2019/05/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にリタさんが現れました。
■リタ > 夜。
富裕地区のとある邸宅を複数の怪しい人物が遠巻きに取り囲んでいた。
邸宅を彩り、守る為に植えられた木々が、今宵は邸宅を襲おうとする賊の隠れ蓑となっているのである。
そんな木々のひとつ、その上から小さな赤い二つの光が瞬く。
規則的に点滅を繰り返すその光は、周囲の木々に身を潜めた賊に何かの意思を伝えた様だ。
同じ点滅の周期が三回繰り返されると、周囲の木々から賊がその身を露にしていく。
賊達の視線は二つの赤い光に注がれている。じっと、何かを待つように。
数分後。
赤い二つの光が、長く大きく瞬いた。同時に周囲の賊は邸宅へと近づき始め、囲みを徐々に小さくしていく。
間も無くして始まる喧騒、聞こえる悲鳴。
木の上からそれらを観ていた二つの光は、場に静寂が訪れたのを確認すると明るさを失い、
何事も無かったかの様に消えていた。
―場所は変わって
店に帰宅したばかりの店員はオリーブ色に包まれていた。
店の鍵を手早く開け、中に入り、すぐさま鍵を閉める。
まず店員は足を振り、ブーツを脱ぎ捨てた。
続けざま防刃処理のされたベスト、動きやすい服…それらのオリーブを脱ぎ捨て…
店内で慌しく仕事着に着替えて襟を整え…
自分の身形を確認して一呼吸置くと、漸く店の灯りを点し、カモフラージュの為に買った雉肉を背嚢から取り出した。
ここは貧民区に存在するバー、名前はマスカレード。カウンター席は6、テーブル席は1という、大層こぢんまりとした店だ。
料理の味はそこそこ、酒の質もそこそこ、お勧めは…今から考える。多分雉肉のソテー。
「…ん、もうッ…こんなに時間かかるなんてッ…追加で金、毟り取ってやるんだから…!」
予定よりも遅く帰宅した店員の、その怒りの矛先は俎板の上の雉肉、なかなか切れない筋に向かっていた。
店の硝子越しに、面白おかしく雉肉に悪戦苦闘する店員の姿が見えた。噴出す通行人もちらほら…
それは貧民地区の通りに見せられる、偽りの、いつもの日常。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にセイン=ディバンさんが現れました。
■セイン=ディバン > 同時刻。夜闇の中に息を潜ませる男が一人。
富裕地区、とある邸宅。そこを襲撃しようなんていうバカ共を待ち伏せるかのよう。
否、待ち伏せている。事実、男はその愚者共を待ち伏せ、撃滅するために息を殺している。
ちら、と男が闇の中を見る。赤い光。輝きは強いが、発光時間はきわめて短い。
オマケに、かなり小さい光である。注視しても気付けるか否か。
その光を見て、男は微かに、本当に音もしない程度に息を吐いた。
呼気溢れる口元。ぎぃぃぃ、と、三日月の如く釣り上がる。
数分の後。男の目的は達成された。
事の顛末は黙して語られないだろうが。
当事者はそれをどう受け止めるか。
所変わって貧民地区。鼻歌交じりに道を歩く男は、とある店の前で立ち止まり、トビラをノックした。
こんこんこん。かなり控えめな音。もしかすると、中で着替えやらをしている人間には聞こえないかもしれない。
しばしの間。男はため息を吐き、勝手に入店することにする。
「よぉ、リタちゃーん。お疲れさまー。
お、雉肉? 美味そうだねぇ」
実に気安く入店した男はそう言いつつ、相手の調理の様子をからかうように言う。
