2019/04/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > 小雨が振る貧民地区の裏路地。
申し訳程度にある軒先のカンテラの明かりの下で投げナイフの軌跡が光った。
そのナイフを、逃げ惑って走る遊牧民は振り返りざまに抜いた曲刀で弾き返す。

「ねえ、聞いて!人違いだよ!僕は帝国のスパイじゃない、ただの冒険者だよ!」

路地裏の先に佇む、ずっと自分を追いかけてくる顔をすっぽりフードで覆った暗殺者へと必死に弁明する。
弁明するが、相手から放たれる殺気は変わらない。

どうやら自分は帝国の間者だと間違えられ、王都騎士団の暗殺者に狙われているようだった。
逃げるうちに貧民地区の、無計画に増築繰り返された不慣れな路地裏に入り込んでしまったらしい。

「……っ、聞く耳もってない……っ!
はぁ……はぁっ……、どこかに隠れなきゃ……!」

自慢の脚力でそれなりに相手との距離は稼ぐも、地の理は向こうにあるらしく、なかなか振り切れない。
どこかに隠れようか、あるいは誰か助けてくれるような人は居ないかと駆けながら周囲を見回し。

タピオカ > 自分も冒険者ギルドを通じて、王都にお世話になっている身だ。
人斬りの面倒は出来るだけ起こしたくはない。
しかし、やり過ごせるような場所は見つからない。
やがてゴミが山と積まれた行き止まりに迷い込んでしまうと、奥歯を噛んで振り返る。

こうなれば正当防衛だ。1対1での剣の腕では、誰にも引けをとるつもりは無い。
右手に持つ曲刀の柄に左手を添える。
両手持ちで切っ先を下段に構えれば、間もなく相手の足音が聞こえ――。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からタピオカさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2 裏路地」にシスター・マルレーンさんが現れました。
シスター・マルレーン > ふー……っ、ふー……っ。
ゆっくりと吐息を吐き出し、もう一度ゆっくりと吸い込む。
貧民地区を歩くのは、金髪を揺らしたシスターの女性。単なるシスターではなく、冒険者としても割と長い、そこそこの腕前の女だ。
山に登ってグリフォンと相対したことも、ゴーレムと殴り合いの大立ち回りをしたこともある。
ドラゴンは未経験です。

「ひ、っさしぶり、でしたね。」

もう一度ふー、っと吐息をつきながら、一言押し出すように。
久しぶり。 ……町の中で、思い切り暴れることだ。
怪しげな薬を売りさばく拠点が廃教会であることから、そこの調査を命じられたのだけれど。

結局その組織とかち合ってからの大立ち回り。
廃教会の壁を何枚ぶち抜いたか分からない。
下っ端ではあろうが、複数の相手をぶちのめしての帰りである。

シスター・マルレーン > 「しかしまあ、久しぶりに失敗しましたね。」

はっはっは、と笑う。
潜んでいた最後の一人がナイフを手に突っ込んできたのを、左手でつかんで右手で張り飛ばす。
それで相手は完全沈黙。 こちらは左手が少し切れた程度の軽傷でおしまい。
だったはずなのだが。

「最初の一人じゃなくて、良かった、ってもんですね。」

ふふふ、と笑うその顔色は明らかに青い、。
どっしりと立って、道の真ん中を堂々と歩いてはいるが、毒の刃を掴んでから結構な時間が経った。

吐き気と眩暈と痛みのトリプルお得なセットが彼女の体の中をパレードしている。
でも、ふらつけばいいカモだ。
気合と根性だけでふらつくのを押さえて、とにかく歩く。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2 裏路地」にテンペイさんが現れました。
シスター・マルレーン > よく言われる。
聖職者は治癒の術が使えるんだろう? 的な言葉。
彼女は割とそれが不得意だった。 できなくはないが、それこそ「風邪をいつもより早く治す」とか「骨をずっと早くくっつける」とかそういうレベル。
「なかったことにする」レベルの治癒能力は無い。

まあ、それを今も全力で使っているからこそ歩けるのだけれど。

「ふー………。」

ゆっくりゆっくり吐息を吐き出し。
がくつく自分の膝をとんとんと叩くフリをして一発拳を入れる。気合足りねーぞ。

テンペイ > 深夜の路地裏。
ギルドやら薬屋へ下ろすための薬草を背負子にたっぷり積んだ少年が暢気な表情をしながらとことこと足を進める。

向かう先は平民地区にも関わらず、目に入った通りを散歩するうちに見事なまでの迷子。

「街は変わらず広いのぉ…」

んむむ、と小さく唸りながらのんびり歩き続けるうちに毒に犯された気配を感じ、小首を傾げるとその気配の方へと足を進め近づいていく…。
貧民地区に田舎者丸出しのの少年が背負子を背負うさまはどこか怪しいかもしれないが、本人は一切気にしていない様で、曲がり角を曲がったところで弱った気配の主を視界に収める。

