。

数歩歩んでぺたりと片隅に座り込む。

サナ > 塀の無機質な冷たさが布地越しに熱度を奪い、小さく背筋を震わせる。
投げ出していた脚を腕の内側に引き込んで小さく纏まると、胸先に擦れて息を詰める。
いい加減、もう一枚の隔たり分、着込むべきかもしれない。

それなりの値を払ったコップの中身を地面に吸わせるのも勿体ないから、それだけ行儀よく、地面の幾らか平らな所に置き据える。

「----………。熱い」

冷たいものを飲んだはずなのに。
ひそりと零す声が、静けさに反響して聞こえた。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > 貧民地区という場所は、無慈悲であるが平等であるとも言える。
力さえあれば、奪い、犯し、富んでいける。
貧民地区の法に従えば……上をヘタに目指さなければ。
この掃き溜めの王になれる。そんな仕組み、そんな作り。
故に、男のように……成り上がろうとする者には居心地がいいのだが。

「……」

かといって。全ての命がこの環境に適応できるわけでもないのだ。
弱きものは奪われる。弱きものは手に入れられない。
ここでいう弱さとは、力に非ず。知恵、知識、運、力。
それら全てを持たぬものこそ弱く。それらの内の何か一つでもあれば、強きものとされるのだが。

「……オイ、ガキ。
 そんな所で座りこんでっと。そのボロ布奪われっぞ」

路地の影。塀の近くに座り込んだ人影が。
なんだかとってもか弱く見えて。
めずらしく、男はそう声をかけてしまって。
相手の目の前に座り込み、相手にパンと紅茶を差し出した。
なんてことはない。自宅倉庫から転送した物だ。

サナ > 徐々に陽は陰りを増し、夜の帳が下りてくる。
遠雷の音はいつの間にか遠ざかり、温いばかりだった空気に冷たさが混じり始めた頃。

静謐の中、不意に現れた姿と声に、ゆるりと貌を上げる。
差し出されたパンと紅茶が、何処から出たのだろうか、と。目を数度瞬かせ

「……手品師、?」

咄嗟に唇から零れたのは、疑問。裾を緩く翻してばさり、と。砂埃を散らせる。
多少は男の足元に届いたかもしれない。

「……ボロゆーな。

お兄さん、は。奪われる、と言いながら差し出すね。与える方の人、なの。」

手は差し出さない。痛い目見たばかりだから、だ。緩く頤を上向けて、目深に被ったフード越しに見上げる。

セイン=ディバン > 居心地はいい。掘り出し物がある。
女も買える。酒だってある。
その日の暇を潰すにはこの場所はいい場所だ。
少なくとも男にとっては、なのだが。

「い~や。冒険者さ。魔術を使える、な」

相手の問いかけにはニヒルに笑い答える男。
足元に、相手の行動によって散った砂埃が届くが。
男は表情を変えない。

「ボロだろ。どう見てもボロ布だろ。
 貧民地区の宿屋のシーツだってもうちっとマシだ。
 野良イヌの寝床になら似合いのボロ布だ。
 ……そうさなぁ。与える側でもあるし、奪う側でもある。
 けど、奪うにも矜持がある。お前みたいなガキから無駄に奪うことはしねぇ」

いいから食え、と相手に更にパンと紅茶を差し出す。
相手の顔を覗き込む。女性だ。いや、少女か。
空のようでもあり、海のようでもある青が美しかった。

「オレぁセイン。セイン=ディバン。
 お前は? おガキちゃん」

サナ > 何度か際どい目に遭っても、此処へ磁石でも埋め込まれているかのように足を運んでしまう。
平穏な日常より肌に馴染むものがあるから。
目の前の男の馴染み方とはまた異なるのだろうけれど。

「…そうかな。地位があるといわれた方が、しっくりくる気がする。
例えば私がここにいるのは、何かを釣るための餌かもしれないとか、警戒、…感じられないもの」

荒事の中に身を投じている様子が想像つかない、から。緩く首を傾げる。
実際餌ではなく、ただの行き倒れみたいなものだから、人の気配一つ無い。
矢継ぎ早に告げられる布への感想に目を丸くし、