そのまま勝手にカウンターへと近づくと……。
どごんっ、と。大きな音をたてて、皮袋をカウンターに置く。
置いた瞬間、聞こえる音。じゃらり、という硬質なその音色は。
聞きなれた人間には一発で看破できる音だ。即ち……。
大量の、金貨、である。
「いやぁ、リタちゃんは料理も上手だけど。
『狩り』の腕前も一流だねぇ」
カウンター席に座り、ケタケタ笑う男。その言葉は含みがあった。
■リタ > 唐突に休む事もある開店の遅れた店は、所謂常連客を呼ばない。『あれ、今日は休みなんだ?』で済んでしまう。
雉肉の筋が取り払われ綺麗に切り揃えられる頃には、食事時は疾うに終わっており…
「…出番、無いかもねー?」
雉肉に語りかけるちょっと危ない店員。
だからといって目の前の雉肉をこのままごみ箱へポイする訳にいかない。
店員は皿の上に雉の生肉を置くと、皿ごと保冷庫へ突っ込み、バイバイと雉肉に暫しの別れの挨拶を…
その時、来客が。その客は遠慮もせず、ずかずかと店に入ってくる。
閉じられる寸前の保冷庫から、雉肉が再び、こんにちは。
「…肉、悲しそうな顔、してるよ?…食べるの?」
肉に顔なんて無い。詰る所、彼の胃袋に納まるなんて可哀想、と遠まわしに言っているのだ。
そしてカウンターに置かれた、大金が入っていると確信できる皮袋に対しては、腫れ物でも見るかのような視線を浴びせ、
「…なーんか含み、あるんだけど?
今日のお勧めは雉肉のソテー。いつものロックウィスキー付きで50ゴルド。
羽振り良さそうなんで吹っ掛けてみる。」
店員は彼の何故かムカツク笑顔を見ながら、スラックスのポケットからタバコを取り出し、火を付けた。
もはや目の前の彼を客扱いしていない。
■セイン=ディバン > 常連、という物の定義について。この状態を、客が自ら名乗るというのは非常にマズい。
勘違いも甚だしいのだ、そういうことは。常連とは、店側が認定するものである。
故に、男はこの店の常連客を自称していない。せいぜい、一見を脱した、位にしか思っておらず。
「肉の悲しい表情、とは?
なにそれ、哲学? それとも神秘学の話?」
相手の嫌味に関しては気付きつつも完全に無視の男。
多少は顔なじみといった所であるこの店の従業員様に、男はくすくす笑ったまま。
相手のおすすめを聞きつつ、カウンター席に座れば。
「含みも何も。おかげさまでやりやすかった、って話。
なんか勘違いしてるみたいだけどね。これ、キミの取り分だぜリタちゃん。
ははははは、いつものウィスキー、だなんて。俺の好み覚えてくれたのか?
じゃあその吹っかけた値段は払うから、肉と酒をちょうだいよ」
相手がタバコを吸うのなら、男も細巻を取り出す。
ぴこ、と咥え、火をつけ。相手を見ながら。
「当然、一杯付き合ってくれるんだろ?
気付いてなかったのか? あの家、俺の家のお隣さん。
あんなところで動物に騒がれちゃあ……安眠妨害だからさぁ」
なんとも、揶揄するようなことを言いつつ煙を吐く男。
男は相手の仕事を知っている。そして、初対面のとき、まるで脅すように協力関係を一方的に結んだ。
その割には険悪な仲でないのは……男の弱みを相手がばっちり見たから、に他ならないのだろうが。
■リタ > 結構な金額を吹っ掛けたつもりだったが、それでも払うと宣う彼。
来る場所間違えてない?と溜息混じりに伝えながらも、金を払ってくれる限りは提供しなければならない。
店員は雉肉を掲げ、指を指し。
「ううん、芸術。ほら、この筋が目で、この切れ目が口。悲しそうでしょ?