距離としては4m程。

「もし、お嬢さん… 何かお困りかの?」

老人臭い言葉ながらも声は若く、相手の身を案じる様に柔らかい口調で語り掛けた。

シスター・マルレーン > 今は緊張している。ただ只管心を張り詰めて、限界まで己が知覚できる空間を広げに広げ。
不穏や不審があれば、即座に警戒できるように。

だから、声をかけられた瞬間に身構えて、長い棍を引き抜くのも仕方ないこと。
単なる修道女のようで、明らかに洗練された身のこなし。

「………え、っと。」

だが、聞こえた声に敵意も無ければ、年の頃も思ったより若く、若干の戸惑いを浮かべて。

「………ここは危険ですから、早く戻った方がよいですよ。
 私なら、大丈夫ですからね。」

どんな状況でも、年下であればそのままにはできない。
まずはこんな治安の悪い場所にいる少年を何とかしなければ、という判断が働いて、微笑みかけることにする。

テンペイ > 少年は相手が棍を引き抜くその所作を眺めてニコニコと、どこか嬉しそうに笑みを浮かべる。

「うむ。うむ。 戻りたいのはやまやまなのじゃが…。
迷ってしまっての…。
折角とれたての薬草を収められるかと思ったのだが…もう、こんな時間じゃ。」

よいせっと、少年は小さく声を漏らしながら背負子を背負いなおし。

「ふむ。若いからと言って…無理は禁物じゃぞ?
等と儂の様な若造に言われても癪かの?
まぁ採れたての薬草ならたんとある故、お嬢さんの役に立つものもあるかもしれん…。」

等と、どこか悪戯っぽく笑いながら足を進めるその足運びは明らかに武術を修めたものの所作でよどみも無く流れる様なものであった。

シスター・マルレーン > 「じゃあ、………案内しましょうか。
 一番近くの教会までなら、案内します、よ?」

笑顔の少年にこちらも少しだけほっとした笑顔を浮かべて、歩こうとして足がもつれ、壁に手をついて踏ん張る。
壁を血が僅かに伝って落ちて。

「………ということは、見た目通りでは無さそうで。
 私はまだ、たっぷり若いんですけどねー……?」

ふふ、と冗談はまだ口をついて出るが、それでも身を引かない。
言葉と動きで、単なる少年ではないことは分かるが、それで引くようなタマでもない。

テンペイ > 「ありがたいのぉ。感謝じゃ…。礼を言うぞ。」

にこにこと穏やかで人の良さそうな笑みを浮かべる少年は相手の言葉に嬉しそうに微笑み相手を拝む様に胸の前で手を合わせて祈る様なジェスチャー。

相手が足をもつれさせればすっと距離を縮め、踏ん張る相手を少年の細腕が支えようと伸びる。

「ほほ。目だけではなくキチンと鍛えておる様じゃの感心感心♪
まぁ見た目はきゃぴきゃぴじゃが…、儂はたっぷりと年老いておるぞ?」

少年は相手が壁を手について踏ん張る様子を見やれば、ゆっくりと腕を抜き、背負子を下ろすと、その中からタオルを取り出し石畳の上に投げる様に敷き。

「どれ…お嬢さん、傷を見せて貰えるかの?
かしみあ?のような座り心地でないのは勘弁して欲しいのじゃ。」

そう声を掛けながら石畳の上に引いた質素なタオルを指差し少年は腰を下ろし、ほれほれとジェスチャーで相手をすぐに座るようにとタオルの表面を叩いて相手を急かしていく。

シスター・マルレーン > 「……そのようですね。ふふ、この町はいろんな人がいますねぇ。」

どれだけ弱ろうと、燃えるような強い意思は全く衰えずに、ふ、ふふ、と少し笑って。
大丈夫です、と、支えるのは軽く制しながら、もう一度拳でおらっ、と膝を叩いて。
自分に対しては根性論。

「……ここで、ですか。 わかりました。
 座り心地に関しては、帰ってからベッドで休みますからね。
 いいベッドで?」

ふふ、とウィンクをしながら掌を見せる。
どうせここまで追いつめられている。 何であっても受け止めて何とかするしかない。
割と用心深い彼女も、腹をくくれば傷を見せて。