「ちょ、酷い。それは言い過ぎだよ。良いでしょう、ずっと愛用してきたんだもの。
清潔にはしているし、野良イヌと一緒にしないで」

路地に座り込みながらの反駁にどれほど説得力があるのか、どうか。
ずい、と来た貌の間近さに怯んで顎先を引く。黒い瞳は、夜の闇に良く馴染む。
戸惑いと、微かな好奇心を蒼の瞳に過らせて、気圧される儘パンと紅茶を受け取った。

「おをつければ丁寧ってわけじゃないと思う。

……サナだよ。……セイン。……嘘はなさそうだけれど、……初対面だし。

紅茶一口飲んでみて?」

差し出す。

サナ > ふと、貌を上げる。
用事を一つ忘れてしまっていて、のろりと腰を上げる。
話の途中で行くことに申し訳なさそうに顔を見て、差し出した紅茶とパンは胸元に引き寄せ。

頭を一つ下げてのろのろと歩いていく

セイン=ディバン > 別段、顔役を務めているでもない。
ただまぁ、貧民地区では少しは顔が売れている男。
見たことのない、弱っている少女。
なんとなく、気を引かれた。だから声をかけた。

「服装のせいかな? 優れた冒険者は、気勢を放ったりはしないもんだ。
 無駄な争いはゴメン。特に金にならないやつはな」

くくっ、と笑いつつ相手の様子を見る男。
弱った少女でしかない。少なくとも、見た目は。
釣る為の餌だったら? それもまた、一興。

「あぁ、そう。そりゃあ悪かった。
 にしちゃあ……色が。あと……臭いそう」

肩を竦めて笑う男。ペラペラと良く回る舌は、男の特徴の一つだ。
これに関しては、男が相手を気に入っているときほどこうなる。
嫌いな相手の時は……逆に無口になるものなのだ。

「これまた失礼、お嬢さん?
 ……サナちゃんか。いい名前だ。覚えやすい。
 ……生憎と、オレは酒とコーヒー派なんだが。
 まぁいいさ」

相手に突っ返された紅茶を飲みほし、ん? と相手に首を傾げる。
当然。毒も何も無い。ただまぁ、男は紅茶は嫌いなので、顔はしかめるが。

セイン=ディバン > 相手が頭を下げ、去っていくのを見送る。
紅茶とパンを受け取った。それだけで男としては十分。
出会いの縁も、当然まだまだあるだろうから。

うん、と頷き。男もまた、路地を後にする。

サナ > 「ちゃんは、いらないよ。

それなら今度出会った時は、コーヒーを、」

布論議は次回に持ち越し。声を残して、立ち去り、

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からサナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からセイン=ディバンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2 / 安酒場」にミユさんが現れました。
ミユ > 夜も更け、名も無き酒場は活気に溢れて喧騒が満ちていた。
そんな中、誰も座っていないカウンター席に一人の少年…いや少女だろうか…
コートを羽織り深くフードを被って安酒をチビチビと一人で呑んでいた。

ミユ「もう一杯くれ」
店主に空になったジョッキを渡す…
店主「じょーちゃん、もう何杯目かね…そろそろ止めておいたほうが」
ミユ「いいから…もう1杯」

男の子ともとれる小さい低い声…その声に店主はやれやれとした顔で、おかわりを差し出す。
またチビチビと呑み始めるミユ…
「ふぅ…」
安いエールの揺れる水面を見つめながら小さく吐息を漏らすのであった…

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2 / 安酒場」に黒須さんが現れました。
黒須 > (騒がしい酒場の扉を開き中に入る男が一人。
周りよりも高身長であり、それで細くスタイルの良い体で現れる。
ミリタリーブーツの足音を響かせながら、なんとなくミユの隣に座り出す)

「…ロックでウィスキーを」

(疲れているようでダルそうな低音ボイスを響かせ店主に注文する。
しばらくすれば酒を提供され、チビチビと少しづつ飲む)

ミユ > 「ん?」
なんとなく異質な雰囲気を感じ取り、入って来るかなり高身長の男に振り返って見る。
後ろに揺れる尻尾…一瞬同じミレー族かと思ったが、雰囲気からしてそうではない事が解る。
そのまま、気にする風でもなく、ミユの隣に座る男…