――取り分?なにそれ。」
そんな悲しそうな顔をしている肉は、下味という化粧をされて温められたフライパンへ。
油の弾ける音をバックに、店員はグラスに氷を入れ、ウイスキーを注ぎ。
それを彼に届けながら、何の事を言っているのかと首を傾げた。
火が点いた彼の細巻に気づけば、視線はフライパンのまま、顎でカウンターの端に積み上げられた灰皿を指す。
「…あんなトコに住んでるの?気付くも何も、セインさんの家、知らないし。
結構お金持ちなんだねー。」
彼の話で何となく状況が分かって来た。先ほどの襲撃に、偶然か故意か、彼は一枚噛んでいた様子。
実際の所、賊の襲撃が成功しようが失敗しようが、店員には関係なかった。
店員の仕事は周囲の警戒と突入の合図、それを妨げる者の排除。
例え彼が賊を殲滅させていようが、賊に犯されていようが知った事ではない。
「しっかり説明してくれないとわかんないんだけど?取り分って何?
そんな仕事、した覚えないんだけど。」
その言葉と共に店員は咥えていたタバコを消し、フライパンを持ち上げる。
狐色に焼かれた雉肉がフライパンから皿に移され、彼の元に提供された。
■セイン=ディバン > 「スマン、俺、絵画彫刻系苦手。
得手は音楽と踊りなんだよね。特に、ベッドの上のやつ」
肉の表情。やっぱり説明されてもサッパリだ、と肩を竦め笑う男。
相手が料理を始めれば、疑問の声に、おや、と不思議そうな顔になる。
ん~? と首を傾げつつ、示された灰皿を手に取り、ウイスキーを近くへと引き寄せ。
「あれ、そうだっけ? まぁ、冒険者稼業は真面目にやれば結構稼げるからなぁ。
ってか。リタちゃんの腕なら同じくらい稼げるはずだけど?」
そうか、言ってなかったか、と男は納得したように頷き、語るものの。
やはりどこかおかしいぞ? と首をかしげたまま。
更に追求する相手の言葉に、一瞬沈黙したものの。
確認のため、口を開く。
「……近頃富裕地区で仕事が荒っぽくて、雑な二流盗賊団が暴れてて。
そいつらを一網打尽にする為にとある家を囮に使うことになった。
んで、その一網打尽作戦を俺が引き受けて~……。
……で、キミもその依頼受けたんじゃないの? だから、俺にも見えるように突入の合図を出してた……んだよね?」
あれ、もしかして俺勘違いしてる? などと察知し。
取り分だー、なんて言って置いた皮袋にそろそろと手を伸ばし始める男。
笑顔は引きつっており、微妙に汗をかいている。
■リタ > ほら、天井の染みが顔に見えるとかあるでしょう?それと同じと冗談っぽく告げながら、
「…奏でる側?奏でられる側?踊らせる側?踊る側?
お代わりは自分で作ってね。」
なんて大人な冗談も加えて氷の入ったピッチャーとウィスキーの瓶を彼の目の前に置いた後、
脂にまみれたフライパンを洗いつつ、新たなタバコに火をつけて、手に泡を纏わせ始めた。
「ん?余程の事が無い限り、ハイリスクなものは避けてるから。」
店員の手が油を拭き取る紙に伸ばされ、フライパンを磨き始めた頃、彼の説明が始まる。
それを聞くにつれ、店員の視線がフライパンから彼に。その形相は怪訝なものに。
彼の言う、雑な二流盗賊団は自分達である。
あの合図は彼に対してではなく、賊に対しての「周りに誰も居ないから、もう襲っちゃっていいよ」の合図である。
つまり、彼は店員と敵対関係にあったのだ。
「…そのお仕事が成功したって事は、私は追加料金頼めないって事になるね。
顔が潰れなかっただけ、良しとするか…
――あー、料金変更。ソテーとウィスキーで100ゴルド。今決めた。うん。」
皮袋を回収する彼にジト目を捧げつつ、タバコをぴこぴこさせながら見下ろす店員。
その顔は「余計な事してくれちゃって」の一言だけを帯びていた。
■セイン=ディバン > 「さぁて、どっちだったか……。あるいは両方、かな。
……なんかリタちゃん、だんだん俺への遠慮が無くなってきてるよね」
いいんだけどさ、と苦笑しつつウイスキーを味わう男。
天井の染みとはまた、気の効いた言い回しだな、と思うが。
それは口にはしない。
