2019/06/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にフラニエータさんが現れました。
フラニエータ > 貧民地区の酒場、カウンター席の一番端。
足を組み、カウンターに肘をついて顔を支え、壁に寄りかかって黒ビールを飲んでいるのはいつもの女。
髪が艶やかに光っており、加えて女から柔らかい香りが流れているのはどこかで湯でも浴びてきたのだろう。

「…ん…こうしてのんびりするのって…久しぶりかしら、ね…」

傾けられるグラス、その中の黒ビールの消費がやや激しい。
周囲の会話も気にせず、扇情的な仕草もせず酒を飲むのは、女にとって珍しい事だった。

「…おかわり、貰える?」

本日はこれで3杯目。

フラニエータ > カウンター席のテーブルの上に造られた円。
グラスに流れる水滴が描いたそれを指先で弄び、崩しながら女は冷たい黒ビールを喉に流していく。

「ふぅ…おいし…」

グラスの中のビールが半分程になった時、女はくすりと笑った。
いつもの獲物を探す妖艶な微笑とも、標的を誑かす慈しみのある微笑とも違う笑顔。
いわば女の、本当の笑顔。

そんな笑顔が、瞬時に解かれる。
新たな人物、それは客だろうか…扉を開き、酒場へと入ってきた。
それは女にとって敵か、味方か、それとも獲物か。
何れにせよ女の、束の間のプライベートはここで閉幕。
わざと足を組み替えて白い足を覗かせ、ちらりと瞳を流して妖しく微笑む。
勿論それは、今この酒場に入ってきた人物に向けて、である。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にスカーレット・ラムさんが現れました。
スカーレット・ラム > 店に入ってきたのは明らかにあなたと『同じ匂いのする』女だった。

深紅に黒いメッシュの入った、まるでかっかと赤熱する炭のような頭髪に、ややキツめの――シェンヤン人風の細い瞳に朱を流している。それで、また赤いシェンヤン風の深いスリットの入ったドレスを着ているのだから一見して夜の商売をする女にも見える。

それは他の客にとっても同様で、粗野で下品なからかい文句が酔客から飛ぶ。しかし、女に鋭い瞳で一瞥されると尻切れトンボ……あるいはシェンヤン風に竜頭蛇尾とでもいうようにそのヤジは途切れていった。

裏稼業人であるあなたなら、聞いたことがあるかもしれない。緋色の糖蜜酒――スカーレット・ラムと呼ばれる奴隷商人の名前を。

フラニエータ > 入ってきた新たな人物、それは女が知っている顔であった。
知り合っている訳では無いが、女のようなお仕事をしている人間は凡そ知っているだろう彼女。
奴隷商人の彼女はその職柄、当然のように色々な噂が立っている。勿論悪い方向で。
彼女は女と同じ、所謂悪い人間、なのだ。

「…ふぅん…?」

野次を一蹴する彼女を見れば、少々感心したような声をあげる女。どうやら興味が沸いたようだ。
彼女が己の事を知っているかは定かでは無いが、
だからこそ女は彼女の視線に己の視線をぶつけようと試みる。
獲物を見つけたとばかりの視線を、ゆっくりと、舌なめずりをしながら、だ。

スカーレット・ラム > その声に反応するように、ふとあなたの方に視線を向ける。生憎、丸眼鏡でちょうど隠されたその瞳までは分からなかったが、目の端がきゅうと歪んだ様はうかがえ。

そしてその酒場の喧噪でかき消されはしたものの、たしかは『見つけたわよ、黒鮮華』とその口が動いた。

「今日は疲れたわ。安宿と言えど、話を通してあるからにはもう部屋の準備はできているのでしょう?鍵をよこしてちょうだいな。荷物は自分で運びますから。」

宿の亭主にそう声をかけて、二階へ。その際、明らかに『あなたを挑発するような』流し目を残して、女は階段を上がっていく。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からスカーレット・ラムさんが去りました。
フラニエータ > 勿論、彼女の声は女に届いた。凡そ一般会話に出てこない固有名詞。
彼女は、自分を知っている。そして、明らかに挑発されている。

「…――ふぅん…?」

先ほどと同じ言葉は、小さな舌打ちの後にやや低いトーンで。
これみよがしに宿の二階に自分は居る、そんなアピールをする彼女。後に送られる流し目。
女はそれに対して睨みとも取れる瞳を重ねながら、三杯のビールの代金をカウンターの上へと置いた。

「…生意気な女…絶対に後悔、させてあげるわ…ククク…」

そして女は彼女の後を追うように二階へと足を運ぶ。
獲物を捉えた狼のように、ゆっくりと、じっくりと。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からフラニエータさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にサナさんが現れました。
サナ > 酔っ払いの声、喧嘩の騒音。
その類の騒動を避ける内、大通りから細道へと足を運び、路地裏へと。

喧騒から逃げられたは良いけれど、しんと静まり返った薄暗い路地。
安堵の息を零せばいいのか、警戒すれば良いのか判然としないままひそりと息を吐く。
身体の反応のほうが正直で、肩から小さく力が抜けて。

ちかちかと気を引くように明滅を繰り返す街灯から少しそれた、薄暗い廃墟の裏勝手口の階段に腰を下ろす。

サナ > 道路をふさぐように投げ出した脚が、薄暗い路地にぬらりと白い色を浮かび上がらせて見える。
目深に被ったフードのほうは夜にしっくりと馴染むもの。
脚だけ浮かび上がれば遠目に亡霊のようにも見えるだろうか、と。思いつけばひとりなのにちょっと笑ってしまう。

裾を膝の上まで引いてゆらゆらと揺らして遊ぶ。