2019/03/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 住宅街」にジンライさんが現れました。
ジンライ > 夕刻が迫ろうという時間の貧民地区、その住宅街。
建物の合間を網の目のように細かく、細く、入り組んだ路地を行く者の中に、東国風の男がひとり。両手を手持無沙汰に半纏の袖に突っ込みながら、時折欠伸などをしてのんびりと歩みを進めている。
周囲にはあまり人気が無い。
男が時折すれ違うのはまともな商売から帰宅途中の様子の者、これから何かの商売に出ようかという如何わしい風体の者。
建物は木造や石造りのものが入り組み、また建て増しされて妙に背が高い。
日が暮れてしまえば足元は相当怪しくなるだろう。

ジンライ > 男は娼婦の一人を自宅に送った帰りだ。
娼館自体は浮遊地区にあるが、そこに勤める女には貧民地区の者も多い。
娼館までの道のりまでに襲われることが多いため、送り迎えが付くのだ―――稼ぎの良い娼婦には。

とはいえ、こうして歩く男にその様な事情を斟酌する心根などなく。
帰り道でどう時間をつぶして、勤務をサボってやろうかと時折顎などさすってだらだらと歩いている。
男が普段暮らしている地域と比べて格段治安は良くない場所。
相当隙だらけに足を運んでいるが、男自体が相当な悪人相で、どちらが本来の住民か解らない――すれ違う人全て男に道を譲る。

ジンライ > (酒、博打…は足着いちまうからなァ)
足を進めながら考える。
『叔父貴』は富裕地区の顔役と言えど、貧民地区にも十分顔が利く。
過去男がサボった時は即刻露呈して、戻ったその場で暫くのタダ働きを申し渡された。

(…もう一個のほうの商売ェが上手く乗りゃァな)

どこの世にも、商売敵は多いもの。
ましてや外国から来たとなっては勝手も解らず、縮尻ことさえ未だ無いが、どうやら損な役回りに就かされることは屢屢。

「……ソッチの伝手でも探すか…」

此方の事情に詳しい相棒でも作れれば良いのだろうが、男の人相も相俟って、実際の所中々見つからない。

ジンライ > (なんつうか、『程々』ってえのが見つかんねえんだよな)

凶悪な人相を見込まれての大量殺人だとか、拷問だとか、拐しだとか…そんな依頼の多い事。
どれも『面倒』という理由で請け負ったことは無い。
食い詰めれば、或いは…と言う所。
(HP: MP: )
ジンライ > そんなぼやきに似た事を考えている内に、足元の影が濃くなってきた。

「やべ…」

天を睨み上げると、速足に街を抜けて行った。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 住宅街」からジンライさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > 王都の中でも特に治安の悪い地域、貧民地区。
その細路地で、今宵も騒ぎが起きていた。

「ふっ!」

一人の男が、複数の男を相手に大喧嘩の真っ最中。
といっても別段意味の無いケンカでもない。
本日の男のお仕事……『娼婦を食い物にする男のクズにおしおきタイム』というヤツである。
貧民地区は治安は悪いが、その中にもルールが存在する。
娼館営業というのは貧民地区の主要産業。
その商品である娼婦を騙し、傷つけ、などということをした男たち相手に、貧民地区の中のギルドが黙っているはずもなく。

「そぉりゃぁっ!」

そういう訳で、冒険者の男が依頼を受け、そんな小悪党を痛めつけているのであった。
ちなみに、現在既に三人ほどノックダウン。
冒険者として鍛えた男にとっては、並みのケンカ自慢の荒くれたちなど相手にもならない。

「……さて。残り二人か」

首をごきごきと鳴らしながら残りの男達に向かっていく男。
このお仕事。終了まではおおよそのこり五分ほど……。

セイン=ディバン > 「うっし。これで終わり、と……」

大した苦労も無く、見事に5人の男を倒した男は細巻を咥える。
本来ならこんな風に暴れまわれば騒ぎにもなるが。
依頼主である貧民地区商工ギルドの人間が根回しをしてくれたおかげで、まったく騒ぎにはなっていない。

「……あとはギルドに報告に行って……」

コートに付いた埃を叩きながら、男はそう言い、路地を後にする。
男達の命までは奪ってはいないが、そうそう悪さをする気も起きない程度には痛めつけてある。
これでしばらくは、貧民地区の娼婦たちも安心して仕事ができるであろう。

「……まぁ、キリないけどな」

ぽつり、と呟く男。事実、いくら小悪党を叩いてもすぐに似たような輩は出てくるものである。
どうしたものかなぁ、と思いつつも。そういう根本的な解決は偉いさんの仕事だよな、と他人任せの男であった。

セイン=ディバン > 仕事を終えながらも、男はすっきりとしない顔で貧民地区を歩くのであった……。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からセイン=ディバンさんが去りました。