「そりゃまた意外。リタちゃんの実力なら、大抵の仕事はこなせるだろうに」
堅実なんだなぁ、と思いつつ、もっしょもっしょと肉を食。
しかして、目の前の相手の雰囲気が剣呑なものになるのにつれ。
流石の男もしくじった、と悟る。
そのまま、両手を上にホールドアップ。
「いや、悪かったよ。キミみたいな真人間がクソ盗賊どものお手伝いをしてるなんて思わなかったんだ。
お詫びにこの取り分はあげるから許してくれ。
……っていうか、本当に意外だ。キミは、悪を憎む系だと思ってたから」
すまん。悪い。許せ、と細巻を揺らしながら言う男。
相手の料金変更の言葉に、苦笑を強めつつ。
相手を真っ直ぐ、じぃ、と見つめてみたり。
それは……いつか見せた。相手を本気で口説く時の表情のそれで。
■リタ > 肉を貪る彼をみつつ、大きな溜息を漏らしたのはやっぱり、今日のお仕事の事があるからで。
この人が居なければ、なんてこっそり思いつつも、後悔しても仕方が無い。
もう一度大きな息を吐き、タバコを消し、ジト目のまま彼に言葉を発する。
「遠慮?…多分あの一件から、だと思うけれど…詳細、聞きたいの?
――そんな事無いよ?現に今日、失敗してるしね。」
自分の説明に両手を挙げる彼。そんな事は良いから料理を食べなさいと言わんばかりに、
顎でソテーを指しながら、店員は言葉を続けた。
「尚更受け取れないでしょ?結果的に私はセインさんに仲間を売ってるワケだし。
こうして会って、繋がってると思われたら私、殺されるかもしれないな、どうしよ。」
茶化すような、冗談めいたような声。それはここまで。
店員は今まで彼に見せた事のない、卵を飲み込む直前の蛇の様な視線を彼に向けた。
「…私が真人間、ねぇ……そう見えるのなら、上手く化けてるんだろうね、私。」
口説きにかかる彼。そんな彼に向けていた、顔を赤らめて照れるような仕草はない。
まるで今迄のそれは演技、と言っているような顔。
少なくとも今、店員にとってはそういう雰囲気では無いのだ。
「少なくともセインさんが、私の敵に回る可能性が高いのが分かった。
「でもま、大事なお客さんでもあるわけだしね。100ゴルドぽん、と出してくれる客、そうそう居ないし。
ということで…――今回はこれで許したげる。」
彼の口説き顔、それに両手を伸ばし、頬を両手で掴み、軽く抓る店員。
その表情は意地悪く、少々笑っている。いつもの店員のそれに戻った様だ。
■セイン=ディバン > そもそものミスとしては、男が連絡を怠ったことが原因に他ならない。
男が共闘する相手など、数多くは無いのだから。
競合する可能性があるのならその確認をしておくべきであった。
「……えっと。聞きたい様な、聞きたくない様な?
そりゃあまぁ、それは俺がいたからだろ?」
申し訳無さそうに、ソテーを再度食し始める男。
男の発言は、何も自分の実力を誇っているのではなく。
『後手を取って動けるという立場は強い』ということの表れである。
要するに、この相手の行動から、対策を練る。正しく後出しができたからこその結果だ、と。
「いや、そりゃあ結果……だ、とも言えないか。
……アイツ等、俺が始末しておく?」
真相がどうあれ、確かに結果だけを見れば相手の発言の通りに見えなくも無い。
相手の表情が、初めて見るものに変わったことから。
男もまた、真剣な表情でそんな過激なことを口にする。
本気か。冗談か。どちらかは感じ取らせずに。
「化ける、っていうか。
リタちゃんは真人間だろ。それとも、裏があるの?」
こう見えても女を見る目はあるつもりだぞ、と微笑む男だが。
相手が悪人でないとしても、凄腕の狙撃主である理由や経歴まではしらない。
「……いや、ホント悪かったって。
今後は気をつけますよ、ハイ。
って、いふぁいいふぁい」
重ねて謝罪していれば、頬を抓られ、痛い痛いと訴える男。
そこで男は、相手に向かって真剣な表情を見せ。
「以前の口約束、変更しようか。
リタちゃんの経歴とか吹聴しない代わりに、リタちゃんが仕事するときは俺に報告する、ってのはどう?
