2019/02/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にフラニエータさんが現れました。
■フラニエータ > ここは貧民区に存在するバー、名前はマスカレード。カウンター席は6、テーブル席は1という、大層こぢんまりとした店だ。
料理の味はそこそこ、酒の質もそこそこ、お勧めは魚介のリゾット、ザワークラウトと一般大衆向け。
本日、カウンターにはいつもの店員は立っていなかった。
代りに何故か、妙に色香の漂う黒髪の女が暇そうにグラスを磨きながら其処に立っている。
如何にも店員といった風貌で、初見の客からすれば何も問題は無さそうなのだが…
この店はほぼ、常連が占めているような店。
店の中をちらりと覗き、いつもの店員が居ないと察すれば去っていく客ばかりだった。
「…何よ…失礼しちゃうわね…」
眉間に皺を寄せて臍を曲げる女。そのお陰か本日の客は未だ、ゼロである。
■フラニエータ > 何故女がこんな場所で店員紛いの事をしているのか定かでは無いが、
少なくとも人が立ち寄り辛い雰囲気が漂っているのは事実だった。
この店には店員に対していつもセクハラ行為をする常連客が居る。その客ですら未だに来店していないのだ。
なんというか、アットホーム感が全く無い。逆に場末の酒場感が溢れ出している。
「…来ないわね…」
女の爪がカウンターを叩き、こつこつと音を鳴らす。
客が来ない苛立ちからであろうか。いや…
続けられる女の独り言は、少なくとも客を待っているものではない。
「――今日で間違い無い筈だけれど…」
■フラニエータ > ドアベルが鳴る。本日初めての客が現れた。
「…いらっしゃいませ。こちらへどうぞ。」
稀有な女の接客を受けるその客は、ゆっくりとした足取りで店内に入り、カウンター席、女の真正面に座る。
その客は悪い人相を隠そうともせず、下卑た顔を女に向けた。
女は作り笑顔でその客の注文を取ると、すぐさま調理に取り掛かり始めた。
いつもの店員迄とはいかないまでも手際は中々に良く、客が待っている時間も大したことが無い。
リゾットがカウンター席に置かれれば、それを匙で口に運ぶ客。
その動きが止まらない事から、味も悪くは無さそうである。
女はその客が食事をしている光景を見ながら、ヒールの踵を鳴らして店の扉へ歩き始めた。
女の手に寄って閉店を告げるプレートがドアに下げられた。
扉の鍵を掛けられた。
カーテンが閉められた。
訝しげな表情をする客と、カウンター席に戻る女の視線が絡み合う。
女は客の下卑た顔に負けない程の笑みを浮かべ、告げる。
「…美味しかったかしら?貴方、少し…目立ち過ぎたのよ…ごめんなさいな…」
店の明りが消えた。
空が白み始めた。
――客は未だ、戻ってこない。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からフラニエータさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にサナさんが現れました。
■サナ > ささやかに明かりをともす店先で、温かいものを、という注文の元渡された酒。
無臭に近いものの、一口舐めると味は強い酒そのもの。
喉から胃の腑にかけて熱が通り、成程、と小さくひとりごちる。
うっすら積もった雪のうえを、点々と足跡つけて路地裏を歩き。少し、ゆきをよけられそうな軒先を見つける。
腰を下ろすと冷え冷えとして、人が去ってずいぶんになるだろう静けさがある。手持無沙汰になると、両手に包んだコップをまた少し傾ける。