「あと…えーっと…」
此方になんの素振りもなく、お酒を注文する男に少し見とれてしまう…

黒須 > 「あ?なんだ?俺に何か用か?嬢ちゃん…。」

(頭にはチェーンの撒かれた黒い帽子に、腰からはふかふかとした真っ黒の尻尾が生えている。
顔が見えるようにミユの方を振り向けば、鋭い目つきに灰色の瞳をしたいた。
睨んでいるような目つきであるが、悪意はなく、ただ見ているかのような見方であった。)

「…ああ、あれか?一人酒を邪魔されて不機嫌になった…てか?
それなら、俺はさっさと酒を飲んでどっか行っちまうが?」

(手に持っていたグラスに目を向ける。
カラカラと中に入っている氷を転がしながら、何気ない気持ちで話し始める)

ミユ > 男の何気ない仕草に、緊張を覚えて、少し躰を震わせるミユ
此方に向いた男の顔はまるで狼のよう…その鋭い眼光に思わず唾を呑む…
まるで、蛇に睨まれたカエル状態である…

…男の声にあたふたした様子で…
「そ…そんなことは…ないですよ?」
と慌てて話すと…顔を左右に振ったからか、フードが後ろに垂れ下がってしまう…
ミユは、グラスに目を向けて氷を転がす男から目を離せずにいた…

黒須 > 「おう…そうか…。」

(酒を眺めてながら答えを返す。
その後、そのまま残っている酒を飲み干しグラスを置いてはフゥっと少し酒臭く、熱い息を漏らす。)

「…?」

(再度横目で少女を見た。
ずっとこちらを見つめ、フードが下がり、見えた白髪に猫耳。
ミレー族だとすぐにわかると、落ちたフードを抓んで再度被り直させる。)

「油断してると、奴隷商だかに売られるぞ?
それと…なんでそんなに見ている?俺に惚れたりでもしたのか?」

(笑うような仕草は無く、片眉を上げて疑問気に少女に聞きながらも警告に近い事を伝える)

ミユ > 男の言葉に殺意が感じ取れない事を察するミユはそのままに緊張していた躰を落ち着かせ…
再びエールのジョッキの水面を見つめ直す…

横目で見つめられるとやっぱりちょっと怖い…
フードを被り直されると、少し慌てた様子でジョッキをテーブルの上に置いて、猫耳あたりを両手で押さえる…

男の声が聞こえると…

「あは…奴隷商に捕まるほど…柔いわけじゃないですよ?」
フードの裾を整えると、再びエールを持ち上げる…緊張で少し固まった躰を解す様に…エールを半分程煽る…
「ふふっ…イイ男じゃないですか…だれだって…見てしまいますよ?」
すこし笑い声でそういうと…
「このあたりじゃ…もうミレー族ってバレちゃってますしね~」
少し陽気な声でその警告に近い言葉を軽く返してしまう…

黒須 > 「やめとけ、やめとけ…。こんな落ちこぼれ狼なんざ、見所ねぇって話だ…。
それに…一夜過ごした所で、痛い目を見るだけだぞ?」

(空になったガラスを店主の方に差し出すようにしておかわりを注いでもらう。
その間、横目では怖がっているようなので話す際にはそちらを向くように顔を傾けて話す様にした)

「なんだ、バレてんのか…。
捕まるほど柔じゃねぇし、バレてんなら…心配するようなことはねぇだろうな?」

(そう言うと、再度注がれたグラスを持ち、再度一口飲み込む)

ミユ > 「そお? 風貌と気配から察するに…結構な腕前を持った方じゃないかなぁ~って思ったのですケド…?それにー優しそうな雰囲気もあるし?」
少し俯き加減で、男の声に反論じみた言葉を返す…此方に振り向いて話しかけると、フードを少し後ろに下げて…紅い目をしたミユはその瞳を見つめ…
「ご心配には及びませんよ…?」
ニコっと笑って返事を返すと…ミユも同じようにエールを一口煽る…