これならジャマしなくて済むんじゃないか?」
もちろん、この提案を相手が受け入れなくてはいけない理由は無い。
何度かこうして会話していれば、相手も気付くだろう。
この男は、女性相手に脅迫、恐喝行為を行うことなどできない。
つまり、相手の裏の顔など、吹聴する気もないのだ。
■リタ > 「自分の胸に手を当てて聞いてみたら?なんて。
――あら、こっそり自慢?
…力は認めるけど、セインさんが居たからじゃないよ。居る事を把握出来ず、なんら策を立てなかった自分の所為。」
彼の思いを否定するような、それでいて肯定するような言葉が店員から出てきた。
誇るような言葉もきっと、その裏にある何かを伝えようとする、ある意味強がり。
今までの彼との付き合いで、何となくそれが把握できていた店員は、悪戯っぽい表情のまま笑顔を向けている。
「裏…んー、あるような無いような?
少なくとも全うじゃない仕事、してるから、あると言えばあるんじゃない?
――謝らなくて良いよ。こーゆー事、今後も沢山ありそうだし。どっちが悪いって事でも無いしね。
こうして頬引っ張ってるのは、単に私の憂さ晴らし。」
そんな誤魔化すような曖昧な言葉を投げかけつつ、彼の提案にはきっちりと否定する。
「…吹聴しないのは当たり前。他人に報告なんて出来るわけが無い。
…この界隈、口の軽さって信頼失うしね。それを知ってて言ってるのかも知れないけれど…ねっ!」
最後にぎゅう、と彼の頬をねじり、憂さ晴らしの終了。
■セイン=ディバン > 「……どの時のことを言ってるのか定かでは無いけど。
俺の読みが正しければアレは不可抗力にて……。
いや、自慢っていうか。なんだろうなぁ……。
本当に、『たまたま』気付いただけなんだけどな」
もしも腕の立つ人間がいるとしたら。もしもそこから情況を把握している人間がいたら。
そんな読みが、たまたま当たったに過ぎないのだ、と口にするが。
それもまた、自慢になるかもしれない。男の気配遮断スキルは相当なレベルだ。
相手が気付けなくともムリはないのだが……相手にも、プライドや意地があるのだろう。
「……ふぅん。マジで意外。
リタちゃんって、そういうイメージからすっげぇかけ離れてるから。
……それでも、だよ。俺、リタちゃんのこと気に入ってんだぜ?
だから、謝りたいから謝るんだ」
あれ、でもこういうのって自己満足? なんて相手に尋ねつつも。
頬を引っ張られたりするのは拒まない。
憂さ晴らしだというのなら、それを受け入れようという姿勢。
「いふぁい~。そりゃあ、そうなんだけどさ。
……もしも、マジで殺り合うことになったら。お互い無事じゃ済まないかもじゃん?
俺、リタちゃんと本気で殺しあうなんてゴメンだぜ?」
ねじられた頬に痛みを感じつつ、そう漏らす男。
これはこの男にしては実に珍しい。
基本、同業者だろうが気心知れた相手だろうが、敵なら排除するタイプの人間だ。
情が湧くことは稀有も稀有。ましてや、相手に直接気に入っている、とか言うなんて。
天変地異の前触れかもしれないレベルなのである。