2019/03/23 のログ
ブレイド > 貧民地区の裏通り。このあたりはいつもならば飲食の屋台がならび
そこそこの賑わいを見せているのだが、今日は別の意味で賑わっていた。
軽食の屋台はあるが、メインはそれではない。
集まった人だかり。その中央は広く場所が取られており、そこでは二人の男が睨み合っている。
一人はフードをかぶった背の低い男。
もうひとりは、オールバックで長身。ガッシリとした体格の男。

互いに構えを取り、合図を待っている。

「ふ、ぅぅぅ…」

小さく息を吐き、吸う。
それから少しの間、そこで鳴る、金属の打合される音。合図だ。

「シィっ!」

合図を聞くやいなや、身を低くして駆け出す。両者一気に間合いを詰めて…殴り合いを始めたのだ!
構えはコンパクトにしているオールバックとは対象的に、開いたスタンス。
オールバックの男の放つ左のジャブを、ウィービングで避け踏み込んで、腹を狙うもスウェーバックで逃げられる。

ブレイド > オールバックの男はいわゆる喧嘩屋。
今ここで行われているのは賭け試合のようなものだ。
武器の仕様は禁止。魔法の仕様も禁止。
負けたほうが、勝った方に金を払う。
周囲はそれに便乗して金をかける。賭けをとりしまっているのは喧嘩屋の仲間だ。
つまり、こういう興行を行って稼いでるということだ。

「ふっ…お…っ!?」

フェイントを織り交ぜて間合いを詰めてくる。
フットワークの軽いやつだ。右、左とすばやく体を動かし身を低くして
今度はこちらのボディを狙ってくるが…

「チッ…!」

だが、目の良さには自信がある。相手のブローを肘で撃ち落とし…
不用意に間合いを詰めたことを後悔させてやろう。
すばやく足の甲を踏みつける。

ブレイド > 『ぐぅっ!』

と、くぐもったうめき声。
たかが冒険者、武器がなければ…と、高をくくったのだろう。
機動力を失わせれば、こっちのもんだ。
こっちのもんだが…

「あめぇ!」

間合いを撮ろうとする相手。
無論こっちは逃がすつもりはなく踏み込む。
しかし、それは相手もよんでいた。
そのままこちらの追撃を受け止めて、受け流すように地面に投げ転がす。そこに落ちてくる踏みつけ!

ブレイド > 「ぐはっ!がっ…」

今度はこっちが悲鳴を上げる番。
もう一発と足を上げたところ、間一髪のところで転がって回避。
相手は、おってはこれない。
さっき踏んづけた足で無理したんだから、当たり前だ。

「よーしゃねぇな…っのやろっ!!」

すばやく立ち上がり、今度はこっちが一気に間合いを詰める。
オールバックもそれを迎え撃とうとするのだが………

『おい、衛兵だ!!』

見張りから声が上がる。現場は慌ただしくなり、囲んでいた人並みは屋台の売り物を手に取り何もなかったフリ。
オールバックとその仲間はすばやく路地の影に。
自分はといえば、そのまま歩き去る素振り。

ブレイド > 掛け金諸々は、あとでなんとかするのだろう。
自分の知ったことではない。
あっというまに何事もないようになった路地。二人の不良衛兵が通りかかるが
みんな示し合わせたかのように何事もなかったかのように振る舞う。
まぁ、今日はお流れだろう。

「はー、惜しいとこだったな…」

すたすたと、屋台の軽食…勝手に持ってきた肉巻きをもぐもぐしつつ、現場を離れる。
さっきまで殴り合っていたのだからノーダメージというわけではないが、切った張ったよりはまだまし。
何より始まったばかりだったし、余力もある。
こうやって、勝敗を惜しむ程度の余裕は。

ブレイド > 肉巻きをかじりつつ、左手でジャブを素振り。
オールバックはなかなかのやりてだったようだ。
自分の拳打とは、手打ちのジャブですらキレが違う。
だが、型にはまりすぎているという弱点も見えた。
次があれば、はじめから相手のペースを乱していくべきだろう。
正面切っての殴り合いじゃ、おそらく勝てない。相手もあれで食っているんだろうし。

「もーちょっとこう…」

我ながら、とっさの足殺しはうまかったと思う。その後がまずかったが。
もうちょっとすばやく畳み掛けていければ…
たまにはこういう、命のやり取りや怒りやら憎しみやらそういうものの絡まない
楽しむための喧嘩というのもいいものだ。
路地をブラブラと歩きながら、少し上機嫌そうな表情を見せる。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2・裏通り」からブレイドさんが